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新たな発見が続く土星とその月

※ 2019年改定予定です

土星は、太陽からのおよそ9.537AU(太陽・地球間の平均距離の9.537倍)離れ、太陽の周りを回っています。
土星は、太陽系の中では大きさともに木星と同じタイプの星で、ガス主体の惑星です。その特徴は、周囲を取り巻いて回る輪の存在と、目視でもわかるほど扁平であることが挙げられます。また、土星の直径は地球の9倍以上と大きいのですが、その平均密度は非常に低く、結果的に、表面重力が地球表面重力よりやや小さいことがわかっています。土星の最も大きな衛星タイタン(Titan)は、水星や冥王星よりも大きいことで有名です。

さて、現在までに土星に達したミッションは、NASAのパイオニア11号(Pioneer-11)、ボイジャー1号と2号(Voyager-1,Voyager-2)、そして、現在撮影を続けているNASAとESAの共同ミッションカッシーニ(Cassini)があります。

パイオニアとボイジャーの2つのミッションにより明らかにされた土星

パイオニア11号は、1979年9月1日に初めて土星の2万1000kmまで接近しました。いくつもある輪とその間に暗く見えた隙間(カッシーニの隙間と呼ばれている部分)は、当時その組成からして諸説あり謎とされていました。

細かい粒子が土星の周りを回る輪を、パイオニア11号が初めて接近の撮影し、それまで存在がわかっていなかった新しい輪についても発見・命名されました。また、映像撮影だけではなく、磁場の直接測定なども行われました。当時の通説では生命の存在の可能性が大いに期待されていた土星の衛星タイタンですが、パイオニア11号の土星の内部の放熱の測定により、衛星タイタンが生命を維持するには寒すぎることが明らかになりました。

ボイジャー1号が1980年11月、ボイジャー2号が1981年8月に、土星に最接近した際の観測では、土星の上層大気が7パーセントのヘリウムと残りのほとんどが水素であることが計測されました。この大気組成が、土星が太陽から得られる熱量に比較すると暖かい原因であるとも言われています。より低い高度では、ヘリウムの値が多くなっていることが予測されました。また、土星の赤道付近では秒速500mという強風を計測し、中緯度や極域のオーロラが計測されました。2機のボイジャーは、およそ1万6千枚という多くの土星周辺の撮影に成功しています。

<参考サイト>

カッシーニ軌道周回船とホイヘンス探査機による土星と衛星観測

土星探査については、NASAとESAが協力したカッシーニ(Cassini)ミッションが、現在も注目を浴びています。カッシーニミッションは、1997年10月15日に打ち上げられたカッシーニ(Cassini)周回機とホイヘンス(Huygens)探査機から構成されており、金星を1998年4月と1999年6月に通り1999年8月には地球、小惑星帯を1999年の12月から翌年4月にかけて通過し、2000年12月に木星に接近通過し2004年6月30日に土星軌道に投入されました。土星の衛星タイタン(Titan)にも接近し多くの撮影を実施しており、周回機は現在も活躍中です。

2004年11月にタイタンに接近したカッシーニは、ESAのホイヘンス探査機を2004年12月24日に切り離し、翌2005年1月14日にホイヘンス(Huygens)探査機はタイタンへの着陸に成功しました。その後、ホイヘンスは、タイタンの着陸地点上空8kmでイメージを撮影し、ホイヘンスの周囲360度、タイタンの解像度20mのイメージを送ってきました。

ホイヘンス探査機からは、着陸後も67分間に亘りタイタンの様子を送ってきました。計測によれば、着陸地点は水と炭化水素から出来ている氷で地表が覆われており、気温180K(約 -93℃)という苛酷な環境でした。また、雷までの距離を計測するための搭載装置により、タイタンの地上に発生した音も観測されました。後にデータを解析した結果、ホイヘンス探査機のタイタンへの最初の着地で地面が12cm沈み、バウンド、その後移動方向が約10度傾き、30-40cm横滑りしたようです。

カッシーニは周回機として土星を周回しつつ、土星の衛星も含めた観測を続けています。土星の衛星エンケラドス(Enceladus)の接近撮影では、液体水の存在が示唆され、予想外に表面に近いところに水が存在することが観測を通し明らかとなってきています。また、NASAの科学者達は、土星の周辺環境に酸素原子が多く存在する原因として、エンケラドスの低温火山が水を生み出し、それが分解されている結果であるという興味深い結論を導き出しています。この他Phoebe、Calypso、Merhone、Pandraなど他の土星の多くの衛星についても接近観測を行い、観測の都度、新たな報道が発表されています。

また、探査機からの直接観測だけでなく、地上からも多くの望遠鏡が土星を観測しています。最近では、日本のすばる望遠鏡が土星に3個の新衛星を発見したことが2007年5月11日に発表されました。

カッシーニ探査機からの継続情報では、エンケラドスの南極付近から塩水起源と思われるプルーム(噴出していること)現象が捉えられています。これは、エンケラドスの凍った氷の上に残った塩氷からと考えられており、更に調査を続けることが重要と思われています。

また、ESAが2009年に天文観測衛星として打ち上げたハーシェル(Herschel)衛星からの観測により、エンケラドスが土星へ水蒸気を供給している様子が2011年7月26日の発表として明らかにされています。

プロジェクト名 カッシーニ・ホイヘンス(Cassini-Hygens)
探査機名 カッシーニ(Cassini) ホイヘンス(Hygens)
国/機関 米国/NASA(ESA共同プロジェクト) 欧州/ESA(NASA共同プロジェクト)
打ち上げとイベント 打ち上げ:1997年10月15日
木星接近:2000年12月
土星軌道投入:2004年6月30日
ホイヘンス切り離し:2004年12月24日
ホイヘンスがタイタン着陸:2005年1月14日
カッシーニが土星周回:2004年6月30日
搭載機器
  • プラズマ計測器(CAPS:Cassini Plasma Spectrometer)
  • コズミック・ダスト計測器(CDA:Cosmic Dust Analyzer)
  • 赤外線計測装置(CIRS:Composite Infrared Spectrometer)
  • イオンおよび中性子質量分析器(INMS:Ion and Neutral Mass Spectrometer)
  • 画像化サブシステム(ISS:Imaging Science Subsystem)
  • 磁力計(MAG:Dual Technique Magnetometer)
  • 磁気圏画像化装置(MIMI:Magnetospheric Imaging Instrument)
  • カッシーニ搭載レーダー(RADAR:Cassini Radar)
  • 電磁波およびプラズマ科学装置(RPWS:Radio and Plasma Wave Science)
  • 電磁波科学サブシステム(RSS:Radio Science Subsystem)
  • 紫外線画像化装置(UVIS:Ultraviolet Imaging Spectrograph)
  • 可視および赤外線マッピング装置(VIMS:Visible and Infrared Mapping Spectrometer)
  • エアロゾル計測器(ACP:Aerosol Collector and Pyrolyser)
  • 降下時の画像化およびスペクトル放射計測(DISR:Descent Imager and Spectral Radiometer)
  • ドップラー風観測器(DWE:Doppler Wind Experiment)
  • ガス・クロマトグラフィーと質量スペクトロメータ(GCMS:Gas Chromatograph and Mass Spectrometer)
  • ホイヘンス大気構成計測装置(HASI:Huygens Atmospheric Structure Instrument)
  • 表面計測科学パッケージ(SSP:Surface Science Package)

<参考記事サイト>

<参考サイト>

太陽系外を目指した衛星のその後

更に地球より遠方の天王星、海王星までは、ボイジャー2号が接近し撮影に成功しています。冥王星は、接近撮影を行ったミッションは今のところないのですが、現在NASAのニューホライズン衛星(New Horizons)がその初の試みを実現するため、冥王星へと旅を続けています。

さて、太陽系外を目指したパイオニア10号ですが、木星接近後に太陽系が受ける放射線帯流の川下に向かって(銀河から太陽系が受ける流れと同方向)外へ飛びたっていきました。パイオニア10号は、冥王星より外の軌道に達した初めての人工物となりました。

その後1997年3月31日に、パイオニア10号のプロジェクトは終了し、ボイジャーの速度より遅かったパイオニア10号は、途中でボイジャーに追い越されました。2002年3月2日と4月27日には、最後と言われながらも衛星からのデータ取得に成功、2003年1月22日にも微弱な信号を取得しています。但し、その時にはもう「地上から送ったアップリンク信号がパイオニア10号に届いて正常に動作したかどうか」については、確認することができなかったそうです。

一方、パイオニア11号、ボイジャー1号と2号は、先のパイオニア10号とは逆に太陽系が受ける放射線帯流の川上方向に向かって(銀河から太陽系が受ける流れと同方向)飛行していきました。ボイジャー1号は土星に接近後、飛行し続け、1990年2月14日には、太陽と6つの惑星(金星、地球、木星、土星、天王星、海王星)外側から見た「太陽系ファミリー」の写真撮影を行いました。

その後、ボイジャー1号は、1998年2月17日にパイオニア10号が旅した距離を凌ぎ、太陽から最も遠い人工物という記録を打ち立てました。また、2006年の8月には、地球から100天文単位(AU)の距離に達したことが報じられ、2006年8月15日には、太陽系の外縁「heliosheath」という太陽の影響がその外側では非常に弱くなる場所まで到達したことが発表されています。

太陽系の外縁「heliosheath」には、低エネルギー粒子、イオンの流れが徐々に変化して殻のようにうずまいていると考えられています。ボイジャー1号は、2010年12月に、計測上は太陽風0の最外縁に達し、そうした場所の計測を行うために、2011年3月7日に方向転換を実施、その後方向を定めるためのガイド星として、アルファ・ケンタウリをとらえたまま、正常に稼働してきました。ボイジャー1号は2013年9月12日には、公式に最初に星間空間に行った人工物として登録され、太陽から19億kmの距離にいることが発表されました。すでに2013年4月の段階で外界へ進みそれまでよりも40倍もの密度のプラズマを浴びていること、外縁ピークが2012年8月頃にあったことなど計測結果から示され、ボイジャー1号がそれらを境に外界へと歩みを進めた初めての人工天体となったことが明らかとなりました。ボイジャー1号のプラズマセンサーは既に機能していませんでしたが、幸運にも2012年3月の太陽バーストを受けて推定を進めることができたようです。

ボイジャー2号は、1986年1月24日に天王星の8万1500キロメートルまで接近し、約千枚の画像撮影に成功しました。天王星とその衛星と輪の撮影、大気組成や内部に関する多量の科学的データ、天王星周囲の磁気環境計測データを得ることが出来ました。

また、ボイジャー2号は、1989年8月25日に太陽からおよそ30AUにある海王星に最接近し、搭載ソフトウェアを改良した結果、約1万枚もの画像撮影に成功しています。ボイジャー2号は、1号とは少し異なる軌道を通ったため、方向が少し違いますが、どちらも太陽系を出る際のボウショック(bowShock)の部分を通過しています。付近での観測の結果、太陽系が受ける放射線帯流の上流方向は磁気バブル(泡)ともいえる流れが沢山うずまいていることが明らかになりました。

さて、2006年1月19日に打ち上げられ、冥王星を目指すNASAのニューホライズン(New Horizons)は、これに続き冥王星以遠を目指す宇宙機で、2007年2月には木星に接近しました。ニューホライズンは、木星のスウィングバイにより速度をあげ、土星および天王星を通りすぎたところです。すでに海王星をとらえた画像が取得されています。土星軌道との交差は2008年6月8日、天王星軌道との交差は2011年3月18日となっています。海王星軌道との交差は2014年8月です。冥王星にターゲットをあてているため、天王星・海王星についてはあまり接近することはありません。ニューホライズンは、2015年7月に冥王星に到達し観測を行った後に、冥王星以遠に小惑星などが多く存在するカイバーベルトと呼ばれる小惑星帯部分を2016年から2020年にかけて通って観測を行い、更に旅を続ける計画となっています。

<参考サイト>

土星及び太陽系の外へ向かった探査機の年表(クリックして拡大)
パイオニアPioneerボイジャーVoyagerカッシーニCassiniホイヘンスHuygensニューホランズンNew Horizons