風と共に去りぬ:国際宇宙ステーションでの風観測ミッション終了

最終更新 2016.11.29

国際宇宙ステーション(ISS)で2014年から運用されてきたISS-ラピッド・スキャット(ISS-RapidScat)は、風を観測するマイクロ波散乱計で、以前は6時間かかっていた高緯度地帯の天候変化に役立つ風情報を、1時間以内に取得して、米国海洋大気庁NOAAでも必須の役割を果たしてきました。

ISSの軌道は、静止軌道のように地球の回転と同期していないため、様々な地点を観測できます。そのため、他の地球観測センサのデータと同じ場所を観測することもあり、こうしたクロス観測による比較や追跡データの取得から、嵐の発達など気象現象を更によく知ることに役立ちました。

このほどISSの地上方向に取り付けられているコロンバスモジュールにあるラピッド・スキャットのミッションが終了することになりました。(1枚目の写真はSpX-4での取り付け作業時の写真、2枚目は運用中のラピッド・スキャットのアンテナの様子、3枚目は2015年1月28日に米国東海岸ケープ・コッドの沖合で秒速25-30mという平均風速の最高記録を観測した時のデータ、4枚目は温帯低気圧による風速を可視化した観測データ)

なお、ラピッド・スキャットは、今年8月にコロンバスモジュールの配電ユニットの不具合で起動が出来なくなるまでに2年間の観測を行い、予定していたミッション目標はすでに達成していました。

ラピッド・スキャットの前身は、2009年にミッションを終了した観測衛星クイック・スキャット(QuickScat)でした。

ISSは、宇宙で手軽に新しい技術に取り組めるテストベッドとして、地球観測ミッションにも使われています。米国が搭載してきた、または今後設置を予定しているセンサは以下の通りです。

  • HICO(2009-)(NASA)
    Hyperspectral Imager for the Coastal Ocean (HREP-HICO)
    沿岸域撮影用のハイパースペクトルカメラ(「きぼう」の船外プラットフォームに設置)
  • CATS(2014-)(NASA)
    Cloud Aerosol Transport System
    雲・エアロゾルの輸送システムの観測装置(「きぼう」の船外プラットフォームに設置)
  • ISS-RapidScat(2014-2016)(NASA)
    風観測装置(コロンバス船外に設置)
  • ISERV(2012-2016)(NASA)
    ISS SERVIR Environmental Research and Visualization System
    地球観測用の望遠鏡設置型デジタルカメラ(米国実験棟の船内に設置)
  • STP-H5 LIS(2017-)(NASA)
    Lightning Image Sensor
    雷観測装置
  • SAGE III(2017-)(NASA)
    Stratospheric Aerosol and Gas Experiment
    オゾンなど大気微量成分を観測
  • ECOSTRESS(2018-)(NASA)
    ECOsystem Spacebone Thermal Radiometer Experiment
    近赤外植物モニター
  • GEDI(2018-)(NASA)
    Global Ecosystem Dynamics Investigation
    高緯度森林キャノピーモニター

source : NASA


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