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月探査は新たな段階へ
近年の月探査計画
米ソ冷戦後の月探査計画を少しだけ振り返ってみます。月周回計画には、1998年1月から1999年7月まで米国の
ルナー・プロスペクタ−(Lunar Prospector)が月を周回・観測データを得たものの、ルナー・スペクトロメータは可視や赤外線などの画像観測機器を搭載しておらず、月面撮影画像は取得できませんでした。
ルナー・プロスペクター以前にも続いた月探査の空白期間を埋めたのは、ESAが2003年9月27日に打ち上げた
スマート−1(SMART-1)でした。
50mという高解像度の月面画像を取得し、最後は2006年9月3日月面クレータにその身を衝突させ、一生を終わりました。
そして、近年の月探査計画と言えば、2007年9月14日に打ち上げられた日本の月周回衛星
かぐや、2007年10月24日に打ち上げられた中国の
嫦娥(チャンゲ(日本ではじょうがとそのまま読んでいるものもあり))1号、2008年10月22日午前9時51分にインドの
チャンドラヤーン1号(Chandrayaan-1)の打ち上げが成功しました。また、2009年6月19日にNASAの
ルナ・リコネッサンス・オービターLunar Reconnaissance Orbiter(LRO) も打ち上げられました。ここに新たな月探査時代がやってきました。
なお、中国のチャンゲ1号は、中国政府から120m解像度の月面の初画像が公開されています。
日本の月周回衛星
かぐやは、2007年9月14日に打ち上げられ、観測を行った後に、2009年6月11日に月に衝突しその生涯を終えました。多くの成果として、打ち上げ前から話題になっていたハイビジョン画像や地形カメラ及びマルチバンドイメージャなどによる鮮明な画像が記録・配信されました。また、多くの解析も行われました。
さて、月面の画像といえば、かぐや以前の月の周回衛星から得られたもので、1990年打ち上げの
米国クレメンタインが撮影した月面の画像が広く出回っていました。しかし、現在では日本のかぐやの月の詳細な高度マップなどを中心に、新しく鮮明な月の姿がマップとして発表されています。
日本の月周回衛星
かぐやは、立体視を行うための
地形カメラが10m、光学系のマルチバンドイメーシャも可視光で20mの空間分解能を持っています。全球の約2kmの間隔で高度5mの観測精度で計測したレーザ高度計のデータも圧巻です。等高線1km単位に引かれた月の高度画像を是非ご覧下さい。格段に精度が上がっており、これらのデータを使えば、クレメンタインが作成した月面画像等を、そっくり置き換えることができると考えます。
この月面の高度データを見て特筆すべきは、南極付近の低い地域と高度の高い地域では
20km近くもの高低差があることです。かぐやでは、他にも重力異常や磁気異常の観測など、科学的な現象の観測精度も格段に良くなっています。また、
月面の洞穴入り口が撮影されていると推察される映像も公開されました。以前より月の表面の下には空洞がいくつか存在するのではないかという仮説が立てられていました。そうした仮説のある地表が少しもりあがっている痕跡が広い地域に存在するマリウスの丘近辺についての映像が公開されました。
<参考記事サイト>
□JAXAの紹介する月の地形図公開のニュース
□JAXAの紹介するかぐや画像ギャラリーのマリウス丘付近の画像
□JAXAの紹介するかぐや画像ギャラリー
<参考サイト>
□クレメンタインのNASAのサイト(英語)
□ルナー・プロスペクターのNASAのサイト(英語)
□スマート1のESAのサイト(英語)
□中国の月周回衛星チャンゲ1号のNASAの説明(英語)
□インドの月探査計画衛星チャンドラヤーン1号のインド宇宙機関の説明(英語)
□インドの月探査計画衛星チャンドラヤーン1号のNASAの説明(英語)
□ルナ・リコネッサンス・オービタのNASAのサイト(英語)
□JAXAのかぐやプロジェクトサイト(日本語)
2009年発−月面の水を掘り起こせ−
NASAの新たな月に対する探査計画は何とも大胆な内容でした。
NASAでは、前回つまり1998年1月〜1999年7月に行われたルナー・プロスペクタ−のミッションでは、目標としていた月の両極に存在が示唆されている氷(水の)発見に努めましたが、明確な痕跡を得られませんでした。そして、最後には月面にぶつけられ、その衝撃により月表面から出るかもしれない水酸基のイオンを計測するという方法がとられました。当時ははっきりとした痕跡を得ることができなかったため、今回は更にグレードアップした衝突の法がとられました。2009年6月11日に日本のかぐやも月に衝突・観測されていましたが、はっきりとした水の証拠が出ませんでした。また、それに先立ちチャンゲ1号も、2009年3月1日に月面に衝突させられており、その様子をかぐやが撮影しています。
NASAが2009年4月
Lunar Crater Observation and Sensing Satellite (LCROSS)は
、月の周回機の
ルナ・リコネッサンス・オービタLRO(Lunar
Reconnaissance Orbiter)が共に打ち上げられました。
Lunar Crater Observation and Sensing Satellite (LCROSS)は、
シェファールド宇宙機とセントールロケットの上段部から成り、ルナ・リコネッサンス・オービタとは6月に切り離されました。そして、2009年10月9日に、最も水の存在が期待されている極地域に、2段階で衝突させる計画がとられたのです。にセントールロケットの上段(約2000kg)がまきあげたプルーム(※)を、シェファールド宇宙機(約700kg)が観測した後、10分程度の時間差をおいてシェファールド宇宙機も、月面にぶつけられました。
衝突地域は、先に月周回をしているインドのチャンドラヤーン1号により水氷の痕跡を観測していた月南極域にある太陽光が永久にあたらない凍土部分であるクレーターCabeusであり、まず深い角度でセントールロケット上段部が衝突しました。なお、チャンドラヤーン1号も、2009年の8月には運用が終了しています。セントールロケット上段部は2009年10月9日(金)午後8時31分に衝突、同8時36分に先に衝突したガス塵を観測しながら今度は浅い角度で宇宙機の方が月面に衝突しています。。NASAのLCROSSの科学チームの2009年11月13日の報道によれば、この観測から、いずれも
水の存在を示すスペクトルを観測したとのこと。周回機のルナ・リコネッサンス・オービタ他の観測によるもので、水酸基(OH)の輝線スペクトルを観測しています。
※プルームとは、プレートテクトニクス理論などでは下降マントル対流や噴出する火の玉などにも使うようですが、ここでは吹き上げられるまたは噴出するガスや塵のことです。航空宇宙分野では大抵この意味で使われており、航空機やロケットの噴射ガスなどの残留物などもプルームと呼びます。広義には、密度が小さく上昇したり、密度が大きく沈殿するもののこと。
LCROSSと共に打ち上げられた月周回機
ルナ・リコネッサンス・オービタLRO(Lunar
Reconnaissance Orbiter)は、月上空100kmからの観測を始め、軌道高度を最終的には50kmまで落として観測を行っています。ミッション期間は1年ですが、現在延長中です。搭載カメラには60cmの高解像度の月面観測ができるものが含まれています。
このルナ・リコネッサンス・オービタは、LCROSS衝突前後のクレータの様子を撮影していましたが、月にいる他の軌道周回機などだけでなく、地球上空の軌道上にいるハッブルなどの宇宙望遠鏡、地上にいる天体関係者による観測などが行われました。2012年2月20日の報道によれば、未だに月の中心部が冷え続けていることによる断層の拡大が観測されています。
更に、2010年3月4日のNASA発表によると、チャンドラヤーン1号に搭載しているMini-SARの観測結果から、月には
約6億トンの水存在する可能性があるということです。
<参考記事サイト>
□NASA LCROSS月面衝突時のニュースへ(英語)
□NASA LSROSS月面水発見のニュースへ(英語)
□NASA LROが月中心部の冷却による収縮を観測(2012年2月20日)のニュースへ(英語)
□インドチャンドラヤーン1号搭載Mini-SARによる水発見のニュースへ(NASA:英語)
<参考サイト>
□LCROSSミッションのNASAのサイト(英語)