光学衛星のトレンド

光学衛星のトレンンド

 多波長化に向かうセンサ

 かつての観測衛星は寿命5年と言われ、何等かのトラブルでもっと短命に終わるものも少なくありませんでした。
 しかしながら、今日では、多くの地球観測衛星が10年を超す観測に耐えるようになってきました。
 光学衛星について、「良く見る衛星画像(良く目にする衛星画像の簡単な解説です)」で、今まで赤、緑、青、近赤外、中間赤外、熱赤外などの大雑把な紹介を行っています。現在ではこうした衛星画像を撮影する衛星と併行して、それぞれの波長に対し、よりはっきりと敏感にとらえることのできる特性を持っている衛星も存在しています。植物や鉱物を観測対象として、特定の波長の特性をよくとらえられるように、観測波長域を狭く分け特定の波長の感度を上げる、多波長化が進められています。
 日本に於いて比較的昔から進められた先進的な事例に、Terra衛星に搭載されているASTERセンサがあります。ASTERは、鉱物資源にとくに感度の高いといわれる中間赤外の波長を多く持っています。表面に露出している鉱物の特性を把握することができる他、別なセンサの特性と組み合わせることにより、地層の状態を把握、石油他資源などの把握に役立てられてきました。
 ASTERは、すでに10年以上継続的に働いていることから、後継機の開発が進められています。
 今後計画されているALOS-3衛星に搭載予定のセンサは、ASTERに代わる次世代のセンサとして、更に進んだ型の多波長センサとマルチスペクトルセンサになるなどとなっています。

 実用化へと進みはじめる多波長のセンサ開発

 ASTERと同様に、MODISというセンサも、長期間活躍しています。Terra衛星およびAqua衛星に搭載されており、地上分解能などが低いながらも、植物やプランクトンなどにターゲットをあて、青や緑、黄緑、近赤外にも波長を増やし、中間赤外・熱赤外を利用すれば実に36もの波長帯で地球を観測してきた優れものです。衛星画像データを大気・海洋・陸域の多くの分野に活用していくには、調査したいものの特性に焦点をあてた多くの波長が必要とされてきているのです。陸域に特定した場合でも、鉱物特性や植物による特性の違いをより詳細に把握していくことを目的として、多くの波長帯で観測することが進められています。
 多波長の衛星画像データには、米国EO-1衛星に搭載されているHYPERIONセンサや、欧州のCHRISセンサを挙げることができます。これらは、地上分解能は30m程度とまだ粗いものの、Landsatなどの他のセンサが数十nmと比較的広い幅を持った帯域で観測しているのに比較し、10nm単位の特定の波長域で可視から赤外域にわたる計測を行っています。日本、ドイツ、イタリア、韓国などもこうしたハイパースペクトルセンサの開発を進めようとしています。

 高解像度マルチスペクトルセンサも多波長化、小型化へ

 高解像度のマルチスペクトル衛星についても多波長化の波は押し寄せています。すでに紹介している米国のWorld View-2衛星では、従来の波長以外に、レッド・エッジ、コースタル・バンド、イエローといった波長が増えています。
 これらの波長は、特に、様々な植物への適応の他、海環境把握などにより高感度であることに着目した設定となっています。
 他にも光学マルチスペクトルセンサでは高解像度・多波長化が進められています。また、高解像度衛星になるとカバーする範囲が狭いということもあり、複数機での撮影体制が当たり前になってきました。欧州ではセンチネル(Sentinel)シリーズ衛星、スポット(SPOT)衛星後継機、2機のプレアデス(Pleiades)衛星、米国ではGeoEye-2およびWorldView-3の計画が進められています。WorldView-3では、中間赤外域が更に増やされた仕様となっています。

 さて、もうひとつの技術開発の波として、10数年前から英国のサリー大学を中心として実現化が押し進められてきた小型衛星プロジェクトがあります。それまで、観測衛星と言えば、長寿命を保証し、多くのセンサを搭載、それらセンサは互いの補正を行うという観点から重なった波長域も持ち、データ補正の品質を左右する位置精度を上げるといった様々な制約から、大型化に向かっていました。しかし、一方で時代と共に技術は向上、センサの性能も安定し、センサを維持する衛星本体の機器とセンサ部品も軽量化が進みました。近年になって、衛星の機動性・駆動性・位置決定精度に加え、地上側の対応としても基本データセット作成に関する信頼度などがまだ広範には確かめられていないものの、低価格で沢山打ち上げができる小型衛星に搭載される地球観測センサが増えてきています。ラピッド・アイ衛星コスモ・スカイメッド衛星もそのうちに含まれています。ドイツ、イタリア、トルコ、アフリカ、インドネシア他多くの国が地球観測衛星として、小型衛星を利用あるいは開発を検討しています。 日本では東京大学中心で研究開発されたPRISM(ALOS衛星搭載のPRISMセンサとは別物です)衛星がひとつの潮流を作っています。