宇宙開発のあらゆるところにSEDが!?
SEDは高い技術力で宇宙開発利用プロジェクトを支えています。
宇宙天気とは、太陽から到来する現象や地球周辺で発生する現象であり、その変動は日常的に発生しています。しかし、太陽フレア爆発等、稀に発生する現象によって宇宙空間の状態に大規模な変動が発生し、それらが地球全体に影響を及ぼすことがあります。その結果、電波を使用する通信・放送インフラの受信障害、航空機が使用する短波通信の途絶、衛星測位の精度劣化、人工衛星の誤動作や太陽電池の劣化、誘導電流の発生による停電、宇宙飛行士や航空機乗務員の被ばく等の被害を引き起こすおそれがあります。
SEDでは、この太陽活動の影響や影響を与える範囲の調査・研究、宇宙天気予報の高度化検討にも参画し協力した実績があります。
JAXAは軌道上に存在する様々な物体を、光学望遠鏡とレーダを用いて観測しています。
SEDでは、この観測運用や取得したデータの解析を行うことで、軌道上の物体と運用中の人工衛星の衝突確率を算出する運用を行っています。また、高い確率で衝突が予測される場合、回避運用を行いますが、そのための回避パラメータの算出なども行っています。
引用:NASA | Monthly Number ob Objects in Earth Orbit by Object Type
人工衛星を追跡するためには、地上にあるアンテナ(地上局)と対象となる衛星の距離を計測することから始まります。これらの計測したデータを元に衛星の位置を特定しています。SEDでは、この測距設備の運用や、その測距データを用いた軌道決定システムの運用を行っています。
私たちが日常生活の中で、日々利用している測位情報は、我が国の測位衛星である「みちびき」や米国のGPS衛星から送信される時刻信号とその時刻信号の到達経過時間を用いて位置情報を得ています。電波は、大気上層の電離層を通過する際に遅くなることが知られていますが、その入射角度や様々な因子により遅延量が変化し、測位精度に微妙な影響を与えています。SEDでは、この測位信号の受信解析等を通じ、地上での測位精度向上に貢献しています。
軌道上に打ち上げられた人工衛星は、故障しても修理することが出来ません。このため、人工衛星の健康状態を監視し、適切な命令(コマンド)を送信し、軌道上の人工衛星を健全な状態に保つ必要があります。SEDでは、100機以上の人工衛星の運用に携わっています。
なお、人工衛星は、昼夜休まず活躍しているので、運用も24時間体制で実施しています。
カーナビやスマートフォンのように衛星測位情報を用いた位置情報の利用は、私たちの日常生活の中では、一般的になっています。これと同じように測位衛星(米国のGPSでは、高度24,000km)よりも低い高度を飛翔する衛星では、地上と同じようにナビゲーションにより位置決定することが可能です。掩蔽測位とは、測位衛星よりも軌道高度の高い宇宙機が、地球の反対側から送信される測位信号を受信し、その情報を元に位置決定を行う技術です。SEDでは、この掩蔽測位の技術確立のための技術研究も進めています。
米国のアポロ計画から50年余りが経過し、その間に宇宙輸送技術(ロケット)や宇宙機(国際宇宙ステーションなど)の技術は、確実に進化してきました。日本は米国や欧州などの各国と協力し、月面での持続的な探査活動の検討を進めています。月周回有人拠点(ゲートウェイ)構想では、日本の技術を活用した機器開発を進めています。
SEDでは、ゲートウェイの環境制御システムの開発の支援などを実施し、将来の月面探査計画の実現に向けて貢献しています。
国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟では、宇宙環境を利用した様々な実験や研究が行われ、その成果は医療やものづくりなど様々な分野で活用されています。
SEDでは、「きぼう」の中で実際に活動する宇宙飛行士の作業支援のほか、「きぼう」実験機器の地上からの運用、「きぼう」を維持するシステム機器の運用を行い、「きぼう」ならではの成果創出に貢献しています。
宇宙日本食は、食品メーカが提案する食品をJAXAが制定している宇宙日本食認証基準と照らし、宇宙食としての基準を満足している場合に宇宙日本食として認証するもので、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在を予定している日本の宇宙飛行士に、日本食の味を楽しんでもらい、長期滞在の際の精神的なストレスを和らげ、仕事の効率の維持・向上につながることを目的として開発したものです。
SEDでは、国際宇宙ステーションでの有人活動における宇宙食・生活用品の宇宙輸送への適合性を含めた安全審査等の支援を行っています。
新規に人工衛星を打ち上げるためには、既存の人工衛星に対する電波干渉の低減等の検討が必要となります。また、これらの電波を利用するためには、既設の人工衛星局と新規に計画される人工衛星局間での使用周波数や、送信機出力等の調整を行い組織間合意等を行う必要があります。周波数利用は、日本国内のみならず、世界各国の衛星通信機関との調整が必要なケースもあります。
SEDでは、これら電波干渉の影響度合いの解析に加えて、国際間の電波利用調整の支援も行っています。
私たちの生活に身近な携帯電話やテレビ放送、そして人工衛星の運用等、様々な場面で電波を用いた通信が行われています。これらの電波を無秩序に利用しようとすると混信が発生するため、利用用途毎の周波数は、あらかじめ取り決められています。この周波数割り当ては、国際連合の専門機関の一つの国際電気通信連合(ITU)によって調整されています。ITUは電気通信の良好な運用により諸国民の間の平和的関係及び国際協力並びに経済的及び社会的発展を円滑にする目的を持っています。周波数帯と衛星軌道は、近年多様なサービスでの利用が拡大している貴重な資源であり、3~4年に一度開催される世界無線通信会議(World Radiocommunication Conferences:WRC)により、周波数や衛星軌道の利用方法等に関する国際的な取り決めについて規定した無線通信規則(Radio Regulations:RR)の検討及び改正等が協議されています。
SEDでは、人工衛星の打上げ計画、電波干渉解析等の結果に基づきWRCでの無線通信規則の検討討議にも参画し、助言等を行っています。
宇宙輸送ロケットは、大量の化学燃料を消費し宇宙空間を目指して飛翔します。また、我が国の基幹ロケットであるH3ロケットやイプシロンロケットは多段式ロケットであり、その第一段エンジンや固体ロケットブースタ、衛星を格納しているフェアリングは、飛翔途中で分離され地上に落下します。これらの一連のシーケンスを安全に進めるためには、ロケットの飛翔状態を監視し、落下物が人々の活動領域に影響を与えないよう、制御する必要があります。SEDでは、このロケットの飛翔経路が安全に保たれていることを確認するための飛行安全管制システムの開発に携わり、実際の打上げではシステムのオペレーションを実施し、ロケットの飛行安全管制にも貢献しています。
宇宙輸送ロケットを運用するためには、射場設備が必要となります。射場設備は、実際のロケット打上げに使用される射点だけではなく、ロケットの燃料を供給するための設備や、ロケットの追跡を行うレーダ設備、そして管制を行うシステムと多岐にわたります。SEDでは、これらの射場設備の整備や保守作業を担って、我が国の基幹ロケット打上げに貢献しています。
人工衛星の運用を行うためには、衛星と通信するためのアンテナ設備が必要となります。アンテナ設備は、実際に通信を行うアンテナだけではなく、送受信機や衛星管制施設との通信制御を行う機器で構成されており、これらを総称して追跡ネットワークと呼んでいます。SEDでは、これら追跡設備の維持保守から、追跡ネットワーク運用までを行っています。
現在では、通信衛星、放送衛星、気象衛星、地球観測衛星、そして測位衛星や、衛星間通信を行うための人工衛星など様々な人工衛星が活躍しています。人工衛星が地上と通信するためには電波を利用していますが、衛星と通信するための周波数は限られているため、異なる衛星で近接した周波数を用いることもあります。それらの人工衛星が接近すると混信が発生することもあります。混信が予測される場合は、それぞれの人工衛星の運用調整を行うこともあります。また新しい人工衛星を打ち上げる際には、既存の人工衛星の通信への影響等をあらかじめ評価しておく必要があります。これら通信の干渉を解析する作業を電波干渉解析といいます。SEDでは、運用中の衛星から、新規に打ち上げられる衛星の電波干渉解析を行い、人工衛星の円滑な電波利用にも貢献しています。
人工衛星から地上に伝送されたデータは様々な形で我々の生活に役立っています。これらのデータを活用するためにサーバ計算機が用いられています。
SEDでは、これらのサーバ設計から調達・運用まで幅広い範囲で活躍をしています。
衛星を運用するためには、衛星管制のためのソフトウェアが必要です。
SEDでは、自身が取り組んだ衛星管制運用の経験に基づき衛星管制ソフトウェア開発も実施しています。
軌道上の人工衛星から伝送される画像データを用いることで、地上の様々な状態を知ることができます。衛星写真は、その画像から地物の状態を知るだけでなく、観測された物理量から大気中の水蒸気量や海面温度、農作物の収量等の推計も可能です。
SEDでは、顧客ニーズに合わせた画像の取得から加工にわたって、数多くの実績があります。
国際宇宙ステーションでは、これまで数多くの日本人宇宙飛行士が活躍してきています。宇宙飛行士になるためには、NASAのトレーニングニーズに基づいた様々な訓練が実施されます。SEDでは、これら宇宙飛行士の訓練計画立案、訓練の実施等の支援を実施しています。
また、これらの訓練の実績等を応用し、初めて衛星管制運用を行う機関の職員に対する教育訓練等も実施しています。さらには、宇宙開発利用の推進のための広報活動や展示物の作成支援等も実施しています。
人工衛星の開発では、いきなり実機を作成するのではなく、各種試験を行って設計の妥当性検証から実機開発へと段階を経て進んでいきます。
SEDでは、衛星のミッション要求の具体化から基本設計、詳細設計、製造にわたって、衛星開発工程の管理や試験データの収集・評価についても実施しています。
人工衛星を運用するためには、衛星の健全性把握が重要です。衛星から送られてくるヘルス情報(テレメトリ)を元に、電力収支、温度、姿勢決定精度等様々な観点から衛星の健全性評価を実施します。
SEDでは、これまで数多くの衛星運用に携わってきました。これらの経験を元に宇宙機の健全性評価の分野でも幅広く活躍しています。
また、取得されたデータを元に機械学習を応用して、予見される故障検知についての研究にも取り組んでいます。
宇宙や航空関連施設では、その特性上セキュリティの強化が必須となっています。また、電力供給量の異常などから設備の異常について、いち早く検知することもインフラの保守の観点では重要となります。
SEDでは、ロケットや衛星に関する地上システムの設計・開発・保守の実績を活かし、センサやカメラ等のハードウェアとこれらをネットワークで繋ぎ中央監視するためのソフトウェアを組み合わせた地上設備(施設の電力監視システム、監視カメラや侵入検知センサを用いたセキュリティ監視システムなど)の整備に関するシステム構築、電気工事および電気通信工事の企画・設計・監理・施工および保守を行っています。