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学習帳9_B:SARの画像(SARデータ利用に進む前に)

学習帳9_B:SARの画像(SARデータ利用に進む前に)

3. SARデータ利用に進む前に 3.1 SARデータの波長の違い

衛星によって、SARに使っている波長帯は異なっています。現在SARに多く使われている波長はX帯、C帯、L帯と言われるものです。どの衛星が利用している波長なのかについて、表に示します。

表3.1-1 よく使われるSARの周波数
周波数 X帯:8.0-12GHz C帯:4.0-8.0GHz L帯:1.0-2.0GHz
対応波長 25-37.5mm 37.5-75mm 150-300mm
対応衛星/センサ TerraSAR-X(独)
Tandem-X(独)
COSMO-SkyMed(伊)
ENVISAT/ATSR(欧)
RADARSAT-1,2(加)
KOMPSAT-5/COSI(韓)
RAISAT-1(印)
Sentinel 1A(欧)
ALOS/PALSAR(日)
ALOS2/PALSAR2(日)

利用する波長帯により何か違いがあるのでしょうか。実は、見たいものに対するスケールやサイズによって、どの波長のSARを使うかを選択することは重要です。SARによる観測は後方散乱という、物体に照射された電波が照射元の衛星に戻ってくる信号を利用しています。この後方散乱の強さは、物体の大きさだけではなく、材質や表面のなめらかさによっても左右されます。

2章の様々な画像で確認したように、穏やかな水面、なめらかで一様の面があれば、マイクロ波は鏡のように衛星と反対方向側に跳ね返ってしまい(鏡面反射)、後方散乱として衛星側に返ってくる信号はほとんど無く黒く映ります。湖や水面が暗く見えるのはこのためです。
草原などあまり高さがない場合でも、表面が一様でなければ散乱して衛星方向に戻る信号は、様々な強弱がついて画像とした場合にもわかります。このように信号に対するざらつきを粗さ(ラフネス)と呼んでいます。

SARの観測波長は、観測したい物体より長ければマイクロ波が対象物を回り込むことで透過できるため、散乱の質も異なってきます。観測したい物体より短い波長の場合は、その表面で全て散乱してしまうため、比較的明るい画像となります。物体よりも長い波長の場合は非常に複雑な散乱データが返ってきますし、単純な強度では暗い画像になってしまいます。そのため、対象物の分解能は波長と対応しています。

表面の違いを見る場合は、物体が小さい時には短い波長の方がデータを得やすいのです。たとえばなだらかな芝のグラウンドの場合、Lバンドでは、撮影されたなだらかな芝のグラウンドが同じように暗く映っても、CバンドSARでは芝生の生えそろったグラウンドが画像でうっすらとざらつきとして確認できることがあります。
X帯を3cm、C帯を5cm、L帯を24cmとすると、小さな違いを見る場合にはX,C帯を、一方森林や丈の高い植物の複雑な変動を見たい場合には、L帯が適していると言えます。

例えば、海上のさざ波などで海流方向などを見る場合は、短い波長であるC帯やX帯が使われます。潮目などもこちらの波長の方が良いでしょう。一方、海上からのデータをできるだけ無視し(低い値に抑える)、船の有無や植生のある陸地などを見る場合にはL帯が有利です。

3. SARデータ利用に進む前に 3.2 SARデータのレベルについて

SAR画像を実際に利用する場合、多くが上記のような画像になったデータを利用します。データダウンロードや購入の場合に、馴染みのないこれらの処理レベルを選ぶことが一番の厄介事になるかもしれません。
まだ説明していない僅かな地表面の高低やずれなどを計測するインタフェロメトリ処理を行う用途でなければ、ほとんどの場合マルチ・ルック・インテンシティ(MLI)のデータを選択することになります。表で説明するように、地表面形状にあわせたデータで、近年は更に地形による倒れこみを補正したデータを指定できる衛星データもあります。
各衛星毎にMLIデータの呼び名が異なります。対応するものも表にしてありますので、参考とされると良いでしょう。

表3.1-1 データの種類
データの種類 内容
RAWデータ
(生データ)
受信信号。基本的な補正が加えられていないので、特殊用途向け。
SLCデータ
(Single Look Complex)
基本的なレンジ圧縮、アジマス圧縮後のデータ。 後方散乱係数の画像変換に使える。 レーダ照射(スラントレンジ)側と衛星進行方向(アジマス)側への分解能が同じではないため画像の縦横比が実際の地表面比と違ってしまう。 位相データを含み、インタフェロメトリ画像処理に利用できる。
MLIデータ
(Multi Look Intensity)
基本的なレンジ圧縮、アジマス圧縮後、センサの縦横の分解能にはこだわらず実際の地表面の形状にあわせた画像。 地形による倒れこみは未補正。 後方散乱係数の画像変換に使える。 位相データは含まないため、インタフェロメトリ画像処理には利用できない。 画像の一辺が衛星の進行方向に並行するようにした画像を「ジオリファレンス画像」、南北方向と同じ方向にした画像を「ジオコーデッドデータ」とする。
表3.1-2 データの処理レベル名
衛星名/センサ名 SLCデータの 処理レベル名 MLIデータの 処理レベル名 波長 補足 年代、最高分解能
ERS-1/SAR SLC PLI C 1991-1999/30m
ERS-2/SAR SLC PLI C 1995-2011/30m
JERS-1/SAR - L2.1 L 1992-1998/18m
RADARSAT-1
参考 ESAサイトへ
SLC SGF,SGX,SSG,SPG C 1995-/8m
ENVISAT/ASAR SLC PRI/GEC C 2007-/30m
ALOS/PALSAR L1.1 L1.5R,L1.5G L 2006-2011/7m
RADARSAT-2
参考 ESAサイトへ
SLC SGF,SGX,SSG,SPG C 2007-/3m
TerraSAR-X SSC MGD/GEC X 2007-/1m
COSMO-SkyMed
参考 ESAサイトへ
Level 1A/SCS Level 1B/DGM
Level 1C/GEC
X 2007-/1m
ALOS-2/PALSAR-2
参考 JAXAサイトへ
L1.1 L1.5以上
オルソ補正データは2.1
L 2014-/3m
Sentinel-1/SAR
参考 ESAサイトへ
Level 0 Level 1 C 2014-/5m