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打ち上げに成功したジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の現状

公開日 2022.01.06|最終更新 2022.01.26

日本時間2021年12月25日(土)午後9時20分に、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST: James Webb Space Telescope)がアリアン5ロケットで打ち上げられました。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、18枚の鏡で構成され折りたたまれていた主鏡を展開すると口径が6.5mとなる巨大な宇宙望遠鏡で、太陽地球間のL2(ラグランジェポイント2)からの天体観測を実施します。(L2: 地球の外側へ約150万km離れた軌道で、太陽-地球-L2の関係を常に保てるため、深宇宙観測に適した場所です)

L2の軌道では、2019年に打ち上げられたロシアのX線天文衛星Spektr-RGや、ESAのハーシェル(Herschel)やプランク(Planck)、ガイア(GAIA)が活躍しています。これからL2を目指す天文ミッションとしては、ユークリッド(Euclid: 2023年第一四半期)、次世代赤外線天文衛星スピカ(SPICA: Space Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysics) があります。

JWST観測位置のイメージ図
JWST観測位置のイメージ図 Credit: NASA

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、打ち上げから27分7秒後にアリアン5ロケットの上段から分離し、打ち上げから29分8秒後に太陽電池パネルが正常に展開され、発電が行われたことが確認されました。ロケット上段に取り付けたカメラにより、切り離しと太陽電池パネルの展開が撮影されています。軌道に投入された後は、JWSTの光学系や観測機器が太陽の熱に晒されないようにするために、スラスター噴射を行って姿勢変更が実施されています。JWSTは、約30日間かけて軌道を変更し、L2ポイントに投入されます。

source : 打ち上げ成功(12/25 NASA)

打ち上げから3日後には、太陽光から機器を保護するための約21メートルのサンシールドの展開作業を開始しました。前方と後方に折りたたまれていたサンシールドパレットを90度展開し、両横に張力をかけて広げた後、5層から成るサンシールドに張力をかけて層間の間隔を広げ、最後に固定を行って作業を完了させました。展開作業は8日間かけて行われ、日本時間2022年1月5日午前1時59分頃に完了しました。

初期画像の取得までのイメージ図
初期画像の取得までのイメージ図 Credit: NASA

サンシールドは5層構造で、薄いプラスティックシートに金属コーティングが施されおり、太陽、地球、月の光と熱から望遠鏡を保護します。紫外線遮蔽指標などに使われるSPF値とする場合、SPF100万以上の効果を発揮し、200kw以上の太陽エネルギーの照射を1ワット以下に減らすことが出来ます。

JWSTの展開作業は、副鏡、主鏡の展開と続きます。副鏡は主鏡からの光を主鏡の裏側にある観測機器に正確に反射する必要があり、口径74cmのサイズです。副鏡の展開作業は打ち上げから10日後の1月5日に実施され、無事に終了しました。また、主鏡の六角形のセグメントを遠隔操作で展開し始め、1月7日に第1面、1月8日に第2面が展開されました。主要なシーケンスが完了して数日間、18枚の主鏡を動かし、展開の状況が確認されました。

source : サンシールド展開(1/5 NASA), 副鏡、主鏡の展開(1/9 NASA)

米国東部標準時24日午後2時(日本時間では25日午前4時)、JWSTは約5分の搭載スラスタ噴射を実施し、最後の軌道修正を完了しました。この軌道修正により、JWSTは予定通りにL2ポイントへ到達しました。これから更に望遠鏡の光学系を調整する作業が行われます。地上チームは、セグメントの裏側にある126個のアクチュエータに指令を出し、各鏡を曲げますが、このアライメントは完了までに数ヶ月かかると言われています。計画通りに軌道上チェックアウトが終了した場合、JWSTの最初の画像は、打ち上げから約半年後の2022年5月か6月頃に提供される計画です。

JWSTは、主に可視光域で観測するハッブル宇宙望遠鏡(HST)とは異なり、より遠方にある暗い天体を見つけ易い遠赤外域で観測を行う設計となっています。

source : 1/24 NASA, NASA


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