- ホーム
- 特集TOP
- 火星探査特集−続く火星探査レース−
火星探査特集−続く火星探査レース−
目次
ここ数年、火星に関する軌道上観測衛星や、火星上を探査するローバーなどが常駐するようになってきて、それまではっきりとはわからなかったことが、次々とあきらかになってきました。
火星は、太陽の惑星の中で地球のすぐ外側の軌道にあり、大きさは地球の約半分の直径(赤道面)、平均密度は地球の約70%と軽く、重力は地球のほぼ3分の1です。また、火星を回る衛星としてフォボスとダイモスが広く知られています。火星の一年は地球の約687日にあたります。
火星は、希薄な大気と零下40度以下の平均気温など、水星や金星とはまた別の意味での過酷な環境であることもわかっています。大気組成や気候、岩石組成も近年ではかなり詳しく計測されてきており、ごく微量の酸素があること、地球と比較すれば微量ながら水が水蒸気や氷として存在することなども明らかとなってきています。
火星は、硬い大地と大気のある地球型の惑星であることから、生命が生まれた可能性のある星として、これからも探査が進められてきています。
火星探査の歴史1 「1960年代からの火星探査レース」
旧ソ連と米国による火星探査の競争は、1960年代に既に始まっていました。旧ソ連では1960年にマーズニク1号2号(Marsnik-1,-2)、1962年にスプートニク22号(Sputnik-22)、マーズ1号(Mars-1)、スプートニク24号(Sputnik-24)など多くの火星探査ミッションが計画されましたが、残念ながら全て失敗しています。
米国ではマリナー3号(Mariner-3)の失敗の後、
1964年マリナー4号(Mariner-4)が始めて火星のフライバイ撮影に成功しました。また、同年打ち上げられた旧ソ連のゾンド2号(Zond-2)は失敗し、翌1965年ゾンド3号(Zond-3)で月の裏側の写真撮影に成功しましたが、火星ミッションは達成できませんでした。
1969年に打ち上げられた
米国のマリナー6号と7号(Mariner-6,7)が、4号に続き火星の接近撮影に成功し、火星表面の20%に達する写真撮影や、火星の大気の紫外線、赤外線、ラジオ波の放射計測にも成功しました。
同年のソ連の火星探査機2機の打ち上げ失敗後、1971年の米国マリナー8号と旧ソ連コスモス419(Cosmos-419)の失敗と続きます。しかし、1971年に
旧ソ連はマーズ2、3号(Mars-2,-3)の打ち上げを成功、予定していた着陸船での着陸後の撮影はできなかったものの、2機ともに火星の撮影を行いました。
一方、同1971年に打ち上げられた
米国マリナー9号(Mariner-9)は、火星周回軌道からの継続的な火星の撮影に成功しています。1973年に旧ソ連が連続して4機打ち上げたマーズ4,5,6,7号(Mars-4,-5,-6,-7)のうち
マーズ5号が、火星周回軌道から火星の大気と表面の構成、構造を計測するのに成功しました。
1975年に打ち上げられた
ヴァイキング1号と2号(Viking-1,-2)では、初めて着陸船から鮮明な画像を撮影することができ、地形、気温や気圧変化などの計測値を得ることができました。しかし、期待されていた「生命の存在する」或いは「存在した」根拠となるものを見つけることは出来ませんでした。
1979年の日露の冷戦の一応の終結をみた後、他の探査ミッションと同じく、長く火星の探査ミッションは中断されました。
再開されたのはアフガニスタン侵攻やイラン・イラク戦争が過ぎ、1989年の冷戦終結宣言が見えてきた、80年代後半になってからです。
1988年旧ソ連のフォボス1号と2号(Phobos-1,-2)が打ち上げられ、2号については予定通り飛行中の磁気や粒子計測を行い、火星と火星の衛星フォボスまで飛行し、データを取得しました。残念ながら、2号のフォボスへの着陸・探査には失敗してしまいました。
その後は、1992年打ち上げられた米国のマーズ・オブザーバー(MarsObserver)、1998年打ち上げのマーズ・クライメイト・オービター(MarsClimateOrbiter)、1999年打ち上げのマーズ・ポーラー・ランダー(MarsPolarLander)、ディープスペース(DeepSpace2(DS2))と続きますが、ロシアのマーズ96号(Mars96)も含めてこれら多くの試みは、失敗に終わりました。その中で見事な成功を収めたのが、1996年打ち上げられたマーズ・グローバルサーベイヤー(MarsGlobalSurveyor)とマーズ・パスファインダー(MarsPathfinder)です。
火星探査の年表(1/3)

<参考サイト>
□NASAが紹介しているマリナー4号(Mariner 4)の説明(英語)へ
□NASAが紹介しているマリナー6号(Mariner 6)の説明(英語)へ
□NASAが紹介しているマリナー7号(Mariner 7)の説明(英語)へ
□NASAが紹介しているマリナー9号(Mariner 9)の説明(英語)へ
□NASAが紹介しているバイキング1号(Viking 1)とバイキング2号(Viking-2)の説明(英語)へ
□NASAが紹介している旧ソ連のゾンド3号(Zond-3)の説明(英語)へ
□NASAが紹介している旧ソ連のマーズ2号(Mars-2)の説明(英語)へ
□NASAが紹介している旧ソ連のマーズ3号(Mars-3)の説明(英語)へ
□NASAが紹介している旧ソ連のマーズ5号(Mars-5)の説明(英語)へ
□NASAが紹介している旧ソ連フォボス1号(Phobos-1)とフォボス2号(Phobos-2)の説明(英語)へ
□NASAが紹介しているバイキング1号(Viking 1)とバイキング2号(Viking-2)の説明(英語)へ
ついに上空から火星に水を発見・・・
2008年2月、NASAの火星周回機
マーズ・リコネッサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter)からは火星の衝撃的な映像が届きました。
近年まで火星の希薄な大気に含まれる水や水蒸気からは、存在量については推測の域をでていなかった水の存在。火星の上空から撮影した映像には、火星の北極域とても
広い範囲で氷それも(二酸化炭素によるドライアイスではない)水の氷の存在が映し出され、その中には地球上と同じような
雪崩が映っていました。
既にNASAのマーズ・オデッセイ(Mars Odessey)やESAのマーズ・エクスプレス(Mars Express)などの火星周回機が氷を発見・撮影していたことからか、雪崩の映像は日本では大きなニュースとなりませんでした。しかし、マーズ・リコネッサンス・オービター撮影の雪煙のあがる映像がネットに配信された時には、多くの読者が驚いたことでしょう。
<参考記事サイト>
★マーズ・リコネッサンス・オービターの撮影した
雪崩のNASAサイト(英語)へ |
 |
その映像が示していたのは、北緯83.7度東経235.8度の地域の数kmにわたる広い氷の棚状の地形と、その高低差700m以上の坂を煙をあげてころがり落ちる氷。マーズ・リコネッサンス・オービターの搭載する
高解像度カメラ(HiRISE)によるものでした。同じ地域では、二酸化炭素の霜いわゆるドライアイスも含めて氷の増減の気候変動が観測されてきましたが、撮影された
2008年2月19日は、火星でも春にあたります。
マーズ・リコネッサンス・オービターには、高解像度カメラ(HiRISE)の他にもコンパクト・リコネッサンス・イメージング・スペクトロメータ
(CRISM)他の装置を搭載しています。これらから得られた画像の中には、古代の川が泥のような鉱物を運んでデルタを形成したと考えられる地形が見られます。この泥のような鉱物は
フィロジリケイト(phyllosilicate)と呼ばれていて、およそ38-46億年前に形成されたと予測されており、科学者達は大きく分けて、アルミニウムのフィロジリケイト、水酸化珪素またはオパールのフィロジリケイト、最も広域に見られる鉄かマグネシウムのフィロジリケイトと、約3種類に分けています。かつての水の存在や生命の存在を彷彿とさせるものとして、更に研究を進める火星上の新しい注目材料です。
また、ここ2,3年の間に、NASAのこの2機の衛星(マーズ・オデッセイとマーズ・リコネッサンス・オービタ)とESAの1機の衛星(マーズ・エクスプレス)は火星をくまなく探査しています。特に水と生物については焦点があたってきており、塩水が凍って表面上に見えるところを火星上でマップし、その中に低温生物が存在しうるかについて解明しようと試みています。 マーズ・オデッセイの把握した全球データから、更に高解像度での撮影地域を絞り込み、マーズ・リコネッサンス・オービタに搭載されている高解像度カメラで撮影するといった連携プレーも行われています。
<参考記事サイト>
★NASAのマーズ・リコネッサンス・オービターの2008年7月16日のニュース(英語)へ