宇宙技術開発株式会社

国際宇宙ステーションに到着したノースロップグラマン社商用補給機17号機の搭載品

最終更新 2022.03.03

日本時間2022年2月20日(日)午前2時40分に、ノースロップグラマン社商用補給機17号機(NG-17/Cygnus)がワロップス飛行施設から打ち上げられました。打ち上げは順調に進み、21日(月)午後6時35分に国際宇宙ステーションのロボットアームにより捕捉されました。

NG-17補給船のドッキング後は、スペースX社のクルー・ドラゴン、ロシアのソユーズ宇宙船(MS-19)、プログレス79・80補給船の計5隻が宇宙ステーションに係留されていることになります。NG-17により、3,800 kgの補給品が届けられました。

搭載品の内訳は、1,352kgのクルー用補給物資、1,308kgの輸送機用ハードウェア、896kgの科学研究品、100kgの曝露部搭載品、60kgの船外活動用品、35kgのコンピュータとなっています。放出予定の超小型衛星である日本の九州工業大学のKITSUNE、(株)IHIとスペースBD(株)のIHI-SAT、NASAの学生ミッションELaNa 44にあたるNACHOS も含まれています。

NG-17設置イメージ
NG-17設置イメージ Credits: NASA

下記に主要科学研究搭載品で行われる主な実験を示します。

  • 肌を守る
    Colgate Skin Aging では、人工のヒト皮膚細胞の細胞および分子の変化を、加齢劣化を模擬したプロセスで評価する予定。その評価結果は、老化プロセスから肌を守ることを目的とした製品開発に役立てられる。

  • 腫瘍治療薬の試験
    MicroQuin 3D Tumor は、乳がんや前立腺がんの細胞に対する治療薬の効果を検証する。

  • 水素センサーの改良
    宇宙ステーションの酸素生成システム用の新しい水素センサーを試験する。現在のセンサーは、水素がキャビンの酸素に一切入らないようにするものだが、湿気や窒素などの影響を受けやすく、201日ごとに交換する必要がある。技術実証により、迅速な交換が困難な状況でも耐久性の高いセンサーを提供でき、月や火星など長期にわたる宇宙ミッションで必要な予備品数を減らすことができる。

  • バッテリーの改良
    JAXAの「全固体リチウムイオン電池の宇宙実証」(Space As-Lib: Space Demonstration for All Solid-State Li Ion Battery)では、極低温・真空環境下で安全かつ安定的に動作するリチウムイオン二次電池の動作確認を行う。この電池は、固体、無機、難燃性の材料を使用しており、液漏れがないため、より安全で信頼性の高い電池である。過酷な環境や自動車・航空宇宙産業への応用も期待されている。

  • 宇宙で植物を育てる
    宇宙でも土や培地を使う植物育成方法があるが、これらのシステムは小型で、質量、封じ込め、メンテナンス、衛生上などの問題から、宇宙環境でうまくスケールアップできない。XROOTS(eXposed Root On-Orbit Test System)は、これらの問題を解決するために、水や空気を利用した方法を採用し、システム全体の質量を軽減する。その結果、将来の宇宙探査や居住に必要な食用作物を栽培するための大規模なシステムの開発につながる知見が得られる可能性がある。また、このシステムの構成要素は、地球上の温室での植物栽培を強化し、より良い食料安全保障に貢献する可能性がある。

  • 火災の安全性の向上
    固体燃料着火・消火装置(SoFIE: Solid Fuel Ignition and Extinction)は、実際の大気条件下での物質の可燃性や火災の着火に関する研究を行う。この装置では、燃焼統合ラック(CIR)を使用し、実施中、または計画中の宇宙探査ミッションに相当するさまざまな酸素濃度や圧力での試験が可能。微小重力下の宇宙ステーションでは、重力が炎に与える影響が地上と異なるため、予期せぬ振る舞いをし、危険なこともある。船外活動用スーツや船室の素材の設計を改善することでクルーの安全を確保し、宇宙での火災を抑制するための最適な技術能力を向上させる。

source : NASA, NASA


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