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冥王星以遠探査ニューホライズンは一旦冬眠から目覚める

最終更新 2017.09.22

NASAの深宇宙探査機ニューホライズン(New Horizons)は、一昨年7月の冥王星接近以来、冥王星の軌道の外側にある小惑星帯カイパーベルト(Kuiper Belt)に位置する2014 MU69に向かっています。2017年9月11日にニューホライズンは地球から58.2億kmの距離にありました。電波での信号受信は約5時間24分かかる距離です。この日、157日間の冬眠期間から一旦目覚め、この先の旅程準備のため休眠モードから活動モードへ移行するコマンドが送られました。

ニューホライズンの次の目標天体までは、まだ5億9300万kmと地球から太陽までの距離の4倍ほど進まねばなりません。2014 MU69に接近するのは翌々年の2019年1月1日で、現在の飛行位置は、冥王星の軌道からやっと中間地点を過ぎたところです。正常に目覚めたことを知らせる信号は、スペイン マドリッドにあるNASAの深宇宙探査ネットワークから米国メリーランド州ローレルにあるジョン・ホプキンス研究所のミッション運用室へ、日本時間9月12日午前1時55分に届けられました。

その後3日間、ミッション運用チームは探査機の科学機器のチェックアウトを行うなど、12月中旬までデータ取得が行われます。旅程の準備のため、多くのカイパーベルトの天体に装置を向け、ニューホライズン搭載の望遠カメラLORRIによるカイパーベルト天体の観測(カイパーベルト天体からの赤外線放射や塵、ガス環境の計測)も行われます。

2014 MU69接近の準備として、搭載機器の試験に加え、10月初めには故障に対処するための新しいソフトウェアをニューホライズンのコンピュータに送信する予定です。また、12月9日には、到着に備えて軌道を補正するための軌道制御を行うことになります。そうして、12月22日にまたニューホライズンの機体は休眠状態に戻されることになります。その次に休眠から起こされるのは、接近準備のための2018年6月4日となります。

source : NASA

なお、一昨年の冥王星接近観測データを基に、冥王星の下記の14個の名前と場所が、国際天文学連合(IAU:International Astronomical Union)により公式に承認されました。これらは2015年にオンライン命名キャンペーンにて多くのアイデアを集めたもので、他にもIAUに提案中の冥王星やその月の地名があるとのことです。

  • トンボー領域(Tombaugh Regio):冥王星を発見した米国の天文学者クライド・トンボーに因む
  • バーニー(Burney)クレーター:クライド・トンボーに、冥王星にローマ神話の冥界神プルートーの名を提案した当時11才の女子学生ヴェネティア・バーニーに因む。その後の生涯で数学と経済学の教鞭をとる
  • スプートニク平原(Sputnik Planitia):世界初の人工衛星の名に因む
  • テンジン山脈(Tenzing Montes)とヒラリー山脈(Hillary Montes):エベレスト登頂に初めて成功した登山家エドマンド・ヒラリーとそのシェルパとして登頂したネパール人のテンジン・ノルゲイに因む
  • アルイドリースィー山脈(Al-Idrisi Montes):初めて正確な世界地図を作成したとされる中世のアラブ人地理学者に因む
  • ジャンガウル溝(Djanggawul Fossae):オーストラリア先住民の神話で冥界とオーストラリアを行き来する3人の先祖に因む
  • スレイプニイル溝(Sleipnir Fossa):北欧神話の冥界の王オーディンを乗せる強力な8本脚の馬に因む
  • ヴェルギリウス溝(Virgil Fossae):ローマ帝国の詩人のひとりで、ダンテの神曲で冥界の案内人としても登場するウェルギリウスに因む
  • アドリブン渓谷(Adlivun Cavus):イヌイットの神話の、死者の霊アドリブンに因む
  • ハヤブサ大地(Hayabusa Terra):初めて小惑星からサンプルリターンを果たした日本のはやぶさミッションに因む
  • ボイジャー大地(Voyager Terra):1977年にNASAが打ち上げたボイジャー探査機に因む
  • タルタロス丘陵(Tartarus Dorsa):ギリシャ神話の冥界にある奈落に因む
  • エリオット(Elliot)クレーター:恒星を使った掩蔽法を太陽系内の観測に取り入れて、天王星の輪と冥王星の薄い大気層の発見に貢献したマサチューセッツ工科大の研究者ジェームズ・エリオットに因む

source : NASA


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