宇宙技術開発株式会社

NASAの8つの惑星科学ミッションが期間延長に

公開日 2022.06.06|最終更新 2022.06.07

NASAは、専門家からなるメンバーによる徹底評価後に、8つの宇宙船の惑星科学ミッションを延長しました。対象となるミッションは、火星周回衛星のマーズ・オデッセイ(Mars Odyssey)、マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO: Mars Reconnaissance Orbiter)、メイブン(MAVEN)、マーズ・サイエンス・ラボラトリ(MSL: Mars Science Laboratory/キュリオシティ探査車(Curiosity rover))、インサイト(InSight)着陸機、ルナ・リコネッサンス・オービター(LRO: Lunar Reconnaissance Orbiter)、オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)、深宇宙探査機ニューホライズンズ(New Horizons)で、探査機が健全であれば継続が決定されることになります。

現在冥王星の外側のカイパーベルト天体「2014 MU69」を超えて太陽系外に向かって進むニューホライズンズは、5月26日に2回目の延長ミッションの提案実施が承認されました。2年間の延長ミッションで、NASAの惑星科学部門、太陽物理学部門、天体物理学部門の重要な科学に貢献する複合的な観測を行います。天王星や海王星を遠方から観測し、地球からでは不可能な独自の視点から観測を行い、遠方の太陽系外惑星との比較研究を可能にします。

ニューホライズンズのカメラは、可視光と紫外線で非常に暗い「宇宙背景放射」のマッピングを行い、地球からは得られない局所的な星間物質の重要な観測を行うことができます。さらに54天文単位(AU)も離れた外側の太陽圏を探査し、太陽風と相互作用する荷電粒子の運動や、太陽圏の大規模な構造を理解するための観測機器を搭載します。ニューホライズンズは、2年間の長期ミッション終了後にNASAのヘリオフィジック・システム観測所(HSO)の一部となる計画を提出する機会が与えられることになっています。計画の詳細は後日発表されます。

オサイリス・レックスは、2020年に収集した小惑星ベンヌのサンプルを地球に届けるために帰還途中ですが、新しい目的地に到達するために、ミッションは9年間継続される予定です。この新たなミッションの目標を反映して、OSIRIS-APophis EXplorer(OSIRIS-APEX)に名称が変更されます。2029年に地球から2万マイル(約3万2000km)以内に接近する直径約1200フィート(約370m)の小惑星アポフィスに遭遇するために、探査機の方向を変更する予定です。

インサイトについては、太陽電池パネルに積もった塵により発電量が減少しているので、火星を通過するダストデビル(塵旋風)によって塵が除去されない限り、延長ミッション期間中の運用継続は不可能ではないかと思われており、2022年末までの継続になっています。

5月24日の発表に依れば、インサイトの太陽電池パネルは火星の1日(ソル)に約5,000ワット時(搭載機器であるオーブンを1時間40分駆動できる量)発電していましたが、1,211火星日目を迎えた5月24日には徐々に電力を失っており、太陽電池パネルの塵が風で飛ばされても1火星日に約1,000ワット時を得る可能性があるだけで、5月以降に地震観測以外の機器に電源を入れることはほとんどなくなるだろうということです。

ルナ・リコネッサンス・オービターは永久陰領域(PSR)などを詳細に調査し、NASAの月探査の取り組みに重要なサポートを提供します。マーズ・サイエンス・ラボラトリ(キュリオシティ)は、27kmの火星表面の旅程でゲールクレーターの歴史を探り、今回4回目となる延長ミッションでは、より高い位置に登り、火星の水の歴史に独自の洞察を与える硫酸塩を含む層を探索する予定です。

マーズ・オデッセイは、火星表面の岩石や氷の新しい熱研究を行い、放射線環境を監視し、長期的な気候監視キャンペーンを継続する長期ミッションです。他の火星探査機からのリアルタイムのデータ中継をサポートする役割も担いますが、搭載推進薬の残量によりミッションは制限を受ける可能性があります。

マーズ・リコネッサンス・オービターは、6回目の長期ミッションで、火星の表面、氷、活発な地質、大気と気候の進化を研究します。他の火星ミッションに重要なデータ中継サービスを提供し続けます。

メイブンは火星を周回して、太陽極大期に向かって火星の大気と磁場の相互作用を研究している探査機です。メイブンは2月に慣性計測装置(IMU)の問題発生から2系統あるバックアップで復帰したと伝えられていました。その後、IMUの寿命を考慮して開発していた恒星航法のソフトウェアが前倒しで適用されることになり、NASAの評価後の6月1日に、正式に恒星航法に切り替えたことが発表されました。恒星航法は、予定より5か月早くソフトウェア開発が成されてパッチがアップロードされました。

NASAの惑星科学部門は現在、太陽系全域で14機の探査機を運用し、12のミッションを策定・実施中で、他の7つのミッションでは国際宇宙機関と提携しています。

source : NASA, NASA


    関連リンク

    SEDの関連記事