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続く火星探査レース

最終更新 2019.01.28

続く火星探査レース

2004年以降、火星を上空から観測するだけでなく、火星上を探査する着陸機やローバーが常駐するようになり、それまではっきりとはわからなかったことが、次々とあきらかになってきました。

火星は、太陽系の惑星の中で地球のすぐ外側の軌道にあり、大きさは地球の約半分の直径(赤道面)、平均密度は地球の約70%と軽く、重力は地球のほぼ3分の1の惑星です。また、火星を回る衛星としてフォボスとダイモスが広く知られています。火星の1年は地球の約687日にあたります。火星は、硬い大地と大気のある地球型の惑星であることから、生命が生まれた可能性のある星として、継続的に探査が進められてきました。

2018年に入ると「月探査」に関するミッションが目に見える展開をみせました。2016年にドラスティックに改変された火星までのロードマップの実現へと、官民挙げての展開が楽しみになってきました。

さて、火星は、希薄な大気と零下40度以下の平均気温(場所により非常に環境は違います)など、水星や金星とはまた別の意味での過酷な環境であることもわかっています。大気組成や気候、岩石組成も近年ではかなり詳しく計測されてきており、大気中にもごく微量の酸素や水蒸気があること、地球と比較すれば少ないながら主に地下に水の氷が存在することなどが明らかとなってきています。

次の探査の興味は、人間が活用し易い水の形態で水が存在しているか、また、どの程度の量があるのかについての推定に移っています。水そのものや燃料として、直接人類が利用する計画も、月面での技術実証として挙がってきました。火星に人が向かうには、課題はまだ山積ですが、有人探査を見据えた探査機やロボット、宇宙船開発など、次の研究開発段階に入ったと言えるでしょう。

火星探査の歴史1 「1960年代からの火星探査レース」

旧ソ連と米国による火星探査の競争は、1960年代に既に始まっていました。旧ソ連では1960年にマーズニク1号2号(Marsnik-1, 2)、1962年にスプートニク22号(Sputnik-22)、マーズ1号(Mars-1)、スプートニク24号(Sputnik-24)など多くの火星探査ミッションが計画されましたが、残念ながら全て失敗しています。
米国ではマリナー3号(Mariner-3)の失敗の後、1964年マリナー4号(Mariner-4)が始めて火星のフライバイ撮影に成功しました。また、同年打ち上げられた旧ソ連のゾンド2号(Zond-2)は失敗し、翌1965年ゾンド3号(Zond-3)で月の裏側の写真撮影に成功しましたが、火星ミッションは達成できませんでした。

1969年に打ち上げられた米国のマリナー6号と7号(Mariner-6, 7)が、4号に続き火星の接近撮影に成功し、火星表面の20%に達する写真撮影や、火星の大気の紫外線、赤外線、ラジオ波の放射計測にも成功しました。 同年のソ連の火星探査機2機の打ち上げ失敗後、1971年の米国マリナー8号と旧ソ連コスモス419(Cosmos-419)の失敗と続きます。しかし、1971年に旧ソ連はマーズ2号、3号(Mars-2, -3)の打ち上げを成功、予定していた着陸船での着陸後の撮影はできなかったものの、2機ともに火星の撮影を行いました。

一方、同1971年に打ち上げられた米国マリナー9号(Mariner-9)は、火星周回軌道からの継続的な火星の撮影に成功しています。1973年に旧ソ連が連続して4機打ち上げたマーズ4, 5, 6, 7号(Mars-4, 5, 6, 7)のうちマーズ5号が、火星周回軌道から火星の大気と表面の構成、構造を計測するのに成功しました。

1975年に打ち上げられた米国のヴァイキング1号と2号(Viking-1, 2)では、初めて着陸船から鮮明な画像を撮影することができ、地形、気温や気圧変化などの計測値を得ることができました。しかし、期待されていた「生命の存在する」或いは「存在した」根拠となるものを見つけることは出来ませんでした。

1979年に米露の冷戦の一応の終結をみた後、他の探査ミッションと同じく、長く火星の探査ミッションは中断されました。再開されたのはアフガニスタン侵攻やイラン・イラク戦争が過ぎ、1989年の冷戦終結宣言が見えてきた、80年代後半になってからです。1988年旧ソ連のフォボス1号と2号(Phobos-1, 2)が打ち上げられ、2号については予定通り飛行中の磁気や粒子計測を行い、火星と火星の衛星フォボスまで飛行し、データを取得しました。残念ながら、1号は途中で通信が途絶え、2号はフォボスの画像37枚を送信しましたが、フォボスへの着陸・探査には失敗してしまいました。

その後は、1992年打ち上げられた米国のマーズ・オブザーバー(Mars Observer)、1998年打ち上げのマーズ・クライメイト・オービター(Mars Climate Orbiter)、1999年打ち上げのマーズ・ポーラー・ランダー(Mars Polar Lander)、ディープスペース(Deep Space2(DS2))と続きますが、ロシアのマーズ96(Mars 96)も含めてこれら多くの試みは、失敗に終わりました。その中で見事な成功を収めたのが、1996年打ち上げられた米国のマーズ・グローバルサーベイヤー(Mars GlobalSurveyor)マーズ・パスファインダー(Mars Pathfinder)です。

火星探査の年表(1/3)
火星探査の年表(1/3)

参考サイト

火星探査の歴史2 「冷戦後の火星周回機と着陸機での探査」

NASAが1990年代半ば10年余りに亘り進めてきた火星に関する計画は、月探査におけるアポロ計画を彷彿とさせるものがあります。ミッションが成功したものにだけ焦点をあてても、周回機3機、着陸も2012年のキュリオシティで4回目(1975年のバイキング1号と2号を含めると6回目)になります。

最近の成功は、1996年打ち上げのマーズ・グローバル・サーベイヤーに始まり、周回軌道上から火星のマッピングや気候変動観測を長期間実施しました。マーズ・グローバル・サーベイヤーは、2001年の1月までに基本的なミッションを終えた後も、繰り返し火星の気候の変化などのデータを送り続け、2003年打ち上げのスピリット(Spirit) オポチュニティ(Opportunity)両探査機の着陸地点評価にも貢献しました。また、マーズ・グローバル・サーベイヤーは、2006年11月に2回通信が途絶えて運用を終えました。

マーズ・グローバル・サーベイヤーと同時期の着陸機のマーズ・パスファインダー(MarsPathfinder)も着陸機から1台の小型ローバーを降ろし、1997年に83日間と短期間ですが火星上の多くの映像を届けることに成功しています。

次に2001年打ち上げのマーズ・オデッセイ(Mars Odessey)も火星を周回し、火星表面の化学組成・鉱物量などを観測し、2002年初め極域に氷として存在する水発見に導きました。2006年には100m解像度の火星モザイクの作成や、将来人類が火星に行くための放射線環境リスクを特定するなど成果をあげています。2018年現在も運用を続けています。

オポチュニティの歩んだ道
オポチュニティの歩んだ道(MRO画像へ記載されたもの)
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この時代の記録的成功は、スピリットとオポチュニティの2探査機かもしれません。共に2004年に無事火星に着陸した対となるローバー(探査車)で、火星表面を探査しました。2探査機の車体は6つの車輪を持ち、観測のため電子機器と太陽発電パネル、カメラ、通信アンテナなどを搭載しています。

2体は探査車として、必要な傾斜などの危険回避のための工夫が行われています。火星上の岩石組成などを調査しながら、最初の3年の観測で、数kmから10km程度の探査を終えました。オポチュニティについては、2010年7月には何度にもわたるダストストームなど、いくつもの障害を乗り越え、2011年8月9日に火星上にある「エンデバー・クレーター」に到達しています。しかし、2018年6月13日に火星表面の4分の1を覆ったダストストームのため、発電量が低下し通信が途絶えていますん。また、スピリットについては、2010年に約6年間の運用の後、通信を終えています。

ESAでは少し先立って、米国のスピリットとオポチュニティと同じ2003年に、火星周回機マーズ・エクスプレス(Mars Express)を打ち上げました。マーズ・エクスプレスには、着陸して探査するローバー(探査車)のビーグル2(Beagle 2)が搭載されていましたが、着陸後に信号は途絶えてしまいました。

2003年6月に打ち上げられ、同年12月に火星上空の周回を開始したマーズ・エクスプレスは、2018年15周年を迎え更に観測を続けています。搭載機器MARSIS は、NASAのマーズ・リコネッサンス・オービターのレーダーSHARADを補足して、火星の地下5kmまでの計測を可能にしています。マーズ・エクスプレスにより作成された火星マップでは、10km以上の高低差のある火星表面形状を明らかにしています。

更に2011年1月には、火星の衛星フォボスに接近、同6月の接近時には、木星の横をすり抜けるように見えるフォボスの動画を撮影し話題となりました。2012年2月6日の発表では、搭載しているレーダーにより明らかにされた北部平原に広く残る氷を含む堆積性鉱物や海岸線とおぼしき浸食状況など、火星に刻まれた水の歴史を示すとされる撮影を行っています。太陽と火星の合にあたる2015年5月にはWebカメラを学校や若手グループに利用してもらうキャンペーンなどユニークな展開も行われ、2018年4月4日に高分解能カメラHRSCで撮影されたコロレフ(Kororev)クレーターも話題となりました。

コロレフクレーター
マーズ・エクスプレス撮影 コロレフ・クレーター

また、2005年打ち上げのマーズ・リコネッサンス・オービタ(MRO:Mars Reconnaissance Orbiter)は、2006年の3月から火星上空約300kmの極軌道にあり、現在も周回しながら高解像度のカメラによる観測を行っています。先に火星に到着して働き続けているスピリットとオポチュニティなどのローバーや、1997年に着陸したマーズ・パスファインダーの着陸地付近のクローズアップ撮影にも成功しました。マーズ・エクスプレスと共に高度マップも作成されています。

MROの表面高度データスケール入り
MROの表面高度データスケール入り
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MROの表面高度データに着陸地点を入れたもの
MROの表面高度データに着陸地点を入れたもの
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マーズ・リコネッサンス・オービタは、6つの機器を搭載しており、そのうちのCompact Reconnaissance Imaging Spectrometer for Mars (CRISM)では、18mの解像度で鉱物表面を544色で識別することに成功しています。また、流水で形づくられたと推定される地形の撮影など、以前に火星表面の観測を続けたマーズ・グローバル・サーベイヤーの地表構造などのデータを更新するデータを収集してきています。マーズ・リコネッサンス・オービタのデータは、2007年8月に火星着陸・探査のために打ち上げられた着陸機フェニックス(Phoenix)の火星着陸地点評価でも利用されました。

フェニックスの着陸は、2008年5月にマーズ・オデッセイ、マーズ・エクスプレス、マーズ・リコネッサンス・オービタの欧米3機のリレー通信により実施され、その後のデータ伝送も順調に行われました。すぐに火星の夏から秋にかけての氷の変遷を観測することを含めたミッションが実施されました。

着陸場所は火星の北緯68度、東経234度の地点で、バイキングやマーズ・パスファインダー、オポチュニティなど、今までの着陸・探索地点が低緯度域中心であったのに対し、かなり北の地点です。フェニックスの着陸地点は、永久凍土に近く、氷が存在することを示唆するといわれる矩形の紋が画像上で確認されました。

2008年6月9日に、ロボットアームの先にあるシャベルで採取した火星の土壌を、分析器へと送る作業が開始されました。同6月15日には、採取土壌は、乾いた土壌から凍って白く見える湿った土壌まで到達したことが確認されました。表層1インチほどの土壌分析で、わずかにアルカリ性(PH8-9)であり、様々な塩の複合化合物、マグネシウムやナトリウム、カリウム、塩化化合物の存在が確かめられました。 フェニックスには更に、いくつものセルに分かれ1000度に熱して成分を分析するTEGA(Thermal and Evolved-Gas Analyzer)という小さなオーブン分析装置が初めて搭載されています。

一方、気象データも取得され、2008年6月11日の気象データ例では、最低気温摂氏マイナス82度、最高気温マイナス26度が観測されました。この時点での火星の着陸機の成功率はまだ半分程度でしたが、フェニックスは、その低い成功率を乗り越え活動の成功をおさめました。実際に水が含まれているということだけでなく、その氷が実際に溶けていた時代があったのか、採取サンプルには炭素化合物が含まれているのか、微生物が好む環境があった(ある)かについて調べ、かつて生命が存在し得たかまたは現存しているかについて肉薄しました。予定された3ヶ月のミッション期間に加え、2ヶ月近く延長ミッションを実施した後、残念ながら火星の厳しい天候の変化から2008年11月2日以降の通信が断絶しました。NASAは通信を試みましたが、2010年5月24日運用を終えることになりました。

火星探査の年表(2/3)
火星探査の年表(2/3)
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近年活躍の火星周回機
近年活躍の火星周回機
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マーズ・パスファインダーとスピリットとオポチュニティとフェニックスの搭載センサ
近年活躍の火星着陸機
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参考記事サイト

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ついに上空から火星に水を発見…

ひと昔前のことになってしまいましたが、2008年2月、NASAの火星周回機マーズ・リコネッサンス・オービターからは火星の衝撃的な映像が届きました。火星の上空から撮影した映像には、火星の北極域のとても広い範囲で(二酸化炭素によるドライアイスではない)水の氷の存在が映し出されました。その中には地球上と同じような雪崩が映っていました。

MaesExpress撮影のクレーターと氷
マーズ・エクスプレス撮影

その映像が示していたのは、北緯83.7度、東経235.8度の地域の数kmにわたる広い氷の棚状の地形と、その高低差700m以上の坂を煙をあげてころがり落ちる氷でした。マーズ・リコネッサンス・オービターの搭載する高解像度カメラ(HiRISE)によるものでした。同地域では、気候変動に於ける二酸化炭素の霜いわゆるドライアイスも含んだ氷の増減が観測されてきましたが、雪崩が撮影された2008年2月19日は、火星でも春にあたります。

2013年1月20日の発表では、マーズ・リコネッサンス・オービターの画像より直径92km深さ2.2kmというマクラフリン・クレーターの中の方に地下水湖が形成されているのではないかと予測されています。

マーズ・リコネッサンス・オービターには、高解像度カメラ(HiRISE)の他にもコンパクト・リコネッサンス・イメージング・スペクトロメータ(CRISM)他の装置を搭載しています。これらから得られた画像の中には、古代の川が泥のような鉱物を運んでデルタを形成したと考えられる地形が見られます。この泥のような鉱物はフィロシリケイト(phyllosilicate)と呼ばれていて、およそ38-46億年前に形成されたと予測されており、科学者達は大きく分けて、アルミニウムのフィロシリケイト、水酸化珪素またはオパールのフィロシリケイト、最も広域に見られる鉄かマグネシウムのフィロシリケイトと、約3種類に分けています。かつての水の存在や生命の存在を彷彿とさせるものとして、更に研究を進めている火星上の新しい注目材料です。

NASAのこの2機の衛星(マーズ・オデッセイとマーズ・リコネッサンス・オービタ)とESAの1機の衛星(マーズ・エクスプレス)は火星をくまなく探査しています。特に水と生物については焦点があたってきており、塩水が凍って表面上に見えるところを火星上でマップし、その中に低温生物が存在しうるかについて解明しようと試みていますが、上空からそこまで良い成果は得られておらず、ローバーによる探査に期待がかかります。地形や地質についてのマップは、マーズ・オデッセイの把握した全球データから、更に高解像度化が進んでいます。

NASAは更に2011年11月27日にマーズ・サイエンス・ラボラトリ(MSL:Mars Science Laboratory)が打ち上げ、2012年8月6日午後2時32分、着陸機に搭載されたローバーキュリオシティ(Curiosity)が火星に無事着陸いたしました。低緯度地域に着陸したキュリオシティは、2008年に活躍したフェニックスに続いて土壌分析を行い火星の生命の痕跡や可能性追求を続けています。重さ900kgと過去最大でしたが、火星着陸では最もクリティカルな7分間の大気圏突入から着陸までに耐えて成功をおさめました。着陸時には着陸前軌道修正も含め、着陸時およびその直後から万全の通信態勢をとるため、マーズ・オデッセイ、マーズ・リコネッサンス・オービタ、マーズ・エクスプレスと、当時火星軌道を周回中の探査機が総動員されました。

一方、ロシアのフォボス・グルント(Fobos-Grunt)の2011年11月9日打ち上げは、ケットの切り離しに失敗、2012年1月初旬に落下してしまいました。計画では翌年9月に火星周回軌道に到着してミッションを開始し、火星観測だけでなく、2013年4月に火星の衛星フォボスに着陸・サンプルを収集し、2014年7月に地球まで約200gものフォボスの土壌サンプルを持ち帰るはずだったため、残念です。更に、このフォボス・グルントの下部に相乗りした中国のYinghou1号(蛍火1号)も、火星周回の夢はかないませんでした。

NASAのマーズ・サイエンス・ラボラトリ搭載のキュリオシティは、先のローバーのスピリットやオポチュニティ(約170kg)の5倍もの重さで、6つの車輪と堅い岩盤を掘り進めるドリルを持っています。ゲールクレーター着陸後に少し移動しつつパノラマ画像を地上に送ってきました。また、土壌分析もはじまっています。火星表面の砂を避けると少し白っぽい土壌が出現する場合があったり、堆積地層らしきものが見られること、紫外線ランプに強く反応する岩石のあることなど多くの現地画像が届いています。また、土壌をあたためた場合にでる気体には、水蒸気や二酸化炭素、酸素、二酸化硫黄が計測されており、硫化化合物が土壌に存在することがわかっています。リアルタイムに近い形で公開されているデータもあり、2018年の現在では最も馴染み深いデータとなっています。

NASAは更に、2013年11月19日ににメイブン(MAVEN:Mars Atmosphere and Volatile EvolutioN) という火星を周回しながら周辺大気や環境を観測をする衛星を打ち上げ、2014年9月21日に火星に到達、観測が始まりました。メイブンでは、火星の薄い大気がどのように変化しており、かつての大気構成がどのように変化したのかに迫るデータの取得を目指しています。2015年11月6日の発表では、火星大気は、太陽風により毎秒100グラムほど失われていることが、メイブンの計測により明らかにされています。太陽嵐の時には更にこうした傾向は強まり、太陽活動が活発であった数十億年前の火星では、宇宙へと失われた大気の割合は更に多かったと考えられます。また、メイブンは火星のオーロラに関するデータの解析にも貢献しています。

インドでは、NASAのメイブンに先立ち2013年11月5日に火星探査機マーズ・オービター(MO-1:MarsOrbiter)を打ち上げ、メイブンと同日2014年9月24日に火星周回軌道に到達しました。マーズ・オービターの搭載センサーは5つで、火星大気研究のためのライマン・アルファ・フォトメータ(LAP)、メタンセンサー(MSM)、粒子環境研究のための外圏中性構造解析装置(MENCA)、火星表面画像化研究のためのカラーカメラ(MCC)、熱赤外線画像化スぺクトロメータ(TIS)となっています。インド宇宙機関(ISRO)から様々な画像も公開されています。

マーズ・サイエンス・ラボラトリとフォボス・グルントとマーズ・オービターとメイブンの搭載センサ
近年の火星探査・着陸機
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参考記事サイト

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これからも続く火星探査将来計画

エグゾ・マーズ(ExoMars)の外観
エグゾ・マーズ着陸機の外観

続くNASAミッションは、2018年5月5日打ち上げたインサイト(InSight)で、着陸機はフェニックス着陸機の設計を流用し早く安い開発が行われました。ドリルで地中5mまで掘り熱量計を設置し地下の様子を探査します。2018年11月27日に着陸成功し、12月19日には、装置設置を行っています。

NASAでは更に、2020年夏の打ち上げを予定しているマーズ2020(Mars 2020)の計画があり、こちらは車輪を持つ着陸ローバでキュリオシティタイプのものになっています。火星到着は2021年2月ですが、早くもサンプルリターン計画ではESAのエグゾマーズ後期ミッションと協力を進めるとの発表がされています。

ESAはロシアと協力し、エグゾ・マーズ(ExoMars)という前期2016年、後期2020年打ち上げの火星着陸・探査ミッションを行います。前期のエグゾ・マーズミッションは、2016年3月14日に打ち上げられた軌道周回機トレース・ガス・オービター(TGO:Trace Gas Orbiter)と着陸機のスキャパレリ(Schiaparelli)から構成されています。スキャパレリは2016年10月17日に火星到達、19日に着陸を試みましたが、逆噴射が上手くいかず大破しました。一方で、トレース・ガス・オービターは順調に軌道変更を進め、2016年11月に最初の取得画像が公開されています。TGOは2018年中頃に高度400kmの円軌道に投入されています。2018年12月段階でインドを含め5機の探査機が火星の周囲を周回しながら運用されていることになります。

エグゾ・マーズ後期ミッションについては、2020年の打ち上げ予定であり、欧州の着陸ローバーとロシアの着陸プラットフォームが計画されています。

日本では、火星衛星探査ミッション(MMX:Martian Moons eXploration)という火星探査計画が予定されています。 MMXミッションの現時点のタイムスケジュールは、2024年打ち上げ、2025年火星周回軌道投入、火星周回後火星衛星の擬周回軌道(QSO: Quasi Satellite Orbit)に入り、火星の月フォボス(もうひとつの月ダイモスになる可能性もある)に於いてサンプルを採取、2029年地球帰還になります。

さて、現在NASAを始めとする深宇宙探査の最関心事項は、科学的組成や成り立ちに加え、「生物の存在し得る環境」です。遠く銀河を捜し求める研究でも、我々の星と同じような大きさ・年齢の恒星(太陽)を探し、それらの太陽の持つ惑星の中から、更に地球型のものを探し求めています。これと並行して、私達の近辺の惑星やその多くの月に対しても、その過去も含めた歴史、その歴史の中で生物が存在し得たのか否か、もし生物の歴史が存在するのであれば、「いつ?どんなものが?」という命題を持って、探査は取り組まれてきています。中でも火星では、火星を周回して収集された衛星データや地上ローバーの観測により、水の存在や古代の海の存在が示唆されています。また、更に古代となる惑星自体の成り立ちに関して、様々なデータが得られつつあります。

火星は、過去も含め生命発見が期待される最も身近な観測対象です。また、人類が過去の月探査アポロシリーズで初めて月に「地球の生命以外の存在」「地球外の生命が存在し得る(開発し得る)未知の世界」を期待したように、現在火星に於いて、同じような熱い期待が高まっています。ここ2,3年深宇宙探査に有人も視野に入ってきており、火星についても探査計画の刷新が進んでいます。欧露のエグゾマーズ後期ミッションが予定されている2020年には、他に米国のマーズ2020(Mars 2020)が、中国の火星周回機とローバーから成るHX-1ミッション、アラブ首長国連邦UAEの周回機Al-Amai(HOPE)も計画されています。

ここ数年停滞していたCNESの協力を得るインドのMOM-2も2022年に再設定されています。サンプルリターンには、2024年の日本のMMXに続き、欧米協力のマーズ・サンプル・リターン(Mars Sample Return)ミッションが、また、中国のHX-2が2028年に計画されています。

火星探査の年表(3/3)
火星探査の年表(3/3)
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エグゾマーズとインサイトとマーズ2020とMMXの搭載センサ
将来の火星探査・着陸機
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参考サイト