宇宙技術開発株式会社

オリオン宇宙船の放射線計測

最終更新 2019.01.31

延期が続き、2020年6月以降に予定されているNASAとESAが開発しているオリオン宇宙船による初の月周回ミッションEM-1(Exploration Mission-1)に、2体のマネキン人形が乗ります。

何故マネキン人形が2体も乗るって?高い予算を使ってけしからん。ということではありません。2体はEM-1の飛行経路で受ける放射線の影響と防護服効果を計測するために乗る貴重な試験体なのです。

EM-1ミッションは、月近傍まで行き地球に戻る軌道をとります。2体は女性の形でヘルガ(Helga)さんとゾハル(Zohar)さんと呼ばれています。5,600以上のセンサーが取り付けられており、骨格や肺など細かく人体を模擬した彼女達が、宇宙飛行士たちが将来の任務で受ける可能性のある放射線を定量的に計測する予定です。

放射線被ばくは宇宙での人間の健康上の主要リスクです。国際宇宙ステーションのある上空では、地上の250倍もの放射線リスクがあります。地球の磁気圏から離れると、太陽活動起源のものと銀河起源のもの併せて、700倍以上の放射線を浴びる可能性があるのです。放射線環境に敏感な臓器についても数千の受動式線量計の記録だけでなく、16のアクティブ線量計が、飛行中の変化についても計測する予定です。

2体のうち、ゾハルさんは、放射線防護ベストを着ています。これは、Astro Radと呼ばれているもので、ポリエチレン由来の素材です。放射線リスクの内の多くを占める太陽活動起源のプロトン(陽子)を遮蔽する効果があります。国際宇宙ステーションにも、かつて2004年から2011年まで、マトリョーシカと言われるマネキンが滞在した前例があり、日本でも国際協力プロジェクトとして実験に参加しています。

ヘルガさんとゾハルさんは、EM-1ミッションのオリオン宇宙船の座席に乗っていく予定です。なお、これとは別にマッチ箱サイズのアクティブ線量計が、船内の放射線環境をリアルタイムに記録するために搭載される予定です。

source : ESA


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