SEDのTopへ  |  事業概要  |  サイトマップ  |  お問い合わせへ

  1. ホーム
  2. ガイダンスと学習
  3. 衛星学習帳
  4. 学習帳9_A:SARの画像(光学とは見え方が違うSARの画像例)
学習帳9_A:SARの画像(光学とは見え方が違うSARの画像例)

学習帳9_A:SARの画像(光学とは見え方が違うSARの画像例)

2.光学とは見え方が違うSARの画像例 2.1 レオナルド・ダビンチ空港

実際の画像を例にしてみましょう。画像はCosmoSkyMed衛星のXバンドSARが、ローマのレオナルド・ダビンチ空港の周辺を撮影したものです。2008年9月18日に1m分解能(スポットライトモード)で撮影されたものを加工しています。
六角形のトライアーノ湖、右下方のティベレ川などの水面が暗く見えています。
湖の東~北東一帯が畑、北西の一角が牧草地、湖周辺は疎林になっています。

レオナルド・ダビンチ空港周辺
図2.1-1 レオナルド・ダビンチ空港周辺(縮小)

A.水面: トライアーノ湖、ティベレ川などの静かな水面は、暗く映ります。
B.滑走路: なめらかな表面は、水と同じように鏡面のよう黒っぽく見えます。誘導路エプロンなども同じです。周囲はでこぼこしていたり植生があるので白っぽく見えます。
C.畑: トライアーノ湖の東~北東一帯は畑が広がっています。成長の度合いや植物の種類によっても違います。

レオナルド・ダビンチ空港周辺
図2.1-2 レオナルド・ダビンチ空港周辺(拡大)

D.牧草地: トライアーノ湖の北西の一角は、短い牧草が茂っているようです。畑とそれほど見た目はかわりません。
E.疎林: トライアーノ湖の回りには疎林が広がっています。畑や牧草地とは違ったように映っています。
F.大きな建物: 建物らしい形がわかります。形状の違いもはっきり映ります。
G.大きな道路: 大きな道路がどのように通っているかはっきりわかります。

レオナルド・ダビンチ空港周辺
図2.1-2 レオナルド・ダビンチ空港周辺(拡大)

H.駐車場: 空港の一角にある車の入った大きな駐車場のようです。
I.密な宅地: 住宅が密集しているようです。

レオナルド・ダビンチ空港周辺
図2.1-3 レオナルド・ダビンチ空港周辺(拡大)

 

2.SARの画像例 2.2 山脈・谷・ダム・小都市のある画像

SAR(レーダー画像)は天候に左右されず一定時期に撮影できるため、とても便利です。しかし、配布されている画像がそのまま使えるかどうかについては、少し注意が必要です。 変だなと感じやすい部分について、先に解説しておきます。
◆対象物ごとのSAR画像の写り方について光学センサと比較しながら順に紹介します。

(1)山
(2)山と谷
(3)都市
(4)海

2.SARの画像例 2.2 山脈・谷・ダム・小都市のある画像 (1) 山

撮影日は異なりますが、同じ富士山周辺の画像を撮影した光学画像(ランドサット8号衛星OLI画像)とSAR画像(だいち2号衛星PALSAR-2画像)を比較してみます。分解能も少し異なりますが同じ縮尺にして比較してみます。

富士山周辺の場合
図2.2-1 ほぼ同じ範囲の光学画像とSAR画像

レーダー画像では山岳地では、センサ(ビーム発射方向、衛星)に近い(高い)地形が倒れこみ、遠い側の斜面は長く見えます。そのため、山頂が本来の位置よりセンサに近い位置(図2では右側)に映ります。

地形による倒れこみ
図2.2-2 衛星方向(ビーム照射方向)への倒れこみ

山頂付近を比較してみると分かる通り、ALOS-2の画像(下)では右やや上側からビームが照射されています。ほぼ真下の撮影をしているランドサット衛星の画像(上)より、右側やや上に倒れているのがわかります。 なだらかな右側斜面が短く、左斜面が長くなっています。
地形の倒れこみデータについては、近年では補正データを利用することもできます。


図2.2-3 地形による衛星方向への倒れこみ図解

これらを、専門的な言い方でフォアショートニング(本来の位置より手前に短い画像となる)と呼びます。建物など人工物の場合に多いのですが、レイオーバー(完全にかぶさってしまい本来手前にあるものと信号重複してしまう)、レーダーシャドウ(高いものなどの後ろに隠れてマイクロ波があたらず信号が返ってこない部分)といった現象が見られる場合もあります。

2.SARの画像例 2.2 山脈・谷・ダム・小都市のある画像 (2) 山と谷


図2.2-4 山と谷の見え方図解

ビーム照射側の斜面が最も明るくなります。ALOS-2の画像(下)でも山の中腹が強く反射し白く見えるのがわかります。富士山の山腹も明るく見えています。山中湖に流れ込む川の堆積した土地に町が広がります。


図2.2-5 光学画像とSAR画像の山腹の見え方の違い

2.SARの画像例 2.2 山脈・谷・ダム・小都市のある画像 (3) 都市


図2.3-1 人工物の衛星方向(ビーム照射方向)への倒れこみ


図2.3-2 人工物の衛星方向への倒れこみ図解

地表面はビルや鉄塔など高さが違うものも存在しています。高い建物の方が衛星から距離が近いため、戻ってくる信号も早くなります。そのため、衛星からの距離が同じ地表の信号と混ざってしまい、衛星側に倒れこんだような画像として映ります。東京のランドマークである東京スカイツリーではどのように見えるでしょうか。スカイツリーのように高い建物は、高い部分で跳ね返るビームと地表のデータがかぶさってしまうレイオーバー(完全にかぶさってしまい本来手前にあるものと信号が重複してしまう)の現象となっています。

ランドサット衛星の画像(上)では建物らしき姿と左上に伸びる影が見えているのに対し、ALOS-2の画像(下)では、右やや上からのビーム照射方向に手前に倒れてしまっている姿がわかります。

東京スカイツリーはメッシュ構造となっていて裏側も散乱しやすいために、この画像ではレーダーシャドウ(高いものなどの後ろに隠れてマイクロ波があたらず信号が返ってこない部分)はわずかに見えるだけのようです。

こうした建物などの倒れこみについては現状では簡単に補正することはできない状況です。

2.SARの画像例 2.2 山脈・谷・ダム・小都市のある画像 (4) 海

海洋に浮かぶ人工物はどのように見えるのでしょうか。この光学画像(上)とSAR画像(下)の2枚は同じ日に撮影されたものですが、3時間以上の撮影時間のずれがあるため、動いている船の中には同じものは映っていないようです。SAR画像には、海岸付近に海中の養殖筏のようなものがはっきり見えています。また、道路の桟橋は、高い立体構造となっているためか右上のビーム方向に人工物の映り込みがあります。


図2.4-1 海洋の人工物(東京湾アクアライン周辺)

止まっている船が、実際には一艘であるのに二艘の機影に見える場合があります。レーダーが対象物に対しのオフナディア角が大きい場合に起こりやすい現象で、海面にあたったレーダーが船体に反射し、機影として認識されることがあります。2重に映る場合はレーダー照射側の機影が実像になります。このSAR画像は、オフナディア角35度、午後1時56分頃の撮影で、止まっている船が2重に映るところは確認できません。桟橋のレーダーシャドウも確認できません。

では動いている船はどうでしょう。光学画像では動いている船は航跡がはっきり写りますからどの方向に進んでいるかは明瞭です。しかし速さはわかりません。
SAR画像は一般には動いている船が苦手です。SAR画像は数秒から10秒ほどの長い時間のデータから画像を合成したものなので、普通に処理をすると動いている船はぼやけた像になり、位置も正しい位置からずれたものとなってしまいます。像のぼやけ方から逆に船の動く向きや速さ、そして正しい位置を推定する技術も開発されていますが、これはかなり特殊なSARの使い方と言えるでしょう。