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太陽系から7.2光年離れた褐色矮星にも水のしるし

最終更新 2016.07.26

アルファケンタウリは、私たちの太陽系から最も近い恒星で、しかも太陽と同じGS型のスペクトルを持つ恒星ですが、同程度の近距離には恒星になり損ねた褐色矮星がいくつもあります。

アルファケンタウリは、近年になって連星であることが明確化され、A星がGS型スペクトルを持ち、B星はこの伴星で褐色矮星とされています。いずれも私たちの太陽系から4.2光年ほど離れています。

自力で輝きを発している恒星は、私たちの太陽と同じように核融合で得られるエネルギーを排出しているのですが、褐色矮星は、こうした反応が持続的に得られる質量がなかったために、暗く冷たい天体となっています。

こうした褐色矮星の光はかすかで、赤外線の波長でかろうじて見えるという程度のものです。褐色矮星WISE0855-0714は、太陽系から7.2光年の距離にあり、私たちが知る中で太陽系の外の物体として最も暗く冷たい天体です。ハワイにあるジェミニ北望遠鏡を使い、カリフォルニア大学サンタクルーズ校が先導する天文学者達のチームがそのスペクトルを得るのに成功し、その天体の構成に水の雲や、水の氷を示す証拠が見つかっています。

WISE0855は、木星の5倍ほどの質量で、多くの点で木星のような巨大ガス惑星と似ています。木星の温度は130K(ケルビン)ですが、WISE0855は250Kです。2014年に刊行された以前の観測の論文では、限られた光学データを基に水の雲の指標を報告できただけでした。WISE0855から得られる光では、従来の近赤外の波長の分光観測には微弱すぎると云われていましたが、決して不可能というわけではありませんでした。

チームでは、ハワイのジェミニ・ノース望遠鏡のジェミニ近赤外分光器を使い、13夜にわたって計14時間の観測を行い、詳しい観測をすることにより、WISE0855が水蒸気と雲によって支配されていることがわかりました。

記事の図には、私たちの太陽系の太陽からの距離が示されています。4光年の少し外側にあるのがアルファケンタウリA(Alpha Centauri disc. 1939)、その伴星B星(Proxima Centauri disc. 1917)で、更に遠くに褐色矮星が4つ示されています。

なお、WISEの番号が付けられているものは、NASAの宇宙望遠鏡のWISE(Wide-field Infrared Survey Explorer)で発見された天体になります。

source : NASA


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