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火星周回中のTGOが火星ローバーのデータ中継試験に成功

最終更新 2016.12.27

今年10月19日から火星を周回・探査中のトレース・ガス・オービター(TGO)は、火星上で探査を進めるオポチュニティ(Opportunity)とキュリオシティ(Curiosity)の2機の探査ローバーからのデータ受信試験を、11月22日に初めて実施・成功しました。

欧州宇宙機関が開発したExoMars/TGOは、NASAが提供した2台のエレクトラ(Electra)受信機を搭載しています。11月22日の試験では、2台のうちの1台で受信したデータを地球に中継し、火星軌道上での国際通信ネットワークへの仲間入りを果たしました。

現在、火星軌道を周回している観測衛星により、火星表面を探査するローバーからの電波を受信し、地球へ電波を中継するための、データ中継システムの拡充が進められています。2020年に打ち上げが予定されているエグゾマーズ2020の火星ローバーや、有人火星探査ミッションに向けて火星データ中継ネットワークの拡充は重要となっています。

すでに火星上空を周回しているNASAのマーズ・オデッセイ(Mars Odyssey)、マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO:Mars Reconnaissance Orbiter)、メイブン(MAVEN:Mars Atmosphere and Volatile Evolution)、ESAのマーズ・エクスプレス(Mars Express)(中継機能はバックアップ待機状態)が、火星軌道上から探査ローバーのデータ中継を実施しています。

データ中継を実施すると、ローバーから地球へ直接送信より多くのデータが送れます。また、火星軌道上の宇宙機が沢山あれば、中継機会も増え、更に多くのデータを地球に送信することができます。

エレクトラは、探査ローバーから火星周回機を見た場合、地平線上にいる時はデータ量を減らし、頭上通過時にはデータ量を増やすなどの調整を行い、中継するデータ量を最大にする機能を有しています。更に、最新型のエレクトラでは無線の干渉レベルを減らす改良により、MROが搭載するエレクトラの2倍の中継能力となっています。

なお、TGOは、現在は遠火点98,000km、近火点310kmという火星上に楕円を描き周回する軌道にいますが、約1年をかけて火星上空高度約400kmの円を描く軌道へと変更される予定で、その後は、ローバーからのデータを定期的に中継出来るようになります。

source : NASA


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