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火星嵐の中で皆が見守るオポチュニティの行方

公開日 2018.06.14|最終更新 2019.02.14

日本時間2018年6月13日(水)午前10時30分、最も長く火星表面で探査を行っているオポチュニティ(Opportunity)探査車(ローバー)が、火星の嵐で砂が巻き上げられて太陽光が遮られたために太陽電池による発電量が低下し、低電力状態となって通信が途絶えたと報告されました。(オポチュニティからの最終的な通信が受け取られた時間は6月10日)その後のいくつかの報告から、火星のダストストームについて、様々な情報がNASAから報告されました。

火星のダストストームはしばしば起こっていますが、火星全体に影響を及ぼすほど大きなものは、2-3火星年(地球の6-8年)に1回ほどの割合で起きることがわかってきました。前回は2007年に起きており、数週間から数ヶ月に亘る長期間の現象になります。今回オポチュニティの周囲を覆ったダストストームは成長途中にあり、火星表面の4分の1、3,500平方キロメートルを覆っています。科学者達は、オポチュニティの無事を祈る一方で、ダストストームが更に発達した場合はまれにみる科学現象であり、将来の火星天気を予測するための貴重なデータとなるかもしれないと考えています。

source : MROによる5月31日から6月11日の火星(NASA)

オポチュニティは、そのカメラの映像で、明るい陽射しの空が暗くダストで覆われて、太陽が微かにしか見えない様を、火星周回中のマーズ・リコネッサンス・オービター(MRO: Mars Reconnaissance Orbiter)を経由し、地球へと届けてきました。NASAで運用中の火星探査機は、周回機3機と火星表面にいるローバー2機です。周回機はマーズ・リコネッサンス・オービター、マーズ・オデッセイ(Mars Odessey)メイブン(MAVEN: Mars Atmosphere and Volatile EvolutioN)で、軌道上からダストストームの塵粒子の大きさや地上での広がりを検出できます。

オポチュニティからはるかに離れたゲール・クレーター(Gale Crater)にはキュリオシティ(Curiosity)がいますが、こちらはダストストームの直撃は受けない所にいます。オポチュニティとキュリオシティのカメラ映像からは、大気の透明度の低下も計測できます。ダストによって視界が悪化した状態は、大気の透明度の悪さを示す指標 "tau" で表現しますが、オポチュニティのカメラ映像から、その値が急上昇していく様子がわかります。

NASAの記事には、火星周回機とローバーからダストストームの観測に使える装置が示されています。オポチュニティが計測したtau値と発生電力を示したグラフでは、2018年の5月30日に急速に大気の透明度が落ちこみ、6月10日にはtau値が10.5まで上がっています。また、発生電力もこれに伴い、21Wh(ワット時)に急速に落ち込んでいることがわかります。これは、オポチュニティの運用日を火星日で数え、5,111日目に当たります。オポチュニティは太陽電池のみで発電しており、設計寿命は90日間であったにも関わらず15年間も運用しているため、この嵐が過ぎた後の存続が心配されています。一方、キュリオシティについては、tau値の上昇がみられるものの、6月12日の時点で1~2となっており、原子力電池で発電しているため、電力不足となって科学観測が止まるリスクはないとのことです。

source : NASA


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