宇宙技術開発株式会社

ファルコン9ロケットの事故調査報告2

公開日 2017.01.05|最終更新 2017.01.06

昨年9月1日に射点での燃焼試験中に爆発をした米国スペースX社のファルコン9ロケットですが、連邦航空局(FAA)、米国空軍(USAF)、航空宇宙局(NASA)、運輸安全委員会(NTSB)、産業界の専門家らにより、4ヶ月間に亘る事故調査が実施され、1月2日にスペースX社より事故原因の概要が明らかにされるとともに、打ち上げ再開の日程が発表されました。事故調査チームは、ビデオやテレメトリデータを洗い直しました。

事故原因を絞り込むために「故障の木解析(FTA)」を実施した結果、2段の液体酸素タンク内に設置され、液体酸素の中に漬けられる形式の3基のCOPVs(Composite Overwrapped Pressure Vessels)ヘリウム容器のうちの1基に異常が生じて、事故を引き起こしたことが確認されました。

ファルコン9の各段では液体酸素タンク内の圧力を維持するために、ヘリウムによる加圧が使われています。COPVはそのために液体ヘリウムの貯蔵タンクとして使われています。COPVは、金属製の球形あるいは円筒形の容器の上から炭素繊維を巻きつけることで、重量を増やすことなく強度を確保した圧力容器です。

ファルコン9で使われているCOPVの内側のアルミニウム製の圧力容器(ライナー)とそれを覆う炭素繊維のオーバーラップの間の隙間(あるいはライナーの湾曲部)に酸素が入り込み、この溜まった酸素が着火の引き金になりました。事故後に回収されたCOPVからはライナーに湾曲が生じ、破裂はしていなかった事が確認されました。過冷却された液体酸素がこの湾曲部に入り込み、炭素繊維の破断あるいは摩擦が引き金になって発火し、爆発に至ったと考えられます。

調査の結果、液体ヘリウムの充填温度が低かったため、周囲の液体酸素が凍って固体化するほど極低温に達していた事が分かりました。

短期的な再発防止策としては液体ヘリウムの充填温度を上げることで対処し、液体ヘリウムの充填運用を飛行実証されている手順に戻します(700回以上の充填例があるやり方を採用)。長期的には充填時間を短縮できるようにCOPVの設計変更を行う予定とのことです。

ファルコン9ロケットの打ち上げ再開はイリジウムNEXT衛星を搭載して、1月8日(日本時間1月9日)の打ち上げが設定されています。

source : スペースX社


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