宇宙技術開発株式会社

中国の新しい有人宇宙船の試験機が打ち上げに成功

公開日 2020.05.07|最終更新 2020.05.11

日本時間2020年5月5日(火)午後7時に、中国の次世代有人宇宙試験船の無人試験機が、長征5Bロケットにより、海南省 文昌衛星発射センターから打ち上げられました。打ち上げから488秒後にペイロードはロケットから分離しました。その後、太陽電池パネルの展開、太陽の捕捉、中継アンテナの展開、通信リンクの確立、4回の自律的な軌道制御が行われました。

長征5Bロケットは、2016年11月に打ち上げられた長征5号をベースにした大型輸送ロケットで、今回が初打ち上げになります。ロケットの全長は約53.7m、コア直径は5m、直径3.35mのブースターが4本とりつけられており、低軌道に22トンの打ち上げが可能とされています。今回の打ち上げでは、ブースターとコアエンジンが地上で点火されるという方式で、第2段が省略されています。分離箇所を減らし、より重たいペイロードを低軌道に投入できます。

また、今回の打ち上げに使われたフェアリングは、長さ20.5m、直径5.2mです。長征5で使われた12.267mのフェアリングより長く、体積は1.8倍の345立方メートル以上となっています。

この次世代有人宇宙船は、中国の宇宙ステーションの運用と将来の有人月探査のニーズに対応するために開発された新世代の宇宙往復輸送機で、このミッションでは、熱防護、制御、パラシュートによる回収、部分再利用などの高速再突入・帰還の主要技術を検証します。試験船の直径は約4.5m、長さ9m、重さは20トン以上で、地上400kmほどの地球周回軌道への輸送を行った有人宇宙船「神舟」の約2倍の輸送能力があり、一度に6-7人の飛行士を運ぶことができます。

なお、二次ペイロードとして相乗りした貨物回収用のインフレータブル試験機(打ち上げ時直径1m、長さ1.5m)は5月6日に、次世代有人宇宙船試験機の方は5月8日に、それぞれ軌道上での試験を終えて帰還する予定でした。しかし、直径5mの膨張式(インフレータブル)熱シールドで覆われた再突入試験機は、異常が見つかり回収に失敗したと、6日に発表されました。

一方、宇宙船は、高度300km~8000kmの軌道上を約67時間飛行し、日本時間5月8日(金)午後2時49分に予定通り帰還しました。軌道制御も行われ高度も異なることから、低軌道を周回する宇宙ステーション内とは違う重力や宇宙放射線環境にて、宇宙生物学などに関連した75の実験プロジェクト、988個の動植物の実験サンプルが船内に搭載されたとのことです。帰還時に宇宙船は、大気圏突入のための耐熱シールドを利用し、高速再突入時の熱対策、制御や3つのパラシュートによる回収などの飛行検証のためのキーテクノロジーの実験を行いました。その後の継続的な改良を行って、最大10回の再利用ができるということです。

長征5Bロケットは主に、高軌道への大型衛星、月や火星の探査機、低軌道の宇宙ステーションのモジュールや宇宙船などの打ち上げに利用されます。この後、2022年の宇宙ステーション建設完了までに、12のミッションが計画されています。3つの宇宙ステーションモジュールの打ち上げが計画されており、有人宇宙船4機と、貨物船「天舟」4機が、この間に打ち上げられる予定ということです。


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