宇宙技術開発株式会社

新たな発見が続く土星とその月

最終更新 2021.05.31(旧2008年初版より適宜修正した版を改定)

土星は、太陽からおよそ9.537AU(太陽・地球間の平均距離の9.537倍)離れて、太陽の周りを回っています。土星は、太陽系の中では木星に次ぐ大きさのガス主体の惑星です。その特徴は、周囲を取り巻いて回る輪の存在と、目視でもわかるほど扁平であることが挙げられます。また、土星の直径は地球の9倍以上と大きいのですが、その平均密度は非常に低く、結果的に、表面重力が地球表面重力よりやや小さいことがわかっています。土星の最も大きな衛星であるタイタン(Titan)は、水星や冥王星よりも大きいことで有名です。

2010年1月2日カッシーニ撮影の土星
2010年1月2日カッシーニ撮影の土星
Credits: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

さて、現在までに土星に達したミッションは、NASAのパイオニア11号(Pioneer-11)ボイジャー1号と2号(Voyager-1, Voyager-2)、NASAとESAの共同ミッション カッシーニ(Cassini)があります。現在検討中の探査機としては、2027年に打ち上げを目指すドラゴンフライ(Dragonfly)が提案されています。

パイオニアとボイジャーの2つのミッションにより明らかにされた土星

初めて土星に接近したパイオニア11号は、1979年9月1日に2万1,000kmまで最接近しました。いくつもある輪とその間に暗く見えた隙間(カッシーニの隙間と呼ばれている部分)は、当時その組成からして諸説あり、謎とされていました。

細かい粒子が土星の周りを回る輪を、パイオニア11号が初めて接近撮影し、それまで存在がわかっていなかった新しい輪についても発見・命名されました。また、映像撮影だけではなく、磁場の直接測定なども行われました。当時の通説では生命の存在の可能性が大いに期待されていた土星の衛星タイタンですが、パイオニア11号の土星の内部の放熱の測定により、衛星タイタンが生命を維持するには寒すぎることが明らかになりました。

ボイジャー2号の紫外線、紫、緑のフィルターで撮影した3枚の画像を合成
ボイジャー2号の紫外線、紫、緑のフィルターで撮影した3枚の画像を合成
Credits: NASA/JPL/University of Arizona

ボイジャー1号が1980年11月、ボイジャー2号が1981年8月に、土星に最接近した際の観測では、土星の上層大気は7パーセントがヘリウムで、残りのほとんどは水素であることが計測されました。この大気組成が、土星が太陽から得られる熱量に比較すると暖かい原因であるとも言われています。より低い高度では、ヘリウムの値が多くなっていることが予測されました。

また、土星の赤道付近では秒速500mという強風を計測し、中緯度や極域ではオーロラを確認しました。2機のボイジャーは、土星周辺の画像をおよそ1万6千枚撮影しました。

参考サイト

カッシーニ軌道周回船とホイヘンス探査機による土星と衛星観測

土星探査については、NASAとESAが協力したカッシーニ(Cassini)ミッションが、画期的な展開を進めました。カッシーニミッションは、1997年10月15日に打ち上げられたカッシーニ周回機(以降周回機を「カッシーニ」と呼ぶ)とホイヘンス(Huygens)探査機から構成されており、1998年4月と1999年6月に金星スイングバイ、1999年8月には地球スイングバイを実施、1999年12月から翌年4月にかけて小惑星帯を通過し、2000年12月に木星に接近通過し、2004年6月30日に土星軌道に投入されました。

土星の衛星タイタン(Titan)にも接近し、多くの撮影を実施しており、周回機は初めて土星軌道にとどまって観測することで多くのデータを集め、2017年9月15日に土星の大気圏へと飛び込みミッションを終了させるまで活躍しました。

2004年11月にタイタンに接近したカッシーニは、ESAのホイヘンス探査機を2004年12月24日に切り離し、翌2005年1月14日にホイヘンス探査機はタイタンへの着陸に成功しました。ホイヘンスは約2時間半かけてオレンジ色の厚い大気に包まれているタイタンを降下し、その間、大気圧や温度、密度、風、粒子の化学組成を測定しました。高度160kmから下の地上までにわたる大気の計測では、上層大気である成層圏でメタンと窒素が混ざった成分から成ることがわかり、下層部の対流圏から地表に向かってメタン濃度が増加しました。高度20km付近ではメタンの雲が、地表付近ではメタンやエタンの霧が確認されました。高度125km~20kmではエアロゾルのサンプルが採取されました。

2005年1月14日ホイヘンスの取得したデータから
2005年1月14日ホイヘンスの取得したデータから
Credits: ESA/NASA/JPL/University of Arizona

ホイヘンスが毎秒4.5mの速度で着陸したタイタンの地表は、湿った砂や粘土のようでした。主な成分である汚れた水と氷に、炭化水素の氷が混ざっていたため、それまで予想されたよりも暗い色の土壌となりました。地表温度は-180℃(高度500km以上では平均温度が約-100℃で10-20度程度の変動があり、成層圏最上部高度250kmで最高気温の-87℃を記録した。高度44kmの対流圏との圏界面で最低温度の-203℃を記録した。)でした。カッシーニはホイヘンスから3時間44分で474メガビット以上のデータを受信しました。

カッシーニは周回機として土星を周回しつつ、土星の衛星も含めた観測を続けました。カッシーニによる電波観測では、タイタンの厚さ50kmの氷の地殻の内部に、水と思われる液体があり、最大250kmの深さがあると予測されるということです。また、土星の衛星エンケラドス(Enceladus)の接近撮影では液体水の存在が示唆され、予想外に表面に近いところに水が存在することが観測を通して明らかになりました。また、NASAの科学者達は、土星の周辺環境に酸素原子が多く存在する原因として、エンケラドスの低温火山が水を生み出し、それが分解されている結果であるという興味深い結論を導き出しています。

この他の多くの土星の衛星、Phoebe、Calypso、Methone、Pandoraなどについても接近観測を行い、観測の都度、新たな報道が発表されました。また、土星の極方向の様子も高分解能のデータを取得することができました。

探査機からの直接観測だけでなく、地上からも多くの望遠鏡が土星を観測しています。2007年5月11日には、日本のすばる望遠鏡が土星に3個の新衛星を発見したことが発表されました。

2011年7月26日の発表では、ESAが2009年に天文観測衛星として打ち上げたハーシェル(Herschel)衛星からの観測でも、エンケラドスが土星へ水蒸気を供給している様子が明らかにされています。

エンケラドスからのプルームイメージ
エンケラドスからのプルームイメージ
Credits: Credits: NASA/JPL

カッシーニからの継続情報では、エンケラドスの南極付近から塩水起源と思われるプルーム(plume: 噴出していること)現象が捉えられました。極近くの接近観測により、水や蒸気を含むガスや岩石を噴き出す間欠泉(不定期に液体などを吹き出すもので、この場合はプルームとほとんど同義)の解明が行われました。

エンケラドスの表面の30-40kmの凍った殻の下に、10kmほどの深さのある海の存在が判明し、間欠泉の吹き出しには、シリコンを含む岩石も含まれていました。また、エンケラドス表面は、衛星が形成される時に液体が存在していたと思われる、穴の開いた多孔質状態の岩石になっています。

ホイヘンスも着陸した衛星タイタンには、カッシーニは127回の接近観測を行いました。地球と土星の距離はおよそ14億kmであり、太陽と地球の距離のおよそ10倍離れています。地表の大気圧は地球より50%ほど高く、ほとんどが窒素の大気です。観測からは、堅い氷の地表とメタンやエタンからなる液体の海があり、地下に液体の水がある可能性もあるとされています。

カッシーニは、2017年4月に20年に及ぶ探査の最終章を迎えました。2017年4月22日の衛星タイタンへの最後の接近飛行により、カッシーニの軌道を変更して、リスクが大きいため最初は実施できずにいた土星の輪の内側を通過する飛行を行いました。

カッシーニは2017年9月15日に最終的に土星大気に突入するまでに土星を22周回して、そのうち最後の5周回は土星の上層雲を通過しました。カッシーニの粒子検出器は、土星の磁場によって大気中に放出されて環上にある氷の粒子を採取しました。カッシーニのカメラは、土星の環と雲の驚くべき超クローズアップ画像を撮影し、最後の画像は突入の数時間前に地球に送られてきました。

更に、土星の大気突入後も、リアルタイムで新しいデータが送られてきました。質量分析計からは、土星の大気をサンプリングして、その組成を教えてくれる重要なデータが送られてきました。これらのデータは土星の詳細な重力マップを提供して、惑星の内部構成の解明に役立てられます。

左右にスクロールしてご覧ください。

プロジェクト名 カッシーニ-ホイヘンス(Cassini-Huygens)
探査機名 カッシーニ(Cassini) ホイヘンス(Huygens)
国/機関 米国/NASA(ESA共同プロジェクト) 欧州/ESA(NASA共同プロジェクト)
打ち上げとイベント 1997年10月15日:打ち上げ
2000年12月:木星接近
2004年6月30日:土星軌道投入・カッシーニが土星周回 2004年12月24日:ホイヘンス切り離し
2005年1月14日:ホイヘンスがタイタン着陸
2006年3月8日:エンケラドスに液体水を確認
2006年7月21日:タイタンにメタンの池を確認
2008年5月31日:基本ミッションの終了、その後も木星を周回・衛星等の接近観測
2008年10月8日:エンケラドスに25kmまで最接近
2014年3月5日:タイタンの100回目の接近観測
2016年4月13日:星間ダスト(宇宙塵)サンプルを取得
2017年4月26日:カッシーニが木星へと飛び込み22周回の旅をするグランドフィナーレ開始
2017年9月15日:ミッション終了
搭載機器
  • プラズマ計測器(CAPS: Cassini Plasma Spectrometer)
  • コズミック・ダスト計測器(CDA: Cosmic Dust Analyzer)
  • 赤外線計測装置(CIRS: Composite Infrared Spectrometer)
  • イオンおよび中性子質量分析器(INMS: Ion and Neutral Mass Spectrometer)
  • 画像化サブシステム(ISS: Imaging Science Subsystem)
  • 磁力計(MAG: Dual Technique Magnetometer)
  • 磁気圏画像化装置(MIMI: Magnetospheric Imaging Instrument)
  • カッシーニ搭載レーダー(RADAR: Cassini Radar)
  • 電磁波およびプラズマ科学装置(RPWS: Radio and Plasma Wave Science)
  • 電磁波科学サブシステム(RSS: Radio Science Subsystem)
  • 紫外線画像化装置(UVIS: Ultraviolet Imaging Spectrograph)
  • 可視および赤外線マッピング装置(VIMS: Visible and Infrared Mapping Spectrometer)
  • エアロゾル計測器(ACP: Aerosol Collector and Pyrolyser)
  • 降下時の画像化およびスペクトル放射計測(DISR: Descent Imager and Spectral Radiometer)
  • ドップラー風観測器(DWE: Doppler Wind Experiment)
  • ガス・クロマトグラフィーと質量スペクトロメータ(GCMS: Gas Chromatograph and Mass Spectrometer)
  • ホイヘンス大気構成計測装置(HASI: Huygens Atmospheric Structure Instrument)
  • 表面計測科学パッケージ(SSP: Surface Science Package)

参考記事サイト

参考サイト

将来計画

カッシーニミッションが成功に終わり、まだ研究途上のデータが多くある中ですが、次の土星の衛星タイタンへのミッションコンセプトドラゴンフライ(Dragonfly)が立ち上がってきています。

探査により解明されているタイタンは、水星よりも大きく、太陽系内で2番目に大きな衛星です。太陽から遠く離れているため、表面温度は-93℃程度(高度500km以上)とされています。地下には液体の水の海があり、地表にはメタンの湖や川、メタンの雲や雨もあります。大気中ではより複雑な有機物が形成され、淡雪のように降り注ぎます。タイタンには地球帰還のための燃料となり得る物質が豊富にあります。

ドラゴンフライのタイタンへの旅は、打ち上げが2027年で、地球から7年かかる長い旅になります。タイタン到着後は32か月かけて、大気圏と地表を探査し、タイタンの多様な環境を探索します。高密度な大気を利用して、8枚羽のマルチローターの機体を飛行させる計画です。(2019年にNASAからコンセプトムービーが公開されています)

参考サイト

天王星・海王星・冥王星・カイパーベルト

土星を超えて、更に遠方の天王星、海王星までは、ボイジャー2号が接近し撮影に成功しています。冥王星には、NASAのニューホライズンズ衛星(New Horizons)が接近撮影を行い、更に冥王星軌道よりも外側のカイパーベルトに属する小惑星の観測も進めています。

天王星は、木星、土星に次いで太陽系内で大きい惑星で、内部は主に岩石と氷で構成され、水素とヘリウムの厚い大気を持っています。僅かに青く見えるのは天王星の大気が赤い光をより吸収するメタンが僅かに含まれているからです。天王星の環の存在は、1977年に地上望遠鏡により既に発見されていましたが、ボイジャー2号でははっきりと撮影されました。

Voyger2号撮影の天王星
Voyger2号撮影の天王星
Credits: NASA/JPL

ボイジャー2号は、1986年1月に天王星に接近し、1月24日には天王星上空81,500kmの距離まで接近し、天王星の衛星や大気内部、天王星を取り巻く磁気環境や画像などのデータを送信しました。天王星は直径5万1,000kmで、自転軸は、ボイジャー2号が接近した時は、ほぼ公転面にあり、南極方向が太陽側に向いていました。また、当時確認されていた5つの大きな惑星以外に、11個の新たな衛星を発見しました。観測データから天王星の自転速度が17時間14分であること、磁場が大きく、1年間の日照時間が短く赤道域と極域の温度が変わらないこともわかりました。

参考サイト

ボイジャー2号は、1989年8月25日に太陽からおよそ30AUにある海王星に最接近しました。海王星の北極上空4950kmを通過し、海王星最大の衛星トリトンから約4万kmの距離を接近観測しました。海王星は、木星、土星、天王星に続くガス惑星で、固体表面はありません。大量の水素とヘリウム、微量の他のガスを含んでいます。ボイジャー2号は、海王星最大の衛星トリトンも撮影しています。

Voyger2号撮影の天王星
Voyger2号撮影の天王星
 Credits: NASA/JPL

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ニューホライズンズの捉えた冥王星
ニューホライズンズの捉えた冥王星
 Credits: NASA/JHUAPL/SwRI

ニューホライズンズは、2006年1月19日に打ち上げられ、木星のスイングバイにより速度を上げ、土星および天王星、海王星軌道を通り過ぎ、冥王星へと到達しました。土星軌道との交差は2008年6月8日、天王星軌道との交差は2011年3月18日、海王星軌道との交差は2014年8月25日でした。目的としていた冥王星には、2015年7月に到達し、7月14日に最接近して観測を行いました。

冥王星は、固体窒素が存在する非常に冷たい世界が広がっていました。その中には予想以上に水氷が含まれていることもわかってきました。搭載した高分解能カメラLORRIでは、80mの解像度での冥王星の姿を捉えることに成功しました。低分解能のカメラRALphのカラー情報を使い、合成された画像が作成されました。赤っぽい暗い色の部分はメタンが太陽光にさらされてできる分子であるソリン(tholins)の層と考えられています。窒素に浮かぶ固体窒素よりも密度の小さい水氷の丘が、地球の北極で見られる氷山のように、窒素の凍った海に浮かんでおり、移動するということです。また、冥王星大気は窒素が主成分で、他にメタンや一酸化炭素がいくらか含まれていることがわかっています。山頂に白く見えるところは大気から凝縮したメタンが山頂に積もっていると考えられています。

接近時の画像では、18,000km離れた場所から撮影されハートマークで有名となったスプートニク平原で、幅は1,250kmある画像や、3,500メートル級の山岳域をはっきりと確認できました。スプートニク平原の南端側の拡大画像では、窒素氷が大気へ昇華して吹き上げられ、また固化し、この区域に堆積したと推察される場所や、窒素氷の流れなども推定できます。

ニューホライズンズの捉えたシャローン
ニューホライズンズの捉えたシャローン
 Credits: U.S. Naval Observatory; NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research InstituteL

冥王星の衛星シャローン(Charon:カローンとも言う)も極域側が赤黒い色が分布する特徴的な姿でした。こちらはソリンと考えられ、一説ですが、とても低い表面温度の-213度~258℃の環境で、冥王星から少しずつ逃げた大気がシャローンに捉えられすぐに固体となり降り積もり、ソリンのような物質として堆積しているのではないかと考えられています。

ニューホライズンズでは、それまでハッブル宇宙望遠鏡でその存在は発見されていたものの、姿がわからなかった冥王星の衛星のニックス(Nix)とヒドラ(Hydra)、ケルベロス(Kerberos)、ステュクス(Styx)の高分解能の画像が取得されました。

ニューホライズンズが搭載する7つの機器で取得した冥王星観測のデータは、合計50ギガバイト以上になりました。NASAの深宇宙探査ネットワークを経由したダウンロードは、2016年の10月25日に最後の数百ビットをキャンベラ局で受信し、やっと終了し(469日費やした)、解析データが順次公開されました。

冥王星観測後のニューホライズンズは、小惑星などが多く存在するカイパーベルトと呼ばれる小惑星帯へと進みました。カイパーベルト内にあり太陽から50億km以上離れた145kmほどの大きさの天体「1994 JR1」を、ニューホライズンズは2回(1回目は2015年11月、2回目は2016年4月)撮影しました。その2回の撮影データを組み合わせることで、この天体の位置を1,000km以内の誤差で特定しました。4月の観測では距離が縮まったため、より詳細な観測が行われました。他のカイパーベルトの天体と比較して、自転周期が少し速い(5.4時間で自転)ことが確認できました。

次にニューホライズンズは、カイパーベルト天体「2014 MU69」(愛称はウルティマ・ティーレ(Ultima Thule))到着を目指し、2015年7月14日の冥王星接近以来、2度の休眠を経て、2018年6月5日午後3時12分に休眠モードから脱して活動を再開しました。2019年1月1日に最接近したウルティマ・ティーレは、雪だるまのような形状の天体でした。長さは約33km、小さい球形の方をティーレ、大きい方はウルティマと呼ばれ、赤茶けた姿であることがわかりました。IAUの命名規則に基づき、発見チームは天体の永久的な名称を選ぶ特権を得て、2019年11月に正式名アロコス(Arrokoth)が認定されました。2019年ニューホライズンズは更に太陽系の外側へと向かいました。

参考サイト

太陽系外を目指した探査機のその後

探査機のその後ですが、ボイジャーの速度より遅かったパイオニア10号は、途中でボイジャーに太陽からの飛行距離を追い越されました。パイオニア10号は2002年4月27日に、最後のテレメトリデータを受信しています。その後何回かコンタクトを試み、2003年1月23日に微弱な信号を取得していますが、その時にはもう「地上から送ったアップリンク信号がパイオニア10号に届いて正常に動作したかどうか」については、確認することができなかったそうです。2006年にも探査が試みられましたが応答は検出できませんでした。パイオニア10号は静かに深宇宙から恒星空間へと進み、おうし座の赤色矮星アルデバランを目指します。アルデバランは約68光年の距離にあるので、パイオニア10号は到達するのに計算上200万年以上かかります。

一方、パイオニア11号ボイジャー1号と2号は、先のパイオニア10号とは逆方向の太陽系が受ける放射線帯流の川上方向(銀河から太陽系が受ける流れと同方向)に向かって飛行していきました。パイオニア11号は、1995年9月30日からの通信を最後に、通信アンテナの視野が地球に届かない範囲となって、地球との通信は失われました。

2012年太陽圏界面を進むVoyger1号と2号のイメージ
2012年太陽圏界面を進むVoyger1号と2号のイメージ
 Credits: NASA/JPL

ボイジャー1号は土星に接近後、飛行し続け、1990年2月14日には太陽と6つの惑星(金星、地球、木星、土星、天王星、海王星)の外側から見た「太陽系ファミリー」の写真撮影を行いました。ボイジャー1号は1998年2月17日にパイオニア10号が旅した距離を凌ぎ、太陽から最も遠い人工物という記録を打ち立てました。

ボイジャー1号は、2006年の8月には、地球から100天文単位(AU)の距離に達したことが報じられ、2006年8月15日には、太陽系の外縁「heliosheath:ヘリオスシース」という太陽の影響がその外側では非常に弱くなる場所まで到達したことが発表されました。

太陽系の外縁「heliosheath」には、低エネルギー粒子やイオンの流れが徐々に変化して殻のようにうずまいていると考えられています。ボイジャー1号は、2010年12月に、太陽風の方向が変わったため計測上は太陽風0の最外縁に達し、付近の計測を行うために2011年3月7日に方向転換を実施しました。その後、方向を定めるためのガイド星としてアルファ・ケンタウリをとらえ直し、正常に稼働しました。ボイジャー1号は2013年9月12日には、公式に最初に恒星空間に行った人工物として登録され、太陽から19億kmの距離にいることが発表されました。ボイジャー1号のプラズマセンサーは既に機能していませんでしたが、幸運にも2012年3月に発生した太陽嵐に伴うデータの変化によって推定できたようです。

ボイジャー2号は、1号とは少し異なる軌道を通ったため、方向が少し違いますが、どちらも太陽系を出る際のボウショック(bowShock)の部分を通過しています。付近での観測の結果、太陽系が受ける放射線帯流の上流方向は磁気バブル(泡)ともいえる流れが沢山うずまいていることが明らかになりました。

先へと進むボイジャー1号と2号は、太陽系の外縁部に到達し、ボイジャー1号は2012年8月に、ボイジャー2号は2018年12月に太陽圏界面(Heliopause: ヘリオポーズ)を脱し、恒星空間へと踏み出したことが確認されました。

参考サイト

土星及び太陽系の外へ向かった探査機の年表
土星及び太陽系の外へ向かった探査機の年表
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