宇宙技術開発株式会社

宇宙開発には宇宙天気情報を知ることも重要

最終更新 2020.10.21

太陽などから地球に届くX線や紫外線、放射線などは、宇宙天気現象として、地上及び地球近傍の宇宙空間に様々な影響を及ぼします。人工衛星など、日常生活の中で宇宙環境を利用することが当たり前になっている昨今では、その影響はますます大きなものとなっています。

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では、2020年10月7日付けのプレスリリースにおいて、「太陽フレアなど宇宙天気による社会への影響を評価」を発表しています。これは、日本において、太陽活動を主な源とする宇宙天気がどのような影響を及ぼし得るかを過去の文献・観測データ等を基に評価したものであり、下記に具体的に挙げるように衛星運用、通信、放送、測位等のそれぞれの分野において、社会的に大きな影響を与える現象がどのくらいの頻度で発生する可能性があるかを示したものです。

  • 電力分野:
    地磁気誘導電流(GIC)に起因する送電線の過電流による停電

  • 衛星運用分野:
    高エネルギー電子による宇宙機への影響

  • 通信・放送分野:
    電離圏嵐他による短波通信・放送障害など

  • 測位利用分野:
    電離圏擾乱による測位精度の劣化

  • 航空機運用分野:
    デリンジャー現象などによる通信障害、電離圏擾乱などによる測位精度劣化、太陽高エネルギー粒子(SEP)による航空乗務員の被ばく

  • 有人宇宙活動分野:
    太陽高エネルギー粒子(SEP)による宇宙飛行士の被ばく

  • 地上生活分野:
    太陽高エネルギー粒子(SEP)による地上での被ばく(今回の評価で、地上における健康への影響はほぼないという結果)

source : NICT

なお、宇宙から飛来する放射線は、太陽系外から定常的に飛来している銀河宇宙線と、太陽フレア発生時に突発的に太陽から飛来する太陽放射線(太陽高エネルギー粒子、太陽宇宙線とも呼ばれる)に大別されています。

現在NICTからは、主に太陽活動の変動から生じる放射線電子などの状態、太陽活動の様子、地磁気活動などの宇宙天気情報を発信しています。これらの情報はメールでも取得できます。

本調査において重要と考えられるのは、今まで災害レベルの宇宙天気現象に対して、なかなか正しい知識が普及してこなかったこと、また適切な対応策が示されなかったことです。人類はこれから、地球低軌道の商業活動を活発化させ、更に遠方の月や火星にもその世界を広げようとしていますが、こうした影響評価をもとに確かな基盤を作ることが求められています。


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