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目次 |
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衛星TVの普及 |
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日本でも衛星放送開始後すでに20年が過ぎ、衛星を中継したテレビ放送はすっかり普及した感があります。TV放送などは、ほぼ日本を衛星がカバーしており、設備さえあればどこでも放送が受信できるという状態まで、世の中は進んできています。
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特に衛星によるTV放送の開始により、広い地域で沢山の番組を視聴できるようになりました。衛星放送は概して高い周波数域を利用しており、多くの情報が取り扱えるため、地域で視聴できるチャンネル数が格段に増えました。ただし、天候(雨や雪)により受信状態が悪くなるという問題があります。 |
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衛星放送では、多くの番組を主局(管制局)がコントロールし、衛星を中継して各地に電波を送ることで成り立っています。
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携帯移動体通信の普及 |
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更に携帯電話や移動体通信の技術も急速に普及し、特に都市部ではストレスのない通信網を手軽に利用することができます。
また、現在では船に衛星通信用アンテナを装備していることが多くなってきました。電話だけでなくインターネットも利用できるようになってきましたが、地上に比較するとコストが高いのが現状です。 |
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携帯電話や移動体通信はマイクロ波帯を使っています。前述した通り、高い周波数の方が多くの情報を載せることができるという利点があります。昔は軍用や宇宙通信で利用された帯域ですが、データ量・利用数共に需要が増え、こうした移動体通信やオフィス内の無線、インターネット中継用の帯域になどと限定を加えた利用が進みました。
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日本の携帯電話・移動体通信の爆発的な普及は、直進性(指向性)が強く、利用者のアンテナや設備が小型にできたことが背景にあります。固定回線がデータ容量を増やす方向に進んでいるのと同じく、移動体通信でも取り扱えるデータ量も増え、データ転送方式を規定することでTV放送の受信までできるようになってきました。
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今までの衛星通信 |
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地上網を駆使した移動体通信の普及は、日本のように人が比較的密集して住んでいて国土が狭い場合には地上中継などの設備を多く設置することで成り立っているシステムです。 TV放送については、衛星を利用する放送が多くなってきましたが、単純に衛星を利用した固定通信や移動体通信を考えた場合はどうでしょうか。
前述の海上通信のように、衛星電話や衛星インターネットなど多くのことが可能になっていますが、まだまだ絶対数としては少数であり、経済規模も小さいものです。現在はまだ固定通信が不通になった際や、緊急通信の必要性から存在している「冗長系回線」と考えられている場合が大半です。 |
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※「冗長系」は、IT社会や地上から隔絶された宇宙の業界では、馴染み深い言葉で、通常使っている方法がだめになった場合の「バックアップ設備」、とか「予備設備」とかいわれるものです。 |
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現在のIT社会では、恩恵を受ける地域に偏りがあり、「デジタルデバイド」という言葉も生まれています。これは現在のIT社会で、データ転送量や情報の伝達そのものに格差があり、ひどい場合にはそういった情報網から隔絶されていることをいいます。日本では、離島や非常に険しい山間部などが筆頭に挙げられています。
デジタルデバイドの地域を無くす方法として、地域CATV網の発達や、無線技術・衛星通信の進歩の活用が提案されています。しかし、財政難の問題から必ずしもこういった技術が普及・活かしきれていないのが現状です。 一方広い国土の米国や、国がまたがる欧州などは、早くから衛星の活用を通信にも広げて考えてきました。日本と異なり地上設備を整備するよりもコストパフォーマンスが良いという理由も背景にあります。 |

衛星通信システムの長所の例 |
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これからの衛星通信 |
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こうしたそれぞれの特長をこれからは上手く活用しようという考え方もあります。いずれにしても衛星通信技術の革新が日本に必要であるのは確かなようです。放送の利便性の一層の向上と、アップリンク側の技術の向上がこれにあたると考えます。
通信衛星では、地球観測の衛星のように、約36000km静止軌道上のものと、もっと低軌道で地球を周回しながら、複数の衛星で広い地域をカバーするものの2種類があります。
BS、CSなど固定地域放送へのサービスから始まったJCSATやSuperBirdなどの衛星から、NStar(エヌ・スター)やInmarsat(インマルサット)など海上通信から移動通信、Intelsat(インテルサット)やGrobalstar(グローバルスター)のように全世界をカバーする移動通信網を目指したものまで多くの衛星があります。
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日本上空の通信・放送衛星例
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BS,CS、NStarなどの多くの通信・放送衛星は、静止軌道上(地球から見た見かけ上の位置が変わらない軌道)に位置し、通信を行っています。
日本には、後述するGPSと同じような機能を持つ準天頂衛星、技術試験衛星VIII型(ETS-VIII「きく8号」:2006年12月18日打上げ)と超高速インターネット衛星(WINDS「きずな」:2008年2月23日打上げ予定)を将来インフラとしてIT社会に貢献する「i-Space利用実験計画」と呼んでいるプロジェクトが進められています。その中のETS-VIII、WINDSは、いずれも静止軌道上の衛星です。
ETS-VIIIは、東経146度の静止軌道上に位置し、衛星通信と同時に時刻精度の向上などの実験が実施されています。
時刻精度の向上については、GPS搭載の基準になる精度が求められ、原子時計が搭載されています。またそのサービスエリアはアジアのほとんどを含む広いものです。
通信では、他の衛星が大容量通信のためにKu帯を主体に利用しているのに対し、送受信(アップリンク/ダウンリンク)ともにS帯を利用しています。静止軌道にありながら移動体通信を目指したもので、同じ出力の場合にはS帯の方が降雨などの悪条件に強いというメリットを利用し、災害時の連絡に関する実験などを実施しています。
更に、衛星の形状はなるべく地上側の送受信機が小さくてすむように、今までにない大型アンテナが工夫されました。
また、広い領域を一度にカバーできるというメリットも併せ持っています。
携帯端末のように小さいハンドヘルド端末とアンテナ口径が大きい地球局とでは、通信範囲の広さも違ってきますが、ETS-VIIIではビームを集中させることによりハンドヘルド端末でも国内の広い範囲で通信できる仕様になっています。 |
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WINDSは東経143度に静止衛星とする予定で、Kuよりも更に高い周波数帯のKa帯を利用しており、1.2Gbpsという大容量の通信が可能です。アップリンクにも、Ka帯を利用するため、小型のVSAT(超小型地球局)の開発も進められています。
システムとしては、固定地域を結ぶアンテナと、アンテナを動かし中継域を変更することができる可変アンテナを持っています。また、Ka帯がより天候に左右されやすいことを考慮して、衛星本体側に降雨などの天候に対抗するために、ビーム出力を変更できるマルチポートアンプを搭載しています。
海外との通信回線は、海底ケーブルの増強が進められていますが、衛星回線はもしもの時でも自国の回線が利用できるというメリットを生み出します。 |

WINDSの通信ビーム例 |
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小型のVSAT(超小型地球局)って何だろう?と思われる方もいるかもしれません。一昔前であればKa帯を使う宇宙通信を使ったスパイ活動に使われたような、スーツケースにおさまりアンテナを広げると通信できるものなどを想像してみてください。あるいは、ライブ中継局のアンテナが車載規模よりずっと小さくなった場合を考えて下さい。受信のみでなく大容量の送信ができるのがこの超小型地球局です。Ka帯の送信も可能にするVSATの開発・特に小型化は技術的にも高度なものです。
衛星側のシステムも地上側のシステムにしても、海外品では様々な実用例がありますが、今回は国産システムとして様々な技術をあわせて提供していく衛星になる予定です。 |
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さて、インマルサット-P(Inmarsat-P)やグローバルスター( Grobalstar)は、前述した静止軌道の衛星と異なり、多くの中・低軌道衛星で運用されています。
中・低軌道の複数の衛星を使うシステムの場合、静止軌道である約36000kmに比較すると、ずっと低い1000km程度から10000km程度の高さで、地球に対し様々な角度で回る衛星を、複数利用します。
高度が低い衛星のメリットは、通信の遅れが減少することです。
例えば、静止衛星のシステムを使う場合、呼びかけをするのに約36000kmを往復し、返事を返すためにまた往復を要します。自分が声を発してから、相手の回答が帰ってくるまでに、他のシステムロスを含めなくても、往復約144000kmの通信のためだけに約0.48秒の遅れが生じます。通信の場合、この遅れが10分の1から100分の1となればより自然にやりとりができるメリットが出てきます。
しかし、この方法はカバー域を大きくするために、衛星がより沢山必要です。そのため、衛星の打ち上げ及び地球局設備導入と運営に莫大な費用がかかるため、事業がなかなか育たず、中断した例も多くあります。
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周回衛星システムの例 |
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周回衛星を複数、低軌道衛星を多数使うサービス
| 計画名 |
計画概要 |
計画当初の打ち上げ個数 |
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| ICO
(Inmarsat-P:インマルサット-P)システム |
高度約10,355km、軌道傾斜角45度の2つの軌道面に、各5機の衛星、及び予備各1機を配置。世界中に配置された12の基地局を使い、24時間地球のどこからでも通信可能。 |
12機 |
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| IRIDIUM(イリジウム)
システム |
高度約780kmの6つの極軌道面(軌道傾斜角86度)に各11機配置された衛星は、前後左右の衛星と衛星間リンクを通じて通信。 |
66機 |
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| ODYSSY(オデッセイ)システム |
高度約10,370km、軌道傾斜各56度の3つの円軌道面に、各4機の衛星を配置。 |
12機 |
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| GLOBALSTAR(グローバルスター)システム |
高度約1,414km、軌道傾斜角52度の8つの軌道面に、各6つの衛星、及び予備各1機を配置し、世界主要9地域をカバー。 |
48機
+8機(予備) |
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| ORBCOM(オーブコム)システム |
高度約785km、極軌道面に2機、軌道傾斜角45度の3つの軌道面には、各8機の衛星を配置し、全世界をカバーする移動帯通信サービスを実施する。 |
26機 |
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参考サイト
・科学技術政策研究所による「科学技術動向」2006年10月号
レポート3「通信放送システムの利用動向」へ(日本語)
・JAXAによるi-space計画の記述(日本語)
・JAXAによるETS-VIIIの記述(日本語)
・JAXAのETS-VIIIに関する実験(日本語)
・JAXAによるWINDSの記述(日本語)
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測位システムと通信の併用による利便性向上 |
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こうした、衛星のメリットを更に高めようというのが、GPSやGLONASSなどの測位システムとの組み合わせです。GPSシステムの活用は日本の携帯電話やカーナビゲーションには既に定着した利用方法です。
既に「世界の輸送システム事情」のNASAの「ロケット打ち上げ情報」の頁をご覧になると、毎年10〜20の通信衛星が打ち上げられていることがわかります。また、その中のほとんどが商業利用、中でも放送事業が主体ですが、通信やインターネット・電話のための回線確保のものも含まれています。
米国やロシアだけではなく、欧州・中国・インド・日本などのものもあります。
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一方、測位衛星では、米国のGPSシステムがコンスタントに追加や替えのための衛星が打ち上げられており、現在一番よく知られています。米国のGPS衛星は、毎年1,2機は補間や旧衛星との交代のために打ち上げられています。しかし、全体として測位衛星は、通信衛星に比較すると打ち上げ数はひかえめです。
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現在は、米国のGPSと同じように、海外でも同じような測位衛星の打ち上げ計画が進められています。
ロシアでは「グローナス/GLONASS」、欧州では「ガリレオ/Galileo」という衛星システムが位置計測サービスのために進められ、衛星が打ち上げられています。
また、実際の実用システム以外にも、位置測定技術向上のために各国が衛星を打ち上げています。 |
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気になる計画の進み具合ですが、ロシアのGLONASSは、既に多くの衛星が打ち上げられています。欧州のGalileoシステムでは、初号機GioveAが2005年、2号機GioveBは、2008年4月に打ち上げられました。全体計画としては、27機とスペア機が3機の合計30機の予定になっています。(右の図では小さいですが黄色い丸に青い羽のみえるひとつひとつが衛星)
一方、日本では「i-Space」計画の中の「準天頂衛星(QZSS)」があります。まだ打ち上げられてはいませんが、「準天頂衛星」は、複数の測位衛星から成るシステムとして考案されています。 |

欧州のGalileoシステムの例 |
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これは、日本で利用している米国のGPS衛星が山あいなどで視野が遮られてしまい、3機の電波を受信できない場合、より高い角度に見え電波を受信できる準天頂衛星を利用することで、より正確に場所が特定できるという試みです。現在日本付近の上空を手厚くサービスできるよう、少ない衛星数で特殊な軌道をとる計画がたてられています。先のETS-VIIIでの技術開発もフィードバック予定であり、日本でも自国の技術向上を着々と進めつつあります。 |
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参考サイト
・NASAのGPSの記述(英語)
・NASAが発信するロシアのGLONASSの記述(英語)
・ESAのGalileoシステムの記述(英語)
・JAXAの準天頂衛星の記述(日本語)
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主な測位システム(計画中含む) |
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衛星 |
GPS(GlobalHigh Energy Solar Spectrosocopic Imager) |
GLONASS(GLObal'naya Navigatsionnay Sputnikovaya Sistema) |
Galileo |
準天頂衛星
(QZSS : Quasi-Zenith Satellites System) |
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国 |
米国(NASA) |
ロシア |
欧州(ESA) |
日本(JAXA) |
| 概要 |
軌道傾斜角55度
60度ずつずれた軌道面で最終的には24個の衛星がカバーする予定
高度約26,600kmの中軌道 |
軌道傾斜角64.2-65.6度
120度ずつ離れた3軌道面に各衛星は45度ずつ離れて計24個の衛星配置
高度約19000km
約8日回帰軌道
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56度ずつずれた3つの円軌道面に27の衛星配備
高度約23,222kmの中軌道 |
高度は静止衛星高度近く
軌道傾斜角を45度程度傾ける予定
複数機を計画しているが、軌道検討中であり、上記も含め詳細はまだ決定していない。 |
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| 2006/11/9記・2008/1/22・2009/4/23改修 |