宇宙技術開発株式会社

宇宙からの天体観測

旧 2008年版

ここ数年、地球観測衛星からの観測画像の解像度が、飛躍的に上がっています。同じように、月探査や火星探査の観測で使われる望遠鏡など、観測機器の精度や性能が高くなってきています。

天体観測では、宇宙の誕生と発展にターゲットを置いた全天観測から、その深部を更に解読し、地球型の惑星のある太陽系にターゲットを置く活動へと広がりを見せています。

盛んになる人工衛星からの天体観測

30年ほど昔の日本の入門書では、宇宙に沢山の銀河が存在し、地球が存在する太陽系が、どこの銀河に位置するのか、また、今なお膨張する宇宙について、その膨張速度を赤方偏移の計測から求めたり、赤色巨星や白色矮星、ブラックホールなど様々な天体を観測により判明した、「宇宙の誕生と死」について書かれていました。

考えて見てください、30年前得られていた観測データは、今の技術で観測したデータと比較すると、ほんの一部の情報かもしれませんが、多くの課題を明確にし、近年の詳細な観測がそれを裏付ける、更に詳細に解明する方向へと、確実に進んでいるのです。

2006年2月22日にJAXAが打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」
2006年2月22日にJAXAが打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」

近年の地上望遠鏡の精度の向上や、宇宙からの天体観測により得られた「宇宙と星の誕生の概念」について、今では、実際に観測された画像やデータを基に沢山の書籍で公開されています。1980年代から90年代にかけて数多くの天文観測衛星が打ち上げられたことにより、多くの発見があり、全天に見える星や銀河を記した宇宙図が塗り替えられていきました。また、世界の科学者達により、観測計画は更に効率的な全天観測を目指した活動になっていきました。

1990年代以降、NASAのスピッツァ宇宙望遠鏡(SST)などの天文観測衛星が多く打ち上がり、高い分解能かつ様々な波長帯で観測頻度も高い観測を行う体制へと変わってきています。

宇宙における天体観測では、可視光だけではなく、X線・ガンマ線、赤外線・紫外線による観測が行われています。また、全天を一度に撮影するのではなく、長い期間かけて全天を観測したり、ピンポイントの精細観測が行われています。多くの天文観測衛星では、地球を周回する軌道をとっているものが多いですが、地球と太陽における重力平衡ポイントであるいくつかのラグランジェ点のうち、太陽熱を避けられる日陰側のL2ポイントへ投入するように異なる軌道を持つものも出てきました。

天文の分野では、地球観測より以前から、世界規模の観測データの協力がなされている分野です。現在では衛星による観測データも、米国、欧州、日本の衛星による世界中の研究者に公開され、観測分野での底上げが行われています。また、多くの研究機関では、品質の良い画像データをホームページ上に公開しており、私たちも見ることができるようになっています。

過去に活躍した天体観測衛星(一部)

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打ち上げ
年月日
略称
(正式名)
打ち上げ機関・国 搭載センサや観測種
1975年
8月9日
COS-B ESA 1982年4月25日まで2keV~5GeVのγ線観測
1983年
1月25日
IRAS(Infrared Astronomical Satellite) NASA・英 1983年11月21日まで、世界初の赤外線宇宙望遠鏡
8.5-15μm
19-30μm
4-80μm
83-119 μm
1987年
2月5日
ASTRO-C
ぎんが
JAXA 1991年10月30日まで観測
X線観測
1990年
6月1日
ROSAT 独・米・英など 1999年2月12日まで観測2011年10月23日大気突入。
  • XRT(Xray Telescope)
    -PSPC(Proportional Counter)(PSPC-BとPSPC-C)
    -HRI(High Resolutiob Imager)
  • WFC(Wide-Field Camera)
    X線全天サーベイ観測
1990年
12月1日
GRANAT ロシア 1998年11月27日まで
  • X線望遠鏡(SIGMA) 0.03-1.3 MeV
  • X線望遠鏡(ART-P) 4-60 keV
  • X線比例計数管(ART-S) 3-100 keV
  • 全天モニタ(WATCH)6-120 keV
  • ガンマ線バースト計測装置(PHEBUS) 0.1-100 MeV
  • ガンマ線バースト計測装置(KONUS-B) 0.02-8 MeV
  • ガンマ線バースト計測装置(TOURNESOL) 0.002-20 MeV
1990年
12月2日
ASTRO-1 NASA スペースシャトルを利用した天文観測ミッション(紫外線、X線)
  • HUT(Hopkins Ultraviolet Telescope)42.5-185nm
  • UIT(Ultraviolet Imaging Telescope)120-320nm
  • WUPPE(Wisconsin Ultraviolet Photo-Polarimeter Experiment)140-320nm
  • BBXRT(Broad-Band X-Ray Telescope)0.3-10.0keVX線観測

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打ち上げ
年月日
略称
(正式名)
打ち上げ機関・国 搭載センサや観測種
1992年
6月7日
EUVE(Extreme Ultraviolet Explorer) NASA 2001年1月31日まで
7-76nmの紫外線
1993年
2月20日
ASTRO-D あすか(X線天文衛星) JAXA 2001年3月まで
X線観測
1995年
3月2日
Astro-2 NASA スペースシャトルを利用した天文観測ミッション(紫外線、X線)
  • UIT(Ultraviolet Imaging Telescope)120-320nm
  • HUT(Hopkins Ultraviolet Telescope)83-186 nm
  • WUPPE(Wisconsin Ultraviolet Photo-Polarimeter Experiment)140-320 nm
  • 紫外線観測
1995年
3月18日
IRTS(Infrared Telescope in Space) JAXA 観測期間1995年3月30日~4月26日
SFU(H-IIロケット打ち上げ)の機器として搭載、シャトルで回収
赤外線観測
  • NIRS(Near Infrared Spectrometer) 1.4-4.0μm
  • MIRS(Mid Infrared Spectrometer) 4.5-11.7μm
  • FILM(Far-Infrared Line Mapper) 158μm
  • FIRP(Far-Infrared Photometer) 150-700μm
1995年
11月17日
ISO(Infrared Space Observatory) ESA 1998年3月終了、赤外線観測
  • ISOCAM(Camera and polarimetry) 2.5 - 17μm
  • ISOPHOT(Imaging photo-polarimeter) 2.5 - 240μm
  • SWS(Short-wavelength spectrometer) 2.4 - 45μm
  • LWS(Long-wavelength spectrometer) 43 - 198μm
1996年
4月30日
BeppoSAX(Ultraviolet Imaging Telescope) イタリア・オランダ 2002年4月30日まで、X線γ線バースト観測
  • NFI(Narrow field Instrum,ents)
    -LECS(Low Energy Concentrator Spectrometer)0.1-10keVとMECS(Medium Energy Concentrator Spectrometer)1.3-10keV
    -HPGSPC(High pressure Gas Scintillator Proportional Counter)4-120keV
    -PDS(Phoswich Detection System)15-300keV
  • Wide Field Camera 2-30keV観測

参考サイト

X線・ガンマ線による天体観測

X線やガンマ線は、可視光や赤外線・紫外線と比較して、とても大きなエネルギーを持っている電磁波です。活発に活動する星や銀河は、こうした高いエネルギーを放出しています。身近な星では、太陽が該当します。

超新星など星の形成が変化する際に起こる活発な現象は、短期に高いエネルギーを持つガンマ線を出すガンマ線バーストによって捕らえることができます。ESAのインテグラル衛星(INTEGRAL:International Gamma-Ray Astrophysics Laboratory)は、2003年の12月3日に、銀河からのガンマ線バーストを観測したことが報じられました。また、2004年11月20日に打ち上げられたNASAのスウィフト衛星(SWIFT)も、優れた精度で迅速に特定源を追尾観測し、2007年アメリカ天文学会のロッシ賞を授賞しています。

日本では、2005年7月10日に打ち上げられたX線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)が、硬X線・軟X線による観測が行っています。X線観測では、異なるエネルギーレベルのX線をそれぞれ計測します。これによってどの部分がより高いエネルギーで活発に活動しているかについて知ることができ、銀河や星の内部構造を見ることができます。体の内部を撮影するレントゲンのように、宇宙や星の内部が映し出されます。

また、イタリアのアジレX線γ線観測衛星(AGILE)が、インドのロケットにより、2007年4月23日に打ち上げられています。加えてNASAから2008年6月11日に打ち上げられたガンマ線広域宇宙望遠鏡グラスト衛星(GLAST:Gamma-ray Large Area Space Telescope)は、ガンマ線観測による多くの成果を挙げてきています。また、日本もGLAST計画に協力しています。

JAXAが打ち上げた
                X線天文衛星「すざく」
JAXAが打ち上げたX線天文衛星「すざく」

2011年4月12日には、グラストのフェルミ・ガンマ線望遠鏡が、かに星雲の超新星残骸から今まで見られたないでも最も強力なフレアを観測しています。フレアは6日間続いたことが報告されています。

アジレ(AGILE)とフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡衛星は、2009年以来共に短命なガンマ線フレアを検出していました。2011年4月12日には約5-30倍にその強さは跳ね上がり16日に更に明るいフレアが噴出、その後徐々に収まりました。

ロシアのスペクトルーRG(Spectr-RG)衛星は、0.5-10keVの全天X線観測を行うeROSITAと ART-XCの搭載を予定しています。2014年に最初L2ポイントに載せられる予定です。太陽風、太陽圏内の磁気圏の他、銀河やクエーサー、ブラックホール、中性子星などの観測を視野にいれたX線観測を行います。ドイツのセンサとロシアのセンサが搭載されており、成果が期待されます。

2012年6月14日に打ち上がった米国のニュースター(NuSTAR:Nuclear Spectroscopic Telescope Array)では展開マスト構造を持ち望遠鏡の焦点距離を伸ばすことにより従来のX線望遠鏡XMM-NewtonやChandraよりも10-100倍高い解像度でのX線観測が可能です。また、2015年9月28日には、インドのアストロサット衛星(ASTROSAT)が打ち上がり、全天X線観測や軟X線望遠鏡による観測を開始しています。日本のX線・ガンマ線による天文観測衛星のアストロH(ASTRO-H)衛星は、2016年2月に打ち上げが予定されています。高エネルギー観測計画をまとめてご覧になりたい方は、NASAの高エネルギー天体観測研究センター(HEASARC)の頁をお勧めします。

参考記事サイト

各衛星の参考サイトおよびデータセンター

現在活躍中・将来のX線・γ線による天文観測衛星

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打ち上げ
年月日
略称
(正式名)
打ち上げ機関・国 搭載センサや観測種
1995年
12月20日
RXTE(Rossi X ray Timing Explorer) NASA 2012年1月4日まで観測
2-250keV X線観測
  • Proportional Counter Array (PCA)
    2-60 keV
  • High Energy X-ray Timing
    Experiment (HEXTE)
    15-250 keV
  • All-Sky Monitor (ASM)
    2-10 keV
1999年
7月23日
Chandra(Chandra X-ray Observatory) NASA X線望遠鏡
  • 高解像度カメラ(HRC)
    0.1-10keV
  • 先進的CCDスペクトロメータ(ACIS)
  • 高解像度スペクトロメータ
    HETGS 0.4-10keV
    LETGS 0.08-2keV
1999年
12月10日
XMM-NEWTON(X-ray Multi-Mirror Mission) ESA
  • European Photon Imaging Camera (EPIC)
    X-ray mirrors, 0.1-15 keV
  • Reflection Grating Spectrometer (RGS)
    X線望遠鏡.0.35-2.5 keV
  • Optical Monitor (OM).
    光学・紫外線望遠鏡 170nm- 550nm;
2000年
10月9日
HETE-2(High Energy Transient Explorer Mission) 米国・日本他 X線γ線観測
γ線バースト、超新星の発見
  • French Gamma Telescope (FREGATE) 6-400 keV
  • Wide Field X-ray Monitor(WXM) 2-25 keV
  • Soft X-ray Camera and Boresight Camera(SXC) 0.5-14keV
2002年
10月17日
INTEGRAL インテグラル(International Gamma-Ray Astrophysics Laboratory) ESA X線γ線観測
γ線バースト、超新星の発見
  • スペクトロメータ(SPI)
    20keV-8MeV
  • イメージャ(IBIS)
    15keV-10MeV
  • Joint European X-Ray Monitor
    (JEM-X)3-35keV
  • 光学カメラ(OMC)
  • 放射線環境モニタ
2004年
11月20日
SWIFT スウィフト(SWIFT) NASA X線γ線観測
γ線バースト
可視・紫外線観測
  • X-ray Telescope (XRT) 0.2-10keV
  • Ultraviolet/Optical Telescope (UVOT)
  • Burst Alert Telescope (BAT) 15-150 keV
2005年
7月10日
ASTRO-EII すざく(X線天文衛星) JAXA X線観測
  • 軟X線検出器
    -X線反射鏡(XRT)5台
    -X線CCDカメラ(XIS)4台
    0.4-10keV(分解能120eV)
    -X線マイクロカリメータ(XRS)1台
    0.4-10keV(分解能12eV)
  • 硬X線検出器(HXD)
    10~700keV
2007年
4月23日
AGILE アジレ(AGILE) Italy X線γ線観測
  • Gamma-Ray Imaging  Detector (GRID)
    ~30 MeV-50 GeV
  • Super AGILE detector
    硬X線18-60 keV
  • Mini-Calorimeter(MC)
    0.35-50 MeV
2008年
6月11日
GLAST グラスト(Gamma-ray Large Area Space Telescope(Fermi Gamma-ray Space Telescope)) NASA X線γ線観測
γ線バースト
  • GLAST Burst Monitor(GBM)
    -Low-Energy Detectors
    X線(8kev程度)検出と
    ガンマ線(1MeV程度)検出
    -High-Energy Detectors
    150kev-30MeV
  • Large Area Telescope(LAT)
    30MeV-300GeV
2009年
7月
MAXI(全天X線監視装置(国際宇宙ステーション搭載) JAXA X線全天観測
比例計数管(12台) 2-30keV
CCDカメラ(2台) 0.5-10keV
2012年
6月14日
NuSTAR(Nuclear Spectroscopic Telescope Array) NASA X線観測
  • 硬X線観測装置 6-79keV
2015年9月28日 ASTROSAT ISRO(インド) 紫外線望遠鏡(UVIT)
  • X腺観測(LAXPC) 3-80kev
  • 軟X腺観測(SXT) 0.3-8keV
  • 硬X線観測(CZTI) 10-150keV
  • 全天観測(SSM)
2013年 SRG(Spectrum-Roentgen-Gamma) ロシア X線観測(0.5-10keV)
  • extended Roentgen Survey with an Imaging Telescope Array (e-ROSITA)(独)
  • Astronomical Roentgen Telescope X-ray Concentrator(ART-XC)(露)
2016年2月17日 ASTRO-H JAXA 0.3eV-600keV
  • 硬X線望遠鏡(HXT)
  • 軟X線望遠鏡
    (SXT-S、SXT-I)
  • 硬X線撮像検出器(HXI)
  • 軟X線分光器(SXS)
  • X線CCDカメラ(SXI)
  • 軟ガンマ線検出器(SGT)

赤外線・可視光などによる天体観測

遠赤外線から近赤外線、可視光、紫外線から遠紫外線域における天体観測を続けている衛星があります。ハッブル望遠鏡(HST)スピツァー望遠鏡(SST)は、この代表格の望遠鏡で、それぞれのサイトに多くのデータが発表されています。

可視光は私たちが、地上で望遠鏡を覗くのと同じ光での観測です。ハッブル望遠鏡の観測データなどを見てもわかるように、違和感のない色の写真として眺めることができます。また、宇宙からの天体観測は天気にも左右されることがなく、計画的に撮影を行い、データを得ることが可能です。

では、赤外線ではどのような映像が得られるのでしょうか。日本では、2006年2月に打ち上げられた赤外線天文衛星「あかり」では、2003年に米国が打ち上げたスピツァー望遠鏡と同じく、近赤外線から遠赤外にわたる波長で、観測することが可能です。

「あかり」による近・中間赤外の画像では、星間物質の様子を鮮明に映し出し、渦巻き銀河のM81が、綺麗に渦を巻く様子がはっきりとわかる映像が得られています。また、遠赤外の画像では、赤色巨星の周辺に分布するガスの様子も撮影することに成功しています。(大マゼラン雲赤外線カタログも公開されています。詳しくはJAXAの頁をご覧下さい)

あかりの近・中間赤外によるM81画像
あかりの近・中間赤外によるM81画像

全く同じ波長ではありませんが、米・英共同の赤外線天文観測ミッションとして1983年にIRAS(Infrared Astronomy Satellite)が打ち上げられています。

図の「あかり」と「IRAS」双方の、90マイクロメートルの波長での画像を見ると、分解能が格段によくなっていることがわかります。

「あかり」と「IRAS」の解像度の違い
「あかり」と「IRAS」の解像度の違い

なお、残念なことに「あかり」については、2011年5月24日に発生した電力異常に伴い、6月11日に観測運用の終了が発表されました。なお、成果については引き続き整理されており、2012年の2月8日にも、超新星残骸に一酸化炭素を検出するなどの発表がなされています。

一方、紫外線域の観測は、1990年・1995年の過去のシャトルのミッションとして打ち上げられたUIT(Ultraviolet Imaging Telescope)、また、1992年のEUVE(Extreme Ultraviolet Explorer)、1990年に打ち上げられたフューズ(FUSE:Far Ultraviolet Spectroscopic Explorer )、2003年に打ち上げられたギャレックス(GALEX:Galaxy Evolution Explorer)があり、多くの研究成果が得られてきました。

紫外線観測では、クエーサー観測や銀河間にある星間物質の観測が可能となっています。

参考サイト

現在活躍中・将来の赤外線・可視光などの天文観測衛星と諸元(参考)

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打ち上げ
年月日
略称(正式名) 打ち上げ機関・国 搭載センサや観測種
1990年
4月24日
HST
ハッブル望遠鏡(Hubble Space Telescope)
NASA
  • ACS(Advanced Camera for Surveys)
    (2002年にシャトルでFaint Object Camera (FOC),から置き換えられた)
    遠紫外線~可視~赤外線
  • WFDC-3(Wide Field and Planetary Camera 3)
    紫外線~可視~近赤外 (2007年シャトルでWFPC-2と交換して設置)
  • NICMOS(Near Infrared Camera and Multi-Object Spectromete)
    近赤外、赤方偏移を計測 (1997年にシャトルでFOCと交換し設置)
    2004年に停止
  • STIS(Space Telescope Imaging Spectrograph)
    紫外線~可視~近赤外
    (1997年シャトルでGHRS交換し設置。2004年に停止したが、2009年のシャトルで搭載。)
2003年
8月25日
SST
スピッツァー望遠鏡(Spitzer Space Telescope)
NASA 赤外線天文観測
  • IRAC(Infrared Spectrograph)
    256pix×256pix 4CCD
    3.6μm、4.5μm、5.9μm、8μm
  • IRS(Infrared Spectrograph)
    128×128素子 
    5.3-14μm、10-19μm、14-40μm、19-37μm
  • MIPS(Multiband Imaging Photometer for Spitzer)
    128×128素子
    24μm、160μm、70μm
    中間赤外~遠赤外
2006年
2月22日
ASTRO-F
あかり
IRIS:
(Infrared Imaging Surveyor 赤外線天文衛星)
JAXA

2011年5月24日観測運用終了

  • FIS(Four-Infrared Surveyor)
    -N60 50-80μm
    -WIDE-S 60-110μm
    -WIDE-L 110-180μm
    -N160 140-180μm
  • IRC(InfraRed Camera)
    -NIR 1.7-5.5μm
    -MIR-S 5.8-14.1μm
    -MIR-L 12.4-26.5μm
2006年
12月27日
COROT
コロー(Convection, Rotation and planetary Transits)
CNES/ESA

2012年11月観測終了、太陽系外惑星の探査

直径27cm光学望遠鏡
波長は不明
太陽観測衛星のSOHOの技術継承別の類似太陽系を探す全天観測
2009年
3月7日
Kepler
ケプラー
NASA 太陽系外惑星の探査
400nm-850nm 可視・近赤外観測
2009年
5月14日

Herschel
ハーシェル

ESA 遠赤外線~サブミリ波
  • Heterodyne Instrument for Far Infrared(HIFI)
    157-212μm
    240-625μm
  • Photometer Array Camera and Spectrometer(PACS)
    55-210μm
  • Spectral and Photometric Imaging Receiver(SPIRE)
    中心波長250μm、350μm、500μm
太陽地球間のL-2(ラグランジェポイント2:地球から日陰方向約150万km)からの観測
2009年
5月14日
Planck
プランク
ESA マイクロ波
  • The Low Frequency Instrument (LFI)
    27-77 GHz
  • The High Frequency Instrument (HFI)
    4 GHz - 1 THz
太陽地球間のL-2(ラグランジェポイント2:地球から日陰方向約150万km)からの観測
2009年
12月14日
WISE
ワイズ(Wide-field Infrared Survey Explorer)
NASA 中間赤外線~遠赤外
3.4μm
4.6μm
12μm
22μm
2013年
12月19日
GAIA CNES 300μarc-sec20等星まで
L-2(ラグランジェポイント2)からの観測
5年間かけて全球を走査
2018年
10月予定
JWST
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)
NASA 近赤外線~遠赤外
Mid-Infrared Instrument(MIRI)
5-27μm
Near-Infrared Camera(NIR Cam)
0.6-5μm
Near Infrared Spectrograph(NIR Spec)
1-5μm
Fine Guidance Sensor
1-5μm
L-2(ラグランジェポイント2)からの観測
2022年
予定
SPICA
次世代赤外線天文衛星
(Space Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysics)
JAXA 近赤外線~遠赤外 5-210μm
複数機検討中
太陽地球間のL-2(ラグランジェポイント2:地球から日陰方向約150万km)からの観測
1999年
6月24日
FUSE
フューズ(Far Ultraviolet Spectroscopic Explorer)
NASA 遠紫外線分光探査機
90-120nmの紫外線観測
2003年
4月28日
GALEX
ギャレックス(Galaxy Evolution Explorer)
NASA ・GALEX Telescope
2007年7月運用終了 遠紫外線及び近紫外線観測
Front End Electronics (FEE)
-Far Ultraviolet (FUV) detector
130-180nm
-Near Ultraviolet (NUV) detector
180-300nm
2013年
9月14日
SPRINT-A
惑星分光観測衛星「ひさき」
JAXA ・EUV(極端紫外線)分光器

全天観測による宇宙図の塗り替え

こうして見ると、天体観測のための衛星が、実に多く打ち上げられていることがわかります。1980年代までに収集された観測データも、1990年代以降の多くの観測データにより、更に詳しい形で塗り替えられようとしています。

2006年だけでも沢山の発見がありました。NASAのハッブル望遠鏡では、私達のいる銀河の中央付近に別の惑星を持つ太陽系を発見、チャンドラ衛星は沢山のブラックホールの現象をつぶさにとらえ、ESAのインテグラルでは私達の銀河系の外のガンマ線バーストを観測しています。全天図には、早速新しい成果がいれられ、より詳しくなっていきます。

天文ファンならお馴染みの天体の詳細から、全く新しい天体まで多くのデータが、それぞれの衛星プロジェクトのサイトで見ることができます。是非ご覧になることをお勧めいたします。また、日本の天文衛星に対する評価は、国際的にも高く、日本国民のひとりとして誇らしく感じます。日本のあかりすざくの成果も必見です。

2009年3月に打ち上げられた可視・赤外線望遠鏡を持つケプラー(Kepler)の観測により、多くの系外惑星が発見されました。2009年12月には、直径40cmの中間赤外域を利用した望遠鏡を持つワイズ(WISE:Wide-field Infrared Survey Explorer)が打ち上げられました。2018年にはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST:James Webb Space Telescope)の衛星打ち上げ計画につながっていく予定です。

2009年4月に入り観測をはじめたケプラー(Kepler)は、3年半かけて10万個以上の選ばれた星を精査し、恒星を観測する時のわずかな光の変異により、恒星と惑星軌道が交差して横切る場合があるかについて観測、複数の惑星が存在することを次々と明らかにしています。また、サイズや質量に関する情報についても解析しています。2013年2月までに私たちの太陽系の外の太陽系外惑星でサイズや質量などが一定の基準に達した惑星を105個(候補時は2740個)発見しています。

関連して、2011年7月4日にNASAのハッブル望遠鏡が恒星のKepler-2を周回するKepler-2b(HAT-P-7bとしても呼ばれる)惑星を計測しました。惑星は、恒星との距離が0.0379AU(太陽から水星)ほどのとても近い軌道を回る、木星の倍ほどのガス天体でした。残念ながら惑星温度が非常に高く生物が住める環境とは言い難いようです。2011年12月にNASAが発表した「生命の住めるタイプの惑星発見か」では、ケプラー探査機が多くのケプラー恒星とその惑星を探査した成果を示しています。この時点では、ケプラー-22bが最も地球型に近いものとして認識されました。12月には地上ハワイにある巨大望遠鏡ケック望遠鏡で、12光年ほどしか離れていない場所に地球の2-6倍ほどの質量の地球タイプの5つの惑星があることが発見されています。また、ケプラー望遠鏡ではその後も様々なターゲットの観測を続けていましたが、2013年1月2日のカリフォルニア工科大学の発表によれば、Kepler-32(M型矮星であり我々のG型の太陽より質量も半径も半分)が改めて地球型の5つの惑星を持っている(半径が地球の0.8-2.7倍)ことが確かめられました。Kepler-32の太陽系は10AU(1AUは太陽と地球間の距離)程度で、太陽と水星の距離の3分の1程度に位置する惑星もあるとのことです。

ハッブル望遠鏡は、機器の刷新をし性能を上げて継続的な観測をしています。2011年の7月3日には、冥王星の4番目の月にあたるP4を発見、鮮明な画像をとらえています。

ESAは2006年12月コロー(COROT)衛星を打ち上げ、太陽に類似した星を探すミッションを地上観測などと協力してスタートしました。コロー衛星は、地球軌道を回っていて、搭載している直径27cmの望遠鏡で、太陽と類似する恒星を観測しました。太陽と類似する恒星の周りを回る惑星が、手前を横切る時、僅かに恒星の光はさえぎられて弱まります。基本的な他の衛星での観測手法とかわりませんが、コロー衛星は、こうした現象を望遠鏡で観測して惑星の特質を得ています。2009年2月3日のESA報道によれば、コロー衛星は、太陽に類似する恒星を回る惑星の中に地球の2倍未満の大きさのものを見つけました。それまでにコロー衛星が見つけた多くの惑星は木星のようにガス型の大きな惑星でしたが、新たに見つけたこの惑星Exo-7bは、地球型で小さく岩と水蒸気でなりたっています。ただし、恒星のとても近くを20時間に1回回っている軌道にあり、温度が1000度から1500度とかなり高いことから、惑星Exo-7bは水蒸気と溶岩で構成されると考えられています。

NASAのWISE計画などでも、二酸化炭素の含まれる惑星を探すなど生命につながるものの発見に向けて同様の路線を進んでおり、天文分野の計画はますます面白くて目が離せなくなりそうです。

ESAのガイア(GAIA)衛星は、太陽と地球における重力安定ポイントであるラグランジェ点2(L-2)といわれる軌道に投入されます。先に取り上げた赤外線観測だけでなく、近年こうした重力安定ポイントで月観測を行うミッションがいくつかあり、またこれからの天文衛星でも、ESAの赤外線天文衛星スピカ(SPICA : Space Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysics)や日本の高精度位置天文観測衛星ジャスミン(JASMIN : Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration)がこの軌道上からの観測を目指しています。ガイア(GAIA)は常に太陽面を向いている方にパドルを向け逆方向の観測を行うという形をとります。先にも述べたように、重力安定点からの観測は月または地球、太陽を一定方向にとらえた画期的軌道と言えます。ESAでは、既に打ち上げている衛星ハーシェルプランクもこの軌道をとります。プランクの2012年2月13日のプレス発表で、効率的な全天観測結果についてを公開しています。プランクは分子性のガス検出に優れており、ビッグ・バン時の検出の難しい水素分子の代わりに、似た環境で形作られる一酸化炭素のシンクロトロン放射をとらえることができるということです。

また、ハーシェルは、観測データの赤方偏移の計測データを地上望遠鏡のケック望遠鏡(W.M.Keck)で得て、数十億年単位の銀河の成長の歴史を可視イメージにまとめようとしています。

2020年打ち上げ予定のESAのユークリッド(Euclid)も、同じく地球と太陽の重力安定ポイントL2(太陽からみて地球の外側の平衡点)に向かう予定です。ユークリッドは現在の宇宙論の膨張理論の原因を説明するために使われる暗黒物質分布などの観測を更に進める予定です。

特に赤外線望遠鏡は、自分が発する熱を抑えるために冷却する必要がありますが、L2ポイントを使うことにより効率的に冷却できる他、観測自体にも妨げになる太陽光を避けることができます。L2ポイントへは、ガイア、ハーシェル、プランクに続き、2018年予定のJWST(ジェームズ・ウェッブ望遠鏡)、2022年には日本のSPICA(次世代赤外線天文観測衛星)がエントリーされています。

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