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将来の火星衛星探査計画でも欧州との協力が強固に

公開日 2021.02.09 | 最終更新 2021.02.15

2021年2月4日(木)に、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)のオンライン会議により、両機関の協力活動について状況確認が行われました。協力分野は、地球観測、宇宙科学、探査などです。今回の二機関会合では、ESA主導のヘラ(Hera)ミッションとJAXA主導の火星衛星探査計画(MMX: Martian Moons eXploration)の協力に関する2つの協定が締結されました。

ヘラは、NASAのダート(DART)ミッションが連星小惑星ディディモス(Didymos)に衝突した際の観測を行う国際的なミッションです。この協定では、JAXAは熱赤外カメラの提供と科学協力を行うことになります。

AIM
Credits: ESA–ScienceOffice.org

MMXはJAXAの探査ミッションで、火星の衛星フォボスからサンプルを採取して地球に持ち帰ることを計画しています。この協定では、ESAは探査機に搭載する通信機器をJAXAに提供するとともに、地上局による追跡管制支援を行います。また、ESAはサイエンス協力を通じて本ミッションに参画することになっています。

なお、MMXについては、今回の発表に先駆けてJAXAとフランス国立宇宙研究センター(CNES)に於いても、火星衛星サンプルリターンミッション(略称:MMX)の検討に関する実施取決めが2017年4月に締結されています。近赤外分光計(MacrOmega) やフライトダイナミクス、小型着陸機の搭載可能性検討の協力内容について、共同検討を行う取り決めとなっています。

source : JAXA, ESA, JAXA

MMXのミッションタイムスケジュールは、2024年9月に打ち上げ、火星周回軌道に投入後、火星衛星の模擬周回軌道 (QSO: Quasi Satellite Orbit) に入り、火星の衛星フォボスに於いてサンプルを採取、2029年9月地球帰還の予定が示されています。また、下記の13のミッション機器が搭載予定となっています。

  • ・望遠カメラ(TENGOO):衛星表面の詳細地形を観測。着陸地点の安全性確認にも利用される。

  • ・広角分光カメラ(OROCHI):衛星表面の地形、物質情報を観測。可視反射光を多波長で撮像し、含水鉱物・有機物など計測。

  • ・レーザ高度計(LIDAR):地形情報を取得し、火星衛星の詳細な形状モデルを作成。

  • ・火星周回ダストモニター(CMDM):火星周辺のダスト環境を計測し、火星衛星軌道上でのダスト再集積現象を調査。

  • ・イオンエネルギー質量分析器(MSA):衛星周辺のイオン環境を明らかにする。

  • ・ガンマ線・中性子分光計(MEGANE):全球表層の主要元素・水素の組成を観測。サンプル採取地点の選定にも利用される。

  • ・近赤外分光計(MIRS):近赤外分光観測により、衛星表面の含水鉱物、水関連物質、有機物の分布を測定。サンプリング場所の選定に活用される。

  • ・サンプリング装置(SMP):火星衛星表面から深さ2cmに渡るまでのレゴリスを採取し、リターンカプセルに移送。

  • ・ニューマチック採取機構(P-Sampler):ガス圧による採取機構で、表層のレゴリスを素早く少量採取・保持。

  • ・サンプルリターンカプセル(SRC):サンプリング装置で得られた火星衛星表層サンプルを地球へ持ち帰る。

  • ・MMXローバ(MMX Rover):火星衛星探査機本体より先に着地し、母船着陸・サンプル採取運用リスク低減のための表層レゴリスの物性取得、およびサイエンス観測の校正データ取得等を目的とするフォボス表面探査を行う。

  • ・惑星空間放射線環境モニタ(IREM):太陽高エネルギー粒子のエネルギースペクトルを取得。

  • ・高精細カメラ:高精細な火星衛星の撮影。

米国NASAも、ガンマ線・中性子線分光計(MEGANE)やニューマティック採取機構(P-Sampler)、地上局支援などの協力を行います。MMXローバは、ESA、CNES、ドイツ宇宙機関DLRと共同となります。

source : JAXA MMXホームページ


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