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欧州はデブリ捕獲実験開始のための衛星を放出

公開日 2018.06.22|最終更新 2018.10.05

近年、地球軌道上を周回する衛星や、ロケット打ち上げ時に軌道上に残される上段ロケットの残骸などに起因する宇宙デブリの問題が深刻化しているため、積極的なデブリ除去(アクティブデブリ除去)に関する関心が高まっています。その先陣を切って、欧州のデブリ捕獲実験のための衛星ミッションリムーブ・デブリス(RemoveDEBRIS)が、日本時間2018年6月20日(水)午後8時35分に、国際宇宙ステーション(ISS)から放出されました。ナノラックス(NanoRacks)社から放出時の写真とビデオが公開されています。

source : 放出時画像(ナノラックス社Twitter),放出時画ビデオ(YouTube/ナノラックス社)

放出手順は、まず日本実験モジュールのエアロックから、ナノラックス社の小型衛星放出機構ケイバー(Kaber Microsatellite Deployer)に取り付けた衛星を取り出します。次にISSのロボットアームを使って、船外の放出位置へ移動したケイバーから、小型衛星リムーブ・デブリスを放出します。この小型衛星は、ISSから放出された衛星としては最大のサイズと重量となりました。衛星本体には2Uサイズのキューブサット2機(デブリサット1, 2 (DS-1, 2:DebrisSAT-1, 2))を搭載しています。この小型衛星は、今年4月に打ち上げられた無人補給船、ドラゴン14号機(SpaceX CRS-14 (SpX-14)/Dragon)に搭載されてISSに運ばれていました。

リムーブ・デブリスは、欧州連合EUの予算で開発された、地球低周回軌道上のデブリの捕獲と軌道離脱のための技術実証ミッションです。英国サリー宇宙センターSSC(サリー大)がコンソーシアムを組んで開発を取りまとめ、アクティブデブリ除去技術は主にエアバス社が開発しました。リムーブ・デブリスからは、デブリを模擬する2機のキューブサット(デブリサット)を放出します。DS-1はネット(投網)を使った捕獲・再突入、DS-2は視覚ベース航法VBN(ision-Based Navigation)システムの実験に使われる予定です。

今年10月に捕獲ネットの放出試験、12月に視覚ベース航法の試験、2019年2月に銛の試験を実施予定です。捕獲ネットの放出試験は、リムーブ・デブリス本体から低速で射出されたDS-1が、7m離れて、支柱に膜が張られたインフレータブル構造を膨らますことで大きなターゲットとみなします。本体から捕獲ネットをDS-1ターゲットに向けて放出し、ネットに覆われたDS-1ターゲットは抵抗を受けて高度を下げ軌道離脱する仕組みです。衛星本体に搭載した2台の高画質カメラで、この実験の様子を地上に届けます。

2番目の視覚ベース航法(VBN)試験は、同じく低速で射出されたDS-2を衛星本体のカメラとレーザーライダーを使って追跡し、収集データを地上に下ろす実験です。軌道上で取得された画像を地上処理することにより、視覚ベース航法機器のアルゴリズムの検証を行います。3番目の銛の試験は、10センチメートル四方の的を衛星本体から5m伸ばし、銛を射出するものです。試験の様子は2台の高画質カメラで収集され、地上に届けられます。

最後に、リムーブ・デブリスはセイルを展開し、大気抵抗を増やすことで大気圏突入を早める実験を行います。セイルを展開しない場合は軌道離脱まで2.5年かかりますが、セイルを使用すると大気抵抗が増えて軌道高度の低下が早まるため、8週間で軌道離脱できるとのことです。実験は全て国際宇宙ステーションよりも下の軌道で実施されます。

※1U:10センチ角サイズ

source : ナノラックス社Twitter,リムーブ・デブリスミッション概要(サリー大)


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