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学習帳8:地球観測の多波長化

学習帳8:地球観測の多波長化

地球観測衛星の可視・赤外光による地表の撮影は、光の波長を青、緑、赤、近赤外などの少数のバンドに分けて行われて来ました。地表の状態をもっと詳しく調べるために、最近では光の波長をより細かく分けて観測することが試みられています。ここでは、そのいくつかの試みを紹介します。

高解像度マルチスペクトルセンサの多波長化

ワールドビュー2号(Worldview-2)ラピッドアイ(RapidEye)衛星は、従来の可視・赤外光バンドに加えて、レッドエッジという近赤外と赤の中間にあたる植物の特性に敏感な波長のバンドを持っています。各波長で観測した値を演算して植物毎の違いを把握したり、生育ステージを把握したりする研究が始まっています。多時期のデータを使い、現地のサンプルなどを使うことにより、より良い精度で植物の分類ができることもわかってきました。(分類図の事例は「森林分野への利用」をご覧ください)

ワールドビュー2号では更にイエローとコースタルというバンドが増えています。イエローは、黄色(緑と赤の間に当たる波長)の光を観測するもので、紅葉期など植生への応用や水の濁度の解析に重要な波長とされています。コースタルは青よりも更に短い波長のバンドで、水の透過率が高くなるため、浅瀬の分析にすぐれた波長とされています。クロロフィルaの吸収帯を含むため植物プランクトンの特定や植生の判別にも使われます。浅瀬の植生を、コースタルバンドと青の画像で比較してみると、コースタルの画像の方がより敏感である傾向がわかります。

ハイパースペクトルセンサ

観測する光の波長(バンド数)をもっと増やす試みもあります。日本が推進した先進的な事例に、テラ(Terra)衛星に搭載されているアスター(ASTER)センサがあります。アスターは、可視・近赤外に3バンド、鉱物資源にとくに有効といわれる中間赤外(短波長赤外)に6バンド、もっと波長の長い熱赤外に5バンドの計14のバンドを持っています。表面に露出している鉱物の特性を把握することができる他、地層の状態の把握、石油他資源などの把握に役立てられてきました。アスターは、すでに10年以上継続的に働いています。 

アスターと同様に、モディス(MODIS)というセンサも、長期間活躍しています。テラ衛星およびアクア(Aqua)衛星に搭載されており、地上分解能などが低いながらも、植物やプランクトンなどにターゲットをあて、青や緑、黄緑、近赤外にも波長を増やし、中間赤外・熱赤外を含め36の波長帯に分けて地球を観測してきた優れものです。衛星画像データを大気・海洋・陸域の多くの分野に活用していくには、調査したいものの特性に焦点をあてた多くの波長での観測が必要とされているのです。

観測する光の波長(バンド数)を劇的に増やしたセンサとして、最近衛星に搭載されるようになったのがハイパースペクトルセンサと呼ばれるものです。米国EO-1衛星に搭載されているHYPERIONセンサや、欧州のCHRISセンサがそれです。これらのハイパースペクトルセンサは、地上分解能は30m程度とまだ粗いものの、可視・近赤外の光を波長ごとに60ものバンドに分けて撮影することができます。HYPERIONセンサは中間赤外にも150のバンドを持ち、計210のバンドで同時に地表を撮影することができます。日本でもHISUIというハイパースペクトルセンサの開発が衛星搭載を目指して進められています。