月、火星で人々が生活する未来を見据えて
「きぼう」日本実験棟(JEM)の実験運用管制チームに所属し、与圧部実験の運用管制員をしています。与圧部実験とは国際宇宙ステーションの船内で行われる実験で、現在 (2021年10月現在) は星出彰彦宇宙飛行士と共に生命科学実験を実施しています。具体的には、微小重力・月の重力が細胞やマウスにどのような影響を与えるのかを解明する実験の運用準備から実際の運用まで携わっています。
大学院では機械工学専攻に所属し、マルチローター型UAV(=通称ドローン)が劣悪な気象環境下(局所的大雨、大雪、着氷環境、火山灰)でどのような影響を受けるのかを実験的に解明することを目的に研究を行っていました。私は、劣悪な気象環境の中でも局所的大雨に焦点を当て、その基礎研究として、一滴の雨滴の衝突力計測を行っていました。
大学に進学した時には、ぼんやりとではありますが、大学院に進学することを考えていました。そのため、私が思い描いていた大学生のイメージ(サークルの人達と毎日飲み会←偏見ですが笑)とは少し異なり、色んなことを学ぶ時間が多かったと思います。英語が大の苦手だった私は、克服するために海外留学を決意しました。留年せずに半年間アメリカへ留学できるという大学のカリキュラムに申し込むため、学部2年までの成績を基準以上に保ち、アルバイトで留学費用を稼ぐことに時間を使っていました。結果、その留学で英語力も向上し、様々な国籍の人達と関わったことで、人間としても一回り大きくなれた気がしています。
就職活動は、自分自身と向き合う時間を大切にしました。今までの人生で何に興味をもって、どういう行動をとったのかを、思い出せる限り古い記憶からじっくりと思い出して傾向を見つけてみると、自ずと自分のやりたいことが見えてくると思います。就活を始める時期ですが、早いに越したことはないと思います。私は院進学も考えていましたが、偏った考えでは偏った判断しかできないと思い、学部2年の頃に、宇宙関係の企業が集まった合同企業説明会にも参加しました。自分の将来を決めるのは、全て自分の行動の積み重ねだと信じています。皆様が自分にあった仕事を見つけられることを心より願っています。
本格的に宇宙業界を志望するきっかけとなったのは、高校2年生の時、植松努さんの講演を聞いたことです。彼は民間企業の社長で、当時民間企業が宇宙開発をするのは不可能と思われていた時代に、宇宙開発をすることで、夢を諦めないことの大切さを全国の人々に伝えていました。小学生の頃から宇宙に興味はありましたが、その講演をきっかけに大学でも宇宙に関することを学びたいと考え、航空宇宙学専攻のある大学に進学を決めました。
SEDを選んだ理由は2つあります。1つ目は、私が最も興味のある有人宇宙開発を支える企業だからです。有人宇宙開発をしている企業は少なく、中でも私のキャリアを生かせる宇宙実験の運用という分野になると、数社しか見つけることはできませんでした。2つ目は、働いている人達の夢が、私の夢と一致していたことです。同じ志を持つ人達と働きたいと考えており、1Dayインターンシップの時に説明に来てくださった各部署の先輩方に夢を聞くことでそれが分かりました。
仕事のやりがいと大変なこと。またそれが楽しさに変わった瞬間。
「きぼう」 日本実験棟の船内で行われる実験運用ですが、実験を実施するまでには様々な準備 (実験運用管制要員としての資格取得、研究者の方と実験条件や制約に関する調整、宇宙飛行士が使用する手順の作成等) があります。その準備作業には非常に多く複雑な知識が必要で、それらを理解して覚えるだけでなく使いこなすことが大変だと感じています。しかし、この仕事に携わることで、一番身近に世界最先端の宇宙技術を毎日学ぶことができるため、やりがいと共に楽しさを感じています。
私の携わっている実験運用は準備期間の方が長いですが、実際の実験当日、宇宙飛行士と1つの実験を共に実施している時間は、責任も大きく、プレッシャーもかかりますが、特に心踊る瞬間です。
学生時代に学んできた、体験したことで仕事に役立っていること
私の場合、大学院進学をしており、その過程で研究テーマに関する海外の論文を読んだり、実験装置の開発、実験を運用するという経験を多く積んできました。今の職場では、英語ができることは最低条件であるため、学生時代に英語力を高めていたことは役立っていると感じています。また実験運用に関しても、学生時代の研究の過程で詰んできた経験が生きていると感じています。
大切だと思う能力は、2つあり、1つはコミュニケーション能力です。どの仕事でもそうですが、私たちは人と仕事をしています。そのため、正確に相手に伝えたり、伝えることで相手に動いてもらう能力、また相手に対して思いやりのある伝え方ができることは大切だと思います。もう1つは論理的思考力です。1つ目のコミュニケーション能力と関係する部分もありますが、伝える時に論理的な構成で話を伝えなければ、人は動いてくれません。そのため伝える前には、頭の中で内容を論理的に考える能力が必要だと感じています。
入社前は、具体的な仕事のイメージができていなかったのですが、入社してみると想像以上に日本の有人宇宙開発のど真ん中で仕事していることが分かり、そういった良い部分での印象の違いは感じています。
両親や親戚は、私がこの仕事に就いたことを誇りに思ってくれています。
友人には、珍しい職業なので話すといつも驚かれます。
100%宇宙に関連する仕事ができること。
関わりたい業務の希望が通りやすいこと。
年間休日が多いこと。
今後挑戦したいことは、月や火星で人々が生活する未来を作る手助けをしたいと考えています。
将来のことを決めるのは、難しいし時間がかかるものです。だからこそ、自分の価値観や習性を見つめ直し、なるべく早く色々な企業を知って、沢山悩んで決める必要があると思います。
悩んだ結果、やりたい事がSEDでしかできないのであれば、是非一緒にやりましょう。
宇宙開発を共に盛り上げてくれる皆様と働けることを心より楽しみにしています。
We are "Space brothers"
宇宙が好きな人、粘り強い人、他人を尊重できる人と一緒に働きたいです!
学生の内にしかできないことを、学生の内に沢山経験することをお勧めします!