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新型コロナに宇宙の現場も非常事態宣言!?

公開日 2020.03.17 | 最終更新 2020.03.31

新型コロナウィルス感染症対応のため、日本ではJAXA主催の数々の宇宙イベントが中止、展示館も4月30 日まで閉館されています。来訪者設備利用も中止という念の入れようです。海外でも、ロケット打ち上げの現場にも影響を少なからず受けているため、現時点のものを簡単に紹介してみます。

3月15日付け発表では、NASAのエイムズ研究センターが、3月8日に感染が確認されたことを受けて、対応レベルをステージ3に上げました。同日発表では、マーシャル宇宙飛行センターでも新たに感染者が確認されたため、対応レベルをステージ3に上げ、アクセスを制限してテレワークに移行しました。他のNASAセンターも、3月14日にステージ2に移行されました。

ステージ2ではリモートで業務ができる人には、テレワークを強く推奨しています。ラップトップコンピュータ等を自宅に持ち帰れるよう長官から指示が出されました。更にミッションに不可欠ではない出張は、NASA全体で制限することにしています。ミッションに不可欠な要員であっても、体調がおかしいと感じた者は出勤してはならないとのことです。

更に3月17日夕方に、NASAはすべてのセンターと施設の対応レベルをステージ3に上げることを決定、直ちに実行に移し、NASA全体がテレワークに移行することになりました。ミッションの実施に不可欠な要員は、センター内で業務を続けることができます。ステージ4では全ての設備が閉鎖され活動も停止となることから、その一歩手前までの処置となっています。 ステージについての定義(NASA:PDFファイル)

3月18日の長官のブログによれば、エイムズ研究センターが、地元の要請を受けてステージ4に移行し閉鎖され、職員はテレワークのみとなりました。

3月20日には、ミシュー組み立て工場(Michoud Assembly Facility)とステニス宇宙センターもステージ4に移行しました。ステニス宇宙センター周辺で感染者が増えており、作業員の間で自宅での隔離者が増えているための措置です。ミシュー組み立て工場周辺では感染はまだ確認されていないものの、地元と連邦政府のガイドラインに従いレベルを上げています。両センターへの立ち入りは制限され、作業はテレワークで対応することになり、これまで例外的に認められていた現場作業も取り消され、中に入るには新たな承認申請が必要となりました。SLSとオリオンの製造・試験も一時的に中断します。

3月24日にステージ4に移行したNASA施設は、以下となっています。ケネディ宇宙センター(KSC)は、1人感染者が出たものの1週間以上前からテレワークをしていてセンター内には入っておらず、ステージ3のままです。

  • ■グレン研究センター(Glenn Research Center:オハイオ州)

  • ■プラムブルック基地(Plum Brook Station:オハイオ州)

  • ■ワロップス飛行施設(Wallops Flight Facility:バージニア州)

  • ■ゴダード宇宙科学研究所(Goddard Institute for Space Studies:ニューヨーク)

  • ■ゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center:メリーランド州)

source : 3/15付NASA 3/18付NASA長官ブログ 3/20付NASA 3/24付NASA

また、欧州宇宙機関ESAでも、3月13日から従業員は在宅勤務・テレワークとなり、ミーティングについてはテレビ会議などで実施する対応となっています。アリアンスペース社でも、フランス政府の決定を受けた形で、3月16日に打ち上げ全てを当面中断するとの発表がされました。そのため、アリアンロケットだけでなく、仏領ギアナからの打ち上げが行われるソユーズSTロケット、打ち上げ再開の決まったヴェガロケット打ち上げにも今後遅れが見込まれます。なお、ESAだけではありませんが、宇宙飛行士の滞在する国際宇宙ステーション (ISS)設備運用は優先度も高く、24時間体制で運用は継続されています。3月26日に、ドイツにあるESAのコロンバスの運用管制室の様子が紹介されています。運用者同士は3m以上離れて作業を行っています。

source : 3/26付ESA,3/16付ESA, 3/16付アリアンスペース社

なお、4月9日に打ち上げが予定されていて、3人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーションへ運ぶソユーズMS-16(Soyuz MS-16)にも影響がでています。バイコヌール宇宙基地への訪問が制限されており、打ち上げのため予定されていたメディアなどの来訪が中止されました。打ち上げ中継などは予定通り実施されます。3月27日のROSCOSMOS発表記事に依れば、ROSCOSMOSの下部組織であるTsENKIでコロナ対策を統括して行っており、施設や設備は定期的に清掃されているとのことです。発熱を測定する赤外線非接触デバイスやマスクが搬入され、作業員や、バス、これらのデバイスを使った発熱者の測定、輸送ドライバーによる1日2回の車内の消毒、記録管理などが行われているとのこと、ボストチヌイ宇宙センター側とも連携しており、外国人雇用者にも対策が敷かれ、現在感染例は報告されていないと伝えています。

source : 3/16付ROSCOSMOS 3/27付ROSCOSMOS


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