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大取りを務めて打ち上げられた米国の火星探査機パーサヴィアランス

公開日 2020.07.30 | 最終更新 2020.08.04

日本時間2020年7月30日(木)午後8時50分に米国のマーズ2020(Mars 2020)がケネディ宇宙センターからアトラスVロケットで打ち上げられました。打ち上げは順調に進み、打ち上げ57分後にマーズ2020はロケットから切り離され、打ち上げは成功しました。

同日にNASAは、マーズ2020は一次的に、最低限のシステムを残して稼働をしないセーフモードとよばれる状態に移行したことを明らかにしました。地球の影に入る日影の状態の時に、想定よりも機体の一部が冷えたことが原因とみられ、その後通常の範囲内の温度に戻り、既知の許容できる範囲の問題とみなされました。報道では、機体の評価が行なわれた後に計画通りの設定に戻され、セーフモードより抜け出して通常運用モードに戻ったようです。

マーズ2020(Mars 2020)は、火星探査車のパーサヴィアランス(Perseverance:忍耐)と火星の薄い大気中を飛び回るヘリコプターインジェニュイティ (Ingenuity:創意工夫)を搭載した火星探査ミッションです。NASAテレビなど打ち上げのリアルタイム配信が行われました。

今年7月末に3回の火星探査機の打ち上げがある理由は、地球と火星の見掛け上の位置が近くなるからです。打ち上げた後の移動距離が短いため、燃料も節約でき、早く火星に到達できるので、旅がぐんと楽になります。この見掛け上の位置は大体2年おきに近くなりますから、火星探査機の打ち上げは2年毎に計画が組まれます。

パーサヴィアランスは、長さ3m、幅2.7m、高さ2.2mと、大きさは現在も活躍中のキュリオシティ(Curiosity)とそれほど変わりませんが、重さは1,043kgで、キュリオシティの899kgより126kg重くなっています。設計寿命は火星の1年にあたる2年で、周囲を撮影するためのカメラのMastcam-ZSuperCam、ロボットアーム先端に取り付けて火星表面物質を分析するPIXL(Planetary Instrument for X-ray Lithochemistry)、有機物や鉱物を調査するSHERLOC(Scanning Habitable Environments with Raman & Luminescence for Organics & Chemicals)、二酸化炭素から酸素を抽出するMOXIE(Mars Oxygen In-Situ Resource Utilization Experiment)、ダスト観測器のMEDA(Mars Environmental Dynamics Analyzer)、地下構造をレーダー観測するRIMFAX(Radar Imager for Mars’ Subsurface Experiment)の7つの機器を搭載しています。

JPLクリーンルーム内でのthe first driving test
Credits: NASA/JPL-Caltech
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パーサヴィアランスは、2021年2月18日に、直径45kmのジェゼロクレーター(Jezero Crater: 火星の北緯18度51分、東経77度31分) に着陸する予定です。着陸地は、かつて水をたたえた湖だった場所で、そこに流れ込む川によってデルタ地帯が形成されたと考えられており、過去に存在し得ると考えられている、微生物の痕跡を見つける可能性の高い地であるといえます。また、火星ミッションのために、米国地質調査所(USGS:United States Geological Survey)では、火星の25cmの高解像度の地図と、着陸地周辺の地形を含めた6m解像度の地図を作成して臨みます。25cm解像度の地図は、現在も火星を周回探査中のマーズ・リコネッサンス・オービターの高解像度カメラ(HiRISE)のデータを元に作成されており、これらはNASAのWebサイトで公開されています。

パーサヴィアランスは、将来のミッションで地球に持ち帰るための火星の岩や土壌サンプルを収集します。搭載の機器SHERLOCには、新しい火星用のサンバイザー素材など宇宙服素材候補もセットされています。火星表面の強い放射線に耐えられるかどうかを観察するために使用されます。

パーサヴィアランスに搭載されるインジェニュイティは、直径1.2mのローターを装備した高さ0.49m、1.8kgの小型ヘリコプターで、リチウムイオンバッテリーを太陽電池で充電して動力に使います。パーサヴィアランスが中継するコマンドを受信して自律飛行を行います。最初は高さ3mを30秒ホバリング、30日間5回の飛行を行い、距離数百mまで徐々に実績を積む計画です。

source : NASA


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