宇宙技術開発株式会社

日本政府がNASAと月周回有人拠点のための覚書アルテミス協定の締結を発表

最終更新 2021.01.14

NASAが各国に参加を呼び掛けている月周回有人拠点であるゲートウェイ(Gateway)に関して、日本政府とNASAが正式に「民生用月周回有人拠点のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国航空宇宙局との間の了解覚書(MoU)」を締結したことが、2020年1月13日(水)に発表されました。(正式署名は2020年12月に実施され12月31日付で有効となった。)ゲートウェイは国際宇宙ステーション(ISS)の約6分の1の大きさで、月面及び火星探査の中継基地として、各参加機関が提供する要素によって構成される月周回有人拠点であり、宇宙飛行士は、NASAのスペース・ローンチ・システム(SLS)ロケットで打ち上げるオリオン宇宙船に搭乗して向かうことになります。(月周回軌道に向かう際の、低月周回軌道や月面への移動の前にランデブーポイントとしての役割を果たす予定です。)

GATEWAY
Credits: NASA

今回のMoUでは、第五条の5に、ゲートウェイ構成要素が挙げられており、日本政府の担当要素は、「居住の能力に係る基盤的機能」と「物資補給」が明示されています。第七条では、日本と米国がゲートウェイを構築・運用していくための責任としてリスク管理やエンジニアリング、標準の規定、審査・認証、設備設置や運用、訓練、安全性など様々なことが規定されています。

また、「ゲートウェイは平和的目的のために利用されるものとする」こと、ゲートウェイ計画を運営するため「ゲートウェイ多数者調整委員会(GMCB)」が設置され、参加機関におけるゲートウェイの設計、開発、運用及び利用に関連する調整を実施していくことになりました。搭乗員については、「ゲートウェイ多数者間搭乗員運用パネル(GMCOP)」も設置され、搭乗員の選抜や認証、割り当て、訓練及び飛行準備の決定に関することも含めた、参加機関に影響を与える事項の調整や解決にあたることが示されています。

国際宇宙ステーション計画と同様に、日米二国間でのMoUが締結された後は、多国間での政府間協定IGA(Inter Government Agreement)が締結される流れとなっています。

GATEWAY
Credits: SED  出典:MoU第6条 計画の主要な里程標 より

NASAの発表に拠れば、この協定は、NASAが日本人宇宙飛行士にゲートウェイへの乗組員派遣の機会を提供する意向を示したもので、今後の協議の結果、決定され、文書化されることになります。また、アルテミスプロジェクトのような長い期間のミッションでは補給物資の需要を減らしプロジェクト達成を実現するために、日本から提供される環境制御や生命維持システム、バッテリー、熱制御、カメラ機材など、といった能力が不可欠とされています。

NASAは、既に昨年11月、12月にそれぞれ欧州ESAとカナダCSAの2つの国際的パートナーと、ゲートウェイに関する協力協定に署名しました。CSAの貢献が予定されているのは、船外ロボットシステムとゲートウェイモジュールのロボットインターフェースの提供、ゲートウェイに搭載される2つの科学機器を含むペイロードの搭載、アルテミスミッションに於けるカナダ人宇宙飛行士の提供機会の約束という内容です。ESAは、月面通信の強化(ESPRIT(European System Providing Refueling, Infrastructure and Telecommunication)モジュール供給)と、ゲートウェイを訪れた宇宙飛行士が暮らす国際居住棟(I-Hab)の供給、欧州の宇宙飛行士がゲートウェイに往来し、作業するための機会を3回得ることなどが含められています。

日本は、ゲートウェイのミニ居住棟HALO(Habitation And Logistics Outpost )のバッテリーなどのコンポーネントを、ノースロップグラマン社と宇宙航空研究開発機構(JAXA)との契約に基づき2022年までに提供すること、物資輸送サービスの可能性を検討するためHTV-Xによる技術実証を行うと共に、将来の物資補給ミッションについての協議、ゲートウェイに搭乗する日本人宇宙飛行士の人数など取決めが策定され、今後具体化が進むことになります。

source : 外務省ホームページ, NASA


    関連リンク

    SEDの関連記事