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大気環境

大気環境

大気微量成分の観測

気象観測衛星などで長年収集されている水蒸気など以外に、大気に含まれる微量なガス(オゾンや水蒸気、二酸化炭素をはじめ、メタン、二酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン、エアロゾルなど多数)が、気候変動に関わっていると着目されています。今日では環境衛星を中心に、こうした大気微量成分の観測データが集められています。大気微量成分は、気候変動に重要な要素でありながら、過去、観測データがあまり広く普及しておらず、1990年代から徐々に実用でとりあげられるようになってきたと感じます。この中の水蒸気については、気象観測衛星で90年代以前の早くから取得されており、気象観測の中でも降雨・降雪など水に関わる部分なので「水・雪氷」で少し触れます。

大気微量成分の中でも、「地球温暖化」に関連が深く、人類活動に由来する割合が高いと思われる下記表の計測項目は、国連気候変動枠組条約締結国会議(COP)でも1990年代後半から取り上げられています。こうした微量ガスの衛星計測データの利用は、今日では一般化されています。

温室効果ガス名 主に生成源と考えられている原因
二酸化炭素
(CO2)
・生物の呼吸、バクテリア類の物質の分解作用から発生
・石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料消費から発生
・建設機械稼働、自動車・船舶・飛行機等の運行、発電所、工場での燃料の燃焼 等大気中の二酸化炭素は、植物が行う光合成や海により吸収される。
メタン(CH4) ・石油、石炭、天然ガスなどの発掘
・水田、湖沼、海洋などから発生
・燃料料の燃焼廃棄物処分場、下水処理場 等 シベリアの森林地帯タイガの樹木を伐採すると凍土の融解により地中の氷中に閉じ込められていたメタンが大量に発生するとも言われる。大気中のメタンは、水酸基OHとの反応で吸収される。
一酸化二窒素(N2O) ・燃料の燃焼、自動車・船舶・飛行機等の運行、廃棄物処分場、下水処理場
ハイドロオフルオロカーボン(HFC) ・工業製品の洗浄、発泡剤製造等の利用など
パーフルオロカーボン(PFC) ・半導体工業、アルミニウム工業等に利用するフロンの代替物質
・工業生産の過程で副産物 大気中での寿命が長く、数千年と推定される非常に強力な温室効果ガス。
六フッ化硫黄(SF6) ・半導体工業、軽金属工業等の利用など

また、この6種類の温室効果ガスの他に、化学反応により温室効果の増減に関連する物質として、表に含まれる以外の窒素酸化物、フロン、二酸化硫黄、エアロゾルなどがあります。
温室効果ガスによる気温への影響の算出が行われていますが、それぞれ同じ量での気温増減への割合が異なるために、IPCCにより算出時の係数(いわゆる重み係数)が規定されています。こうした割合を考慮した算出を行った結果、1995年のIPCC資料によると、1980年~1990年の二酸化炭素が60%、メタンが15%、亜酸化窒素が6%、フロン11と12の合計が17%の割合で温暖化に影響を与えていることが報告されています。

さて、これらの微量成分を計測している近年のセンサは、オーラ(Aura)衛星、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)などに搭載されています。Terra衛星/Aqua衛星に搭載されているMODISでも、エアロゾルについては、把握されています。

一般に大気微量成分観測は、地球からの赤外放射(2μm-程度)を、各成分が吸収しやすいという特質を利用して行われます。GOSAT衛星(2009年~)の温室効果ガスセンサは地球から放射される赤外線スペクトルを各スペクトルに分解するフーリエ分光計の方式です。 Aqua衛星(2002年~)に搭載されているAIRSやAMSU-A、Aura衛星(2004年~)に搭載されているセンサは、こうした温室効果ガスなどを含む微量ガス成分を計測しています。また、同じ衛星に搭載されるセンサは、互いに重複する成分を計測し、補正を行うことができる仕組みとなっています。2014年打ち上げが予定されているOCO-2も大気観測を行います。レーザレーダーやミリ波レーダーを用いて大気計測を行う方法もあり、2015年に打ち上げられるEarthCare衛星にはATLID(Atomospheric Lidar)が搭載予定です。

大気汚染

大気環境観測は、気象に大きく影響を与えるものだけでなく、呼吸器系の病気が増えるなど人体・生命に有害となるガスの濃度に関する情報を集めることができます。地上ではよく窒素酸化物や炭化水素などから成る酸化性物質を総称するオキシダント濃度などが目安とされています。二酸化窒素、硫黄酸化化合物などを計測すると分布傾向の関連が深いため、衛星ではこれらを中心に計測しています。低減傾向にある先進国でも都市部、近年汚染拡大が危惧されている中国やインドの都市部地域の濃度が高いことがわかります。

オゾンホール

大気中のオゾン層は、生命の存続及び進化に影響が大きいとされる紫外線(主にUV-BとUV-C)を遮蔽する役割を担っています。このオゾンが部分的に減少し、地上に到達する紫外線が強くなる「オゾンホール」のモニタリングが、1970年代から進められています。米国のNimbus-7衛星に搭載されたHIRS、Nimbus-7衛星に搭載されたSBUV、様々な衛星に搭載されたTOMS、Aura衛星のOMIが、継続した観測を実施、成果が公開されています。欧州の気象観測衛星GOMEにも搭載されています。地上高度10km-50kmの大気中に存在するオソン量はドブソンユニット(DU)という大気微量成分ならではの単位で公開されています。ドブソンユニットは、計測された気柱内の要素を、0°Cの地表に集めた場合の厚さ(1mmだとしたら100DU)となる単位です。オゾンの減少の原因は、人類起源であるフロン類ガス(CFC)の排出の増大が挙げられています。

近年は、南半球地域のオゾンホール回復や北極域での出現など、変則的なオゾン分布が計測される場合も見られます。

オゾン濃度

二酸化炭素濃度

二酸化炭素は、地球温暖化における温室効果の強いガスとして、最も影響が大きいとされています。二酸化炭素の濃度上昇とメタン濃度上昇について、2013年9月にESAでも報道されています。この報道では欧州のENVISAT衛星の他に日本のいぶき(GOSAT)のTANSOセンサのデータが使われています。

二酸化炭素濃度上昇

メタン濃度

メタンも、地球温暖化における温室効果の強いガスとして、二酸化炭素に次いで強い影響力があるとされています。日本のいぶき(GOSAT)では、全球のメタン収支を定量的に推定したデータが発表されています。

メタン濃度上昇

硫黄酸化化合物

硫黄酸化化合物は、自動車や工場の排煙などの大気汚染として出されるものもありますが、火山性の排出物の割合が大変多く、二酸化硫黄などの観測が実施されています。TOMS、AIRS、OMI、OMPSといったセンサで計測されてきました。噴火によるデータがNASAのゴダード宇宙センターにカタログ化されています。近年は、Aura衛星に搭載されているOMIセンサで、インド・中国から多くの排出が検知されています。

二酸化窒素

二酸化窒素は、車両や工場の排ガスなど大気汚染の主な原因として観測が行われています。Aura衛星に搭載されているOMIでの計測データが公開されています。