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続く火星探査レース

リニューアル公開日 2021.04.09|最終更新 2021.09.06

続く火星探査レース

火星は、太陽系の惑星の中でも、地球のすぐ外側の軌道にあります。大きさは地球の約半分の直径(赤道面)で、平均密度は地球の約70%と軽く、重力は地球のほぼ3分の1の惑星です。また、火星を回る衛星としてはフォボスとダイモスの2つがあります。火星の1年は地球の約687日にあたります。火星は、硬い大地と大気のある地球型の惑星であることから、生命が生まれた可能性のある星として、継続的に探査が進められてきました。

2004年以降、火星を上空から観測するだけでなく、火星上を探査する着陸機やローバーが常駐するようになり、それまではっきりとはわからなかったことが、次々とあきらかになってきました。

更に2016年にドラスティックに改変された米国の主導する火星までのロードマップは、それまでの探査計画をスピードアップする展開となりました。2021年2月には3機(アラブ首長国連邦(UAE)のHOPE、中国のTianwen 1、米国のMars2020)の火星探査機が火星軌道に到着し、火星の周回軌道上で運用されていた6機の探査機にUAEと中国の探査機が仲間入りしたため、2021年4月現在、米国(Mars Odessey、MRO、MAVEN)、欧州(Mars Express、TGO)、インド(MOM-1)、中国(Tianwen 1)、アラブ首長国連邦(HOPE/EMM)の計8機の火星周回探査機が運用されています。

火星マップ
Credits: NASA/USGS 鉱物組成マップと高度マップ

火星は、希薄な大気と零下40度以下の平均気温(場所によりかなり環境は違い、気温が上がるところもあります)など、水星や金星とはまた別の意味での過酷な環境であることもわかっています。しばしば生じるダストストームは、火星表面に滞在する探査機(探査ステーションやローバー)を故障させる大きな原因となります。観測結果からは大気組成や気候、岩石組成も近年ではかなり詳しく計測されてきており、大気中にもごく微量の酸素や水蒸気があること、地下に水の氷が存在することなどが明らかとなってきています。

火星上では、人間が活用し易い水の形態で水が存在しているか、また、どの程度の量があるのかについての推定に移っています。火星に人が向かうには、課題はまだ山積ですが、有人探査を見据えた探査機やロボット、宇宙船開発など、着実にステップアップし研究開発を行っています。

火星探査の歴史1「1960年代からの火星探査レース」

旧ソ連と米国による火星探査の競争は、1960年代に既に始まっていました。旧ソ連では1960年にマーズニク1号、2号(Marsnik-1, 2)、1962年にスプートニク22号(Sputnik-22)、マーズ1号(Mars-1)、スプートニク24号(Sputnik-24)など多くの火星探査ミッションが計画されましたが、残念ながら全て失敗しています。
米国ではマリナー3号(Mariner-3)の失敗の後、1964年にマリナー4号(Mariner-4)が初めて火星のフライバイ撮影に成功しました。

1969年に打ち上げられた米国のマリナー6号と7号(Mariner-6, 7)が4号に続き火星の接近撮影に成功し、火星表面の20%に達する写真撮影や、火星大気の紫外線、赤外線、ラジオ波の放射計測に成功しました。同年のソ連の火星探査機2機の打ち上げ失敗後、1971年の米国のマリナー8号と旧ソ連のコスモス419(Cosmos-419)の失敗と続きます。しかし、1971年に旧ソ連はマーズ2号、3号(Mars-2, 3)の打ち上げを成功させ、予定していた着陸船での着陸後の撮影はできなかったものの、2機ともに火星の撮影を行いました。

一方、同1971年に打ち上げられた米国のマリナー9号(Mariner-9)は、火星周回軌道からの継続的な火星の撮影に成功しています。1973年に旧ソ連が連続して4機打ち上げたマーズ4号, 5号, 6号, 7号(Mars-4, 5, 6, 7)のうちマーズ5号が、火星周回軌道から火星の大気と表面の構成、構造を計測するのに成功しました。

1975年に打ち上げられた米国のバイキング1号と2号(Viking-1, 2)では、初めて着陸船から鮮明な画像を撮影することができ、地形、気温や気圧変化などの計測値を得ることができました。しかし、期待されていた「生命の存在する」或いは「存在した」根拠となるものを見つけることは出来ませんでした。

1979年に米露の冷戦の一応の終結をみた後、他の探査ミッションと同じく、長く火星の探査ミッションは中断されました。再開されたのはアフガニスタン侵攻やイラン・イラク戦争が過ぎ、1989年の冷戦終結宣言が見えてきた80年代後半になってからです。1988年に旧ソ連のフォボス1号と2号(Phobos-1, 2)が打ち上げられ、2号については予定通り飛行中の磁気や粒子計測を行い、火星と火星の衛星フォボスまで飛行し、データを取得しました。1号は途中で通信が途絶え、2号はフォボスの画像37枚を送信しましたが、残念ながらフォボスへの着陸・探査には失敗してしまいました。

その後は、1992年に打ち上げられた米国のマーズ・オブザーバー(Mars Observer)、1998年打ち上げのマーズ・クライメイト・オービター(Mars Climate Orbiter)、1999年打ち上げのマーズ・ポーラー・ランダー(Mars Polar Lander)、ディープ・スペース2号(Deep Space2: DS2)と続きますが、ロシアのマーズ96(Mars 96)も含めて、これら多くの試みは失敗に終わりました。その中で見事な成功を収めたのが、1996年に打ち上げられた米国のマーズ・グローバル・サーベイヤー(Mars Global Surveyor)マーズ・パスファインダー(Mars Pathfinder)です。

火星探査の年表(1/3)
Credits:SED 火星探査の年表(1/3)

参考サイト

火星探査の歴史2「冷戦後の火星周回機と着陸機での探査」

NASAが1990年代半ば以降から進めてきた火星探査計画は、ミッションが成功したものにだけ焦点をあてても、周回機が3機、着陸機も2012年のキュリオシティまでで4機が運ばれました(1975年のバイキング1号と2号を含めると着陸機通算は6機目)。

1996年打ち上げのマーズ・グローバル・サーベイヤーは、周回軌道上から火星のマッピングや気候変動観測が長期間実施されました。マーズ・グローバル・サーベイヤーは、2001年1月に基本的なミッションを終えた後も、繰り返し火星の気候変化などのデータを送り続け、2003年に打ち上げられたスピリット(Spirit) オポチュニティ(Opportunity)両探査機の着陸地点評価にも貢献しました。マーズ・グローバル・サーベイヤーは、その後2006年11月に2回通信が途絶えて運用を終えました。

マーズ・グローバル・サーベイヤーと同時期のマーズ・パスファインダーは、着陸機から1台の小型ローバーソジャーナ(Sojourner)を降ろし、1997年に83日間と短期間ながら火星上の多くの映像を届けることに成功しています。

次に2001年打ち上げのマーズ・オデッセイ(Mars Odessey)が火星を周回し、火星表面の化学組成・鉱物量などを観測し、2002年初めに極域に氷として存在する水の発見に導きました。2006年には100m解像度の火星モザイクの作成や、将来人類が火星に行くための放射線環境リスクを特定するなどの成果をあげています。2021年現在も運用を続けています。

オポチュニティの歩んだ道
Credits: NASA/JPL-Caltech/MSSS オポチュニティの歩んだ道(2018/6/10撮影のMRO画像へ記載されたもの 2019/4/25公開)
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2004年に火星着陸に成功したスピリットとオポチュニティの双子のローバー(探査車)は、火星表面を移動しながら探査しました。両ローバーはそれぞれ6つの車輪を持ち、観測のために電子機器と太陽電池パネル、カメラ、通信アンテナなどを搭載しています。

スピリットとオポチュニティは探査車として必要な、傾斜などの危険を回避する簡単な能力を有していました。火星上の岩石組成などを調査しながら、最初の3年の観測で、数kmから10km程度の探査を終えました。オポチュニティについては、2010年7月には何度にもわたるダストストームなど、いくつもの障害を乗り越え、2011年8月9日に火星上にある「エンデバー・クレーター」に到達しています。しかし、2018年6月13日に火星表面の4分の1を覆ったダストストームのため、遂に発電量が低下し通信が途絶えました。オポチュニティの走行距離は45.16kmに達しました。また、スピリットについては、約6年間の運用の後、2010年に通信を終えています。

ESAでは、米国のスピリットとオポチュニティと同じ2003年に、火星周回機マーズ・エクスプレス(Mars Express)を打ち上げました。マーズ・エクスプレスには、着陸して探査するローバー(探査車)のビーグル2号(Beagle 2)が搭載されていましたが、着陸後の通信が出来ず失敗しました。

2003年12月に火星周回を開始したマーズ・エクスプレスは、2021年現在も観測を続けています。搭載機器のMARSIS は、NASAのマーズ・リコネッサンス・オービターのレーダー SHARADを補足して、火星の地下5kmまでの計測を可能にしています。マーズ・エクスプレスにより作成された火星マップでは、10km以上の高低差のある火星表面形状を明らかにしています。

更に2011年1月には、マーズ・エクスプレスは火星の衛星フォボスに接近し、同6月の接近時には、木星の横をすり抜けるように見えるフォボスの動画を撮影して話題となりました。2012年2月6日の発表では、搭載しているレーダーにより明らかにされた北部平原に広く残る氷を含む堆積性鉱物や、海岸線とおぼしき浸食状況など、火星に刻まれた水の歴史を示すとされる撮影を行っています。太陽と火星の合にあたる2015年5月には、Webカメラを学校や若手グループに利用してもらうキャンペーンなどユニークな展開も行われました。2018年4月4日には、高分解能カメラHRSCで撮影されたコロレフ(Kororev)クレーターが話題となりました。

コロレフクレーター
マーズ・エクスプレス撮影 コロレフ・クレーター

NASAが2005年に打ち上げたマーズ・リコネッサンス・オービタ(MRO:Mars Reconnaissance Orbiter)は、2006年の3月に火星を周回する極軌道に投入され、その後高度を約300kmにまで下げて観測を開始し、現在もこの極軌道を周回しながら高解像度のカメラによる観測を行っています。高解像度カメラを使って、スピリットとオポチュニティなどのローバーや、1997年に着陸したマーズ・パスファインダーの着陸地付近のクローズアップ撮影に成功しました。マーズ・エクスプレスと同様に高度マップも作成されています。

マーズ・リコネッサンス・オービターは6つの機器を搭載しており、そのうちのCRISM (Compact Reconnaissance Imaging Spectrometer for Mars)では、18mの解像度で鉱物表面を544色で識別することに成功しています。また、流水で形づくられたと推定される地形の撮影など、以前に火星表面の観測を続けたマーズ・グローバル・サーベイヤーの地表構造などのデータを更新するデータを収集しています。マーズ・リコネッサンス・オービターのデータは、2007年8月に火星着陸・探査のために打ち上げられた着陸機フェニックス(Phoenix)の火星着陸地点評価でも利用されました。

MROの表面高度データスケール入り
MROの表面高度データスケール入り
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MROの表面高度データに着陸地点を入れたもの
Credits: NASA/JPL-Caltech MROの表面高度データに着陸地点を入れたもの
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夏から秋にかけての氷の変遷を観測することを含めたミッション

フェニックスの着陸場所は火星の北緯68度、東経234度の地点で、バイキングやマーズ・パスファインダー、オポチュニティなど、それまでの着陸・探索地点が低緯度域中心であったのに対し、かなり北の地点です。フェニックスの着陸地点は永久凍土に近く、氷が存在することを示唆するといわれる矩形の紋が画像上で確認されました。

2008年6月9日に、ロボットアームの先にあるシャベルで採取した火星の土壌を分析器へと送る作業が開始されました。同6月15日には、採取土壌が乾いた土壌から凍って白く見える湿った土壌まで到達したことが確認されました。表層1インチほどの土壌分析により、わずかにアルカリ性(PH8-9)であり、様々な塩の複合化合物、マグネシウムやナトリウム、カリウム、塩化化合物の存在が確かめられました。フェニックスには、土壌を1,000度に熱して成分を分析するTEGA(Thermal and Evolved-Gas Analyzer)という小さなオーブン分析装置が初めて搭載されました。

一方、気象データも取得され、2008年6月11日の気象データ例では、最低気温摂氏マイナス82度、最高気温マイナス26度が観測されました。この時点での火星の着陸機の成功率はまだ半分程度でしたが、フェニックスは、その低い成功率を乗り越え、着陸と活動の双方に成功をおさめました。実際に水が含まれているということだけでなく、その氷が実際に溶けていた時代があったのか、採取サンプルには炭素化合物が含まれているのか、微生物が好む環境があった(ある)かについて調べ、かつて生命が存在し得たかまたは現存しているかについて肉薄しました。予定された3ヶ月のミッション期間に加え、2ヶ月近い延長ミッションを実施した後、火星の厳しい天候変化の影響で2008年11月2日以降通信が断絶し、2010年5月24日に運用終了が発表されました。

火星探査の年表(2/3)
Credits:SED 火星探査の年表(2/3)
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近年活躍の火星周回機
Credits:SED 近年活躍の火星周回機
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マーズ・パスファインダーとスピリットとオポチュニティとフェニックスの搭載センサ
Credits:SED 近年活躍の火星着陸機
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参考記事サイト

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ついに上空から火星に水を発見…

2008年2月、NASAの火星周回機マーズ・リコネッサンス・オービター(以降MRO)からは火星の衝撃的な映像が届きました。火星の上空から撮影した映像には、火星の北極域のとても広い範囲で(二酸化炭素によるドライアイスではない)水の氷の存在が映し出されました。その中には地球上と同じような雪崩が映っていました。

MROが搭載した高解像度カメラ(HiRISE)の画像は、北緯83.7度、東経235.8度の地域の数kmにわたる広い氷の棚状の地形と、その高低差700m以上の坂を煙をあげてころがり落ちる氷を示していました。同地域では、気候変動に於ける二酸化炭素の霜、いわゆるドライアイスも含んだ氷の増減が観測されてきましたが、雪崩が撮影された2008年2月19日は、火星でも春にあたります。

2013年1月20日の発表では、MROの画像から、直径92km、深さ2.2kmというマクラフリン・クレーター(McLaughlin Crater)の中の方に地下水湖が形成されているのではないかと予測されています。

MRO撮影の雪崩 2008年2月
Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona
MRO撮影の雪崩 2008年2月

MROには、高解像度カメラ(HiRISE)の他にもコンパクト・リコネッサンス・イメージング・スペクトロメータ(CRISM)他の装置を搭載しています。これらから得られた画像の中には、古代の川が泥のような鉱物を運んでデルタを形成したと考えられる地形が見られます。この泥のような鉱物はフィロシリケイト(phyllosilicate)と呼ばれていて、およそ38-46億年前に形成されたと予測されており、科学者達は大きく分けて、アルミニウムのフィロシリケイト、水酸化珪素またはオパールのフィロシリケイト、最も広域に見られる鉄かマグネシウムのフィロシリケイトと、約3種類に分けています。かつての水の存在や生命の存在を彷彿とさせるものとして、更に研究を進めている火星上の新しい注目材料です。

マーズ・オデッセイとMROとマーズ・エクスプレスにより、全球データの地形や地質マップは更に高度化されています。

NASAは2011年11月27日にマーズ・サイエンス・ラボラトリ(MSL: Mars Science Laboratory)を打ち上げ、2012年8月6日に着陸機に搭載されたローバー キュリオシティ(Curiosity)が火星に着陸しました。低緯度地域に着陸したキュリオシティは、2008年に活躍したフェニックスに続いて土壌分析を行い、火星の生命の痕跡や可能性の追求を続けています。キュリオシティは過去最大の重さ900kgでしたが、火星着陸では最もクリティカルな大気圏突入から着陸までの7分間に耐えて、成功をおさめました。着陸前軌道修正も含め、着陸時およびその直後から万全の通信態勢をとるため、マーズ・オデッセイ、マーズ・リコネッサンス・オービター、マーズ・エクスプレスと、当時火星軌道を周回中の探査機が総動員されました。

キュリオシティは、先のローバーのスピリットやオポチュニティ(約170kg)の5倍も重く、6つの車輪と堅い岩盤を掘り進めるドリルを持っています。キュリオシティは、ゲールクレーター着陸後に少し移動しながらパノラマ画像を地上に送ってきました。また、土壌分析も始めました。火星表面の砂を避けると、少し白っぽい土壌が出現する場合や堆積地層らしきものが見られたり、紫外線ランプに強く反応する岩石があったり、多くの画像データが届いています。また、土壌をあたためた場合に発生する気体には、水蒸気や二酸化炭素、酸素、二酸化硫黄が計測されており、硫化化合物が土壌に存在することがわかっています。リアルタイムに近い形で公開されているデータもあり、現在では最も馴染み深いデータとなっています。

一方、2011年11月9日に打ち上げられたロシアのフォボス・グルント(Fobos-Grunt)は、ロケットからの分離に失敗し、2012年1月初旬には地球の大気圏に突入しました。同探査機は火星探査だけでなく、火星の衛星フォボスに着陸しサンプルを採取して、約200gの土壌サンプルを地球に持ち帰る計画でした。また機体の下部には中国の小型火星周回衛星Yinghou1号(蛍火1号)も相乗りで搭載されていました。

NASAは2013年11月19日に、メイブン(MAVEN:Mars Atmosphere and Volatile EvolutioN)という火星を周回しながら周辺大気や環境を観測をする衛星を打ち上げ、2014年9月21日に火星に到達しました。メイブンでは、火星の薄い大気がどのように変化して、かつての大気構成がどのように変化したのかに迫るデータの取得を目指しています。2015年11月6日の発表では火星大気は、太陽風により毎秒100グラムほど失われていることが、メイブンの計測により明らかにされています。太陽嵐の時には更にこうした傾向は強まり、太陽活動が活発であった数十億年前の火星では、宇宙へと失われた大気の割合は更に多かったと考えられます。また、メイブンは火星のオーロラに関するデータの解析にも貢献しています。

インドは、2013年11月5日に火星探査機マーズ・オービター(MO-1:MarsOrbiter)を打ち上げ、メイブンと同日の2014年9月24日に火星周回軌道に投入されました。マーズ・オービターの搭載センサーは5つで、火星大気研究のためのライマン・アルファ・フォトメータ(LAP)、メタンセンサー(MSM)、粒子環境研究のための外圏中性構造解析装置(MENCA)、火星表面画像化研究のためのカラーカメラ(MCC)、熱赤外線画像化スぺクトロメータ(TIS)となっています。インド宇宙機関(ISRO)から様々な画像が公開されています。

マーズ・サイエンス・ラボラトリとフォボス・グルントとマーズ・オービターとメイブンの搭載センサ
Credits:SED 近年の火星探査・着陸機
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参考記事サイト

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これからも続く火星探査将来計画

エグゾマーズ(ExoMars)の外観
エグゾマーズ着陸機の外観

ESAはロシアと協力し、エグゾマーズ(ExoMars)という前期(2016年)と後期(2022年)の2回に分けたの火星着陸・探査ミッションを行います。前期のエグゾマーズミッションは、2016年3月14日に打ち上げられた軌道周回機トレース・ガス・オービター(TGO: Trace Gas Orbiter)と着陸機のスキャパレリ(Schiaparelli)から構成されました。スキャパレリは2016年10月17日に火星に到着し、同19日に降下しましたが、逆噴射に失敗して大破しました。一方で、トレース・ガス・オービターは長楕円軌道からの軌道変更を行い、2018年中頃には高度400kmの円軌道に移行しました。

エグゾマーズ後期ミッション(ExoMars 2022) は、2022年9月末の打ち上げ予定であり、欧州の着陸ローバーロザリンド・フランクリン(Rosalind Franklin)とロシアの着陸プラットフォームで構成されます。

NASAは2018年5月5日に、フェニックス着陸機の設計を流用して早くて安価に開発を行ったインサイト(InSight)を打ち上げました。インサイトは、ドリルで地中5mまで掘り、熱量計を設置して地下の様子を探査します。2018年11月27日に赤道近くのエリシウム平原(Elysium Planitia) に着陸成功し、12月19日には装置設置を行い、観測を開始しました。無線中継には2機のキューブサットMarCOが使用されました。インサイトは、火星で生じる地震のデータを取得しています。ケルベルス地溝帯(Cerberus Fossae)と呼ばれる地域で地震活動が活発であることを研究で明らかにしており、ミッション期間は2022年12月まで2年間延長されています。

インサイトの着陸位置
Credits: NASA/JPL-Caltech 
インサイトの火星上の着陸位置
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Perseverance着陸位置
Credits: NASA/JPL-Caltech 
パーサヴィアランスの火星上の着陸位置
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2020年夏には、火星探査機が3機、打ち上げられました。NASAのマーズ2020(Mars 2020)と、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機 「HOPE」(Al-Amal):EMM (Emirates Mars Mission)と、中国の火星探査機「天問1号」(Tianwen 1) です。それらの計画当初はエグゾマーズ後期ミッションも2020年に打ち上げられる予定でしたが、こちらは2022年に延期となりました。

マーズ2020(Mars 2020)は、2020年7月30日に打ち上げられ、幅約45kmのジェゼロ・クレーター(Jezero Crater)へ2021年2月にパーサヴィアランス(Perseverance)ローバーを着陸させました。パーサヴィアランスは、キュリオシティを改良したローバーで、重さは1,025kgとキュリオシティより126kg重くなりました。ジェゼロ・クレーターは、比較的赤道に近い(北緯18度51分、東経77度31分)領域で、着陸地点は、キュリオシティが探査しているゲール・クレーター(Gale Crater)から、約3,700kmも離れています。科学者たちは、この地域には水が豊富にあり、古代の河川が造ったデルタ地形があったと考えています。

パーサヴィアランスは、将来のミッションで地球に持ち帰るための火星の岩や土壌サンプルを収集します。有機物や鉱物を調査する搭載機器SHERLOCには、新しい火星用のサンバイザー素材など宇宙服素材候補もセットされています。こうしたサンプル素材は、火星表面の強い放射線に耐えられるかどうかを観察するために使用されます。

パーサヴィアランスは、火星初のヘリコプターとなるインジェニュイティ(Ingenuity)が搭載されており、飛行試験を行います。インジェニュイティは、高さ0.49m、1.8kgの小型ヘリコプターで、リチウムイオンバッテリーを太陽電池で充電して動力に使います。パーサヴィアランスが中継するコマンドを受信して自律飛行を行います。

火星では軌道上探査機と地上探査機による直接観測を経て、地質調査が進むと共に、火星の1年(地球の2年)の間に発生するダストストームの規模についても、ある程度把握されてきています。塵の舞い上がりや輸送を予測し、小さな嵐がどのようにして惑星全体を包み込む大きな嵐へと発展していくのかを予測し、将来の科学や探査ミッションにとって役立てようと考えられています。

気温や風速について、パーサヴィアランスのMEDA(Mars Environmental Dynamics Analyzer)、キュリオシティのREMS(Rover Environmental Monitoring Station)、インサイトのTWINS(Temperature and Winds for InSight) の装置が、それぞれの着陸探査地域(ジェゼロ・クレーター:北緯18度51分、東経77度31分、ゲール・クレーター:南緯4.5度、東経137.4度、エリシウム平原:北緯4.5度、東経135.9度)のデータを出しています。大気情報も入手でき、火星の気象パターン、イベント、大気の乱れなどの気象条件を検討するのに役立っています。

UAEの火星探査機HOPE/EMM(重さ1,350kg)は、2020年7月20日に打ち上げられ、2021年2月に火星周回軌道に投入されました。火星の可視画像を撮影する多波長イメージャEmirates eXploration Imager (EXI)は、複数の紫外線バンドを使って、薄い大気中の水の氷やオゾンの割合を計測します。Emirates Mars Infrared Spectrometer (EMIRS)は、赤外線スペクトロメータで、大気中の塵や氷雲、水蒸気などの光学的な深さや火星表面と下層大気の温度も測定します。Emirates Mars Ultraviolet Spectrometer (EMUS)は、紫外線を使い火星の上層大気の一酸化炭素、酸素、水素などの分布を測定します。いずれも火星の大気観測を行うもので、他の火星ミッションの成果も加え、火星の上層の大気の変化や気候を理解することを目的としています。

中国の天問1号(Tianwen 1)は、2020年7月23日に打ち上げられ、2021年2月に火星周回軌道に投入されました。火星軌道投入時の探査機の質量は1,285kgで、そのうち火星に着陸する機体は240kgです。火星を周回して観測を行う軌道機のミッション寿命は、火星の1年にあたる約687日とされています。5月5月15日(土)午前8時着陸機から繰り出される探査車(探査ローバー)の設計寿命は90火星日(こちらは地球の1日より40分程度長いだけ)の予定です。2020年4月に深宇宙探査のためアジアで最大級の直径70mのアンテナが天津市武清に整備され、すでにある美雲アンテナ(50m、40m)、昆明アンテナ(40m)と4基体制をとり、ミッション遂行の支援が行われています。

火星探査の年表(3/3)
Credits:SED 火星探査の年表(3/3)
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日本の計画としては、火星衛星探査ミッション(MMX:Martian Moons eXploration)があり、 2021年時点のタイムスケジュールでは、2024年9月打ち上げ、2025年に火星周回軌道へ投入して火星衛星の擬周回軌道(QSO: Quasi Satellite Orbit)に入り、火星の月フォボスに於いてサンプルを採取、2029年9月に地球帰還になります。欧州とも協力を行う予定で、ESAが探査機に搭載する通信機器をJAXAに提供するとともに、地上局による追跡管制支援も行われます。

インドの2機目となる火星探査機MOM-2も2024年に計画されています。また、将来のサンプルリターン計画として、欧米協力のマーズ・サンプル・リターン(Mars Sample Retur(MDR)n)ミッションは2026年、中国のHX-2は2028年打ち上げ予定となっています。

エグゾマーズとインサイトとマーズ2020
Credits:SED 最近の火星探査・着陸機
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エグゾマーズとMMXの搭載センサ
Credits:SED 将来の火星探査・着陸機
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