彗星 観測
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はじめに
 太陽系には、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の惑星以外にも沢山の太陽を回る小さな惑星があります。特に火星から木星までの間にはこうした天体が集まっており、小惑星帯(Asteroid belt)と呼ばれるものがあります。
 最初にこの小惑星帯に達したのがパイオニア10号、そして続いて11号でが小惑星帯の側を通り過ぎました。この2機は、太陽系の惑星観測に於いて、人類が初めて見る多くの画像を地球に送り届けてくれました。同様に、更に遠くの天体に向かう途中に小惑星帯の近くを通過したものもあります。1991年10月に小惑星帯を通過し木星周辺の探査を進めたガリレオ(Galileo)、1997年10月に通過し現在も土星周辺の探査機として活躍しているカッシーニ(Cassini)、2006年に小惑星帯を通過し現在冥王星探査に向かう途中の探査機ニューホライズン(New Horizonz)などです。
  小惑星帯以外の場所にも、太陽を回る様々な小惑星が存在します。中には地球にとても近い距離にある小惑星もあります。
  また、小惑星の中には長い楕円を描いて太陽の周囲を回るため、近地点と遠地点の差が、非常に大きなものもあります。このような小惑星が太陽にとても近づく場合は、表面が太陽の熱で熱せられ活性化し、含まれている氷や塵などが気体となり、固体部分の核を包みます。太陽に照らされた気体は明るい光を放つと共に、太陽風にあおられ長い尾を描き、「彗星」と呼ばれます。
・脚光を浴びたハレー彗星観測機
・近年活躍した彗星および小惑星の探査
・近年・将来打上げの小惑星探査衛星
脚光を浴びたハレー彗星観測機
 彗星をターゲットとした、最も古いミッションの中に、ハレー(Halley)彗星観測を目的としたものがあります。ハレー彗星は、76年周期で地球に接近する彗星で、最も近い来訪は1985年から1986年にかけての冬でしたが、この時期、ハレー彗星観測に向かった6機の探査機はハレー艦隊と呼ばれました。
  これらの探査機の中には、金星探査で紹介したロシアの探査機ヴェガ1号と2号(Vega-1,Vega-2)も含まれています。ヴェガという名前も、もともとロシア語のベネラ(金星)とガレイ(ハレー)を併せた名前であり、金星探査を行い探査機を金星に降ろした後にハレー彗星観測に向かいました。ウェガ1号は、ハレー彗星から1万km、ヴェガ2号は8千kmまで接近しました。
 この時に最も近くまで接近した探査機は、ESAのジオット(Giotto)です。最接近の時はハレー彗星から500kmの距離まで迫り、搭載した狭角カメラ、3つの中性子・イオン、ダスト質量計測器、様々なダスト探知器、フォトポラリメータ、プラズマ実験装置などを使った計測を行いました。しかし、最接近の14秒前に塵が当たり、いくつかの機器が破損してしまうという事故に見舞われましたが、幸運にもその後姿勢も持ち直し、復帰後の1992年にはグリッグ・スキュレルプ(Grigg-Skjellerup)彗星の観測を行うことが出来ました。ジオットは、他に類を見ないこの2つの彗星への接近観測で、彗星の核の秘密に迫るデータを取得しました。
 NASAのアイス(ICE(International CometarySun-Earth Explorer))という探査機は、もともとはISEE-3(International Sun-Earth Explorer 3)とも呼ばれ、ラグランジェ点(※)観測を行うための3機の探査衛星のひとつとして1978年8月12日に打ち上げられました。ICEはその後、1985年11月にジャコビニ・ジンナー(Giacobini-Zinner)彗星を観測し、1986年3月にハレー彗星の観測も行いました。太陽風や地球磁気圏を調べるために、多くの機器を搭載しており、彗星観測でもプラズマやエネルギー粒子の観測データを取得しました。
※ 2天体以上の重力平衡が生じる場所。天体に比較して小さな質量のものをその場所に維持できる場所として有効活用化が期待されている。月と地球の重力平衡地点を呼ぶことも多いが、この場合は、太陽と地球の重力平衡地点(NASAの太陽と地球のラグランジェ点説明(英語)へ)
 ハレー彗星に関して、日本でも宇宙科学研究所(旧称)から、2つの衛星が上げられています。1985年1月8日打上げの「さきがけ(MS-15)」と同年8月19日打上げの「すいせい(Planet-A)」です。すいせいは距離15万km、さきがけは距離700万kmに接近し、太陽風イオン観測器、プラズマ波観測器、真空紫外撮像装置などの観測機器でデータを取得しました。
□ESAの小惑星及び彗星ミッションの概要(英語)へ
□NASAのアイス(ICE)の概要(英語)へ
□ESAのジオット(Giotto)についてNASAが紹介する概要(英語)へ
□ESAのジオット(Giotto)の概要(英語)へ
□JAXAのさきがけ(MS-15)の概要(日本語)へ
□JAXAのすいせい(Planet-A)の概要(日本語)へ
ハレー彗星観測を行った探査機の概要(クリックして拡大)
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近年活躍した彗星および小惑星の探査
 太陽観測のために1995年12月2日に打上げられたESA/NASA共同ミッションソーホー(SOHO(Solar and Heliospheric Observatory) )ですが、彗星に関し意外な成果をあげました。太陽観測の画像に多くの彗星がとらえられ、2005年8月5日には実に1000個目の彗星発見という記録を打ち立てました。
 NASAのシューメーカー(NEAR Shoemaker) は、1996年2月17日に打上げられ、1997年6月27日に小惑星マチルド(Mathilde) に接近、次に地球近傍の小惑星エロス(Eros) の観測へと向かいました。小惑星エロスは13x13x33kmのサイズの、地球近傍では2番目に大きい小惑星です。シューメーカは、ソフトウェアのトラブルから当初の計画より遅れたものの、2001年には小惑星エロスへ近接飛行、着陸までミッションを続けることができました。しかし、残念ながら、着陸後の交信ができず現在にいたっています。
 また、NASAのディープスペース1号(Deep Space 1)は、1998年10月24日に打上げられ、1999年の7月29日に地球近傍の小惑星ブライユ(Braille)へ接近しました。観測により、直径は最も長いところで2.2km、最短部分は1kmと見積もられ、スペクトルは、ヴェスタ(Vesta)という小惑星と似ていることがわかりました。ディープスペース1号は、沢山の観測装置の他にキセノンのイオンエンジンも搭載し、観測だけでなくイオンエンジンの技術的な実証も行いました。 2001年9月22日には、ボレリー(Borrelly)彗星に接近、彗星の先頭の気体に包まれている部分(coma)まで入り込み、彗星の核から2171kmの距離まで近づきました。
 NASAのスターダスト(Star Dast)は、1999年2月に打ち上げられ、2002年11月2日に小惑星アンネフランク(Annefrank)から3300kmに接近、2004年1月2日にはワイルド2(Wild 2)彗星に最接近し、その飛行中に数回にわたりサンプルを収集、画像を取得しました。ワイルド2彗星は、太陽系の新来者としてあまり知られていない彗星で、太陽系が出来た頃の物質で構成されていると期待されていました。2006年1月15日サンプルを取得したカプセルは、地球大気圏に突入、回収に成功しています。
  一方、同様に太陽系内の星間物質や彗星・小惑星のサンプルリターンを目指し、2001年7月3日に打上げられたNASAのコンター(CONTER(The Comet Nucleus Tour))は、残念ながら打ち上げ後地球軌道からの離脱ロケット噴射が正常に実行されず、失敗に終わっています。
 日本では、2003年5月9日に打上げられ、2005年12月9日小惑星イトカワに接近したはやぶさ(Muses-C)が話題となりました。はやぶさは、多くの困難を乗り越え、世界に先駆けて小惑星からサンプルを取得することに成功しました。サンプルが戻ってくるのはまだ少し先2010年6月のこととなりそうですが、吉報を信じます。(JAXAのはやぶさの特集ページへ)
 さて、NASAのディープインパクト(Deep Impact)は、2005年1月13日に打上げられ、テンペル1(Tempel1)彗星にを目指した宇宙船です。 2005年7月2日に搭載したインパクタをテンペル1彗星に衝突させ、宇宙船からの観測を行いました。ミッション自体は8月に終了しましたが、その後も解析は継続されています。
□NASA/ESA共同太陽観測ミッションソーホー(SOHO)1000個目の彗星発見の記事(英語)へ
□NASAのシューメーカー(NEAR Shoemaker)の撮影した小惑星(Mathilde)マチルドと小惑星エロス(EROS)の画像(英語)へ
□NASAのシューメーカー(NEAR Shoemaker)の記述(英語)へ
□NASAのディープスペース(Deep Space 1)の記述(英語)へ
□NASAのスターダスト(Star Dast)の記述(英語)へ
□NASAのコンター(CONTER)の記述(英語)へ
□JAXAのはやぶさ(Muses-C)の記述(日本語)へ
□NASAのディープインパクト(Deep Impact)によるテンペル1(Tempel1)彗星の観測成果(英語)へ
19990年代以降の小惑星及び彗星の探査機概要(クリックして拡大)
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近年・将来打上げの小惑星探査衛星
 欧州ESAのロゼッタ(Rosetta)は、2004年3月2日に打ち上げられたチュリュモフ・ゲラシメンコ(Churyumov- Gerasimenko)彗星を目指した宇宙船です。 地球と火星の重力を利用し、2008年9月には小惑星帯まで飛行した後、2014年3月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の接近遭遇、そして11月には着陸機を降ろす予定になっています。
 現在まで伝えられている主な経過として、最初の地球のスウィングバイが2005年3月4日、火星のスウィングバイが2007年2月25日、2回目の地球のスウィングバイが2007年の11月13日に実施されました。また、2009年11月13日には3回目最後の地球スウィングバイを行う予定です。また、2回目の地球スウィングバイでは、月の観測とヨーロッパの夜景を撮影するのに成功しています。
 この地球スウィングバイの後に休眠状態のモードになっていたロゼッタですが、2008年7月始めに休眠状態のモードからさめ、9月6日午前3時58分小惑星シュテインスに最接近しました。小惑星シュテインスは、ケイ酸塩と玄武岩を主な構成としていますが、詳細な特性は明らかにされていません。最接近時は上空800kmまで迫り、観測が行われ、ダイアモンド型の全景が映し出されました。また、9月10日にかけて観測継続中で、数週間にわたる解析後に様々な結果が明らかにさました。
 また、3回目の2009年11月13日の地球スウィングバイの後、2010年6月10日に、小惑星ルテティアに接近しています。
 NASAのダウン(Dawn)は、火星と木星の間を回る最も古く最も質量のあるといわれている小惑星セレス(Ceres)ヴェスタ(Vesta)の探査を行うため、2007年9月27日に打ち上げられました。
 セレスとヴェスタは、私達の太陽系が形成された歴史の上でも初期の46億年以上前の太陽系で、異なった状況で進化したと考えられています。
  地上や地球を周回する衛星の望遠鏡からの観測で、セレスやヴェスタについての概要がわかってきています。
  ヴェスタは南極にとても大きなクレータを持つ岩がちな地形で、初期に熱く活動的な星として進化し、その内部は融かされ表面は乾いているようです。初期の溶岩が固まった玄武岩が表面を覆っています。5時間20分ほどの自転周期で、大きさもほんの500km前後の楕円体であるにかかわらず、デブリの衝突でえぐられたと考えられている大きさ460km・深さ13kmもの大きなクレーターがあります。この衝突時にはヴェスタの質量の1パーセントにあたるものが、沢山の破片となり宇宙に放り出されたと予測されています。ドイツで発見された10cmほどの隕石のひとつが、このヴェスタの外殻と報じられ保管されています。  
 一方、セレスですが、存在した水がその星を冷たく保ったと考えられ、その外側を覆う塵などの下には、今も水が豊富に存在していることが期待されています。ヴェスタが進化・変化している一方、セレスは基本的な状態で残っていると予想されています。観測によれば、サイズは900km強の回転楕円体で自転周期は9時間45分、中心にいくに従って重く表面に行くに従って軽い鉱物で形成されていることがわかっています。
  天文学者達は、凍った状態であるものの、セレスの25パーセントもの水があるかもしれないと期待しています。
  NASAはダウンによるこの2つの惑星の観測で、太陽系の構成と発展について、新しい観点を得ようとしています。  
 この探査機ダウンは、NASAのディープスペース1号のミッションにより成功をおさめた技術であるイオン推進を実用化して使っています。搭載センサも可視カメラ以外に赤外線マッピングスペクトロメータやガンマ線中性子スペクトロメータなどを積んでいます。ダウンは、2009年2月に火星の重力アシストを受けた後、ヴェスタへの接近は2011年の8月セレスへの接近は2015年2月に予定されています。基本ミッション終了が2015年7月の予定で10年近い運用が考えられています。
 これから打上げや計画進行が予定されている探査衛星もあります。米国の民間企業が小惑星帯まで達するミッションとして計画している、将来計画NEAP(Near Earth Asteroid Prospector)は、2009-2011年に打上げ予定となっています。
□ESAのロゼッタ(Rosetta)の記述(英語)へ
□ESAのロゼッタ(Rosetta)の小惑星シュテインスへ接近予定記述(英語)へ
□ESAのロゼッタ(Rosetta)の2009年11月13日最後の地球スウィングバイへの記述(英語)へ
□NASAのダウン(Dawn)に関するサイト(英語)へ
□NASAのNEAP(Near Earth Asteroid Prospector)に関する記述(英語)へ
進行中の小惑星及び彗星の探査機概要
Rosetta,Dawn,ロゼッタ,ダウン
2007/6/13記・2007/7/9・2008/8/6・9/9・2009/10/22・2010/6/16改定・追記
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