衛星の視力

衛星の視力

 視力を測る時の基準は、狭義には様々な条件がありますが、簡単に述べると、視力1.0の場合、1分(1/60度)離れているものについて、離れていると認識できる能力のことと言っても良いでしょう。
 例えば、5m位離れていると約1.45mm位離れているものが見分けられることと同じです。
 2.0では、1/2倍の角度の0.5分(1/120度)離れているものがわかり、0.1では、1.0の10倍の角度10分(1/6度)離れているものがわかるというものです。
衛星の視力について
 では、現在の衛星搭載のカメラではどの程度の見えるのでしょうか。
 SEDで販売しているクイックバード衛星は、地上約450kmの高度を飛行しており、撮影画像は約60cmの解像度があります。
 これは、450km上空を飛んでいる衛星が、地上の60cm位離れているものがわかるということに相当します。視力1.0の人の場合、その約218倍にあたる131m位離れていることがわかるのがやっとです。
 わかりやすく比較するなら、視力1.0程度の人の約200倍の視力があるということができます。
QuickBird  しかし、実はこうした比較はそう単純ではありません。低軌道の衛星は、地球の周りをかなりの速度で回っているため、一瞬にしてそれだけのものを見分ける動体視力があるという言い方がより正しくなります。
 人間が物を近づけて良く見ようとするように、もし、もっと地上を詳細に見たいと思えば、衛星の軌道高度を下げることが考えられます。仮に、クイックバード衛星の軌道を半分の225kmにした際には、直下でおよそ30cmの解像度を持つと仮定できます。
 ただし、衛星の高度を下げることにより、衛星が更に地上に対して高速で地球を回る状況になり、実際に撮影できるかについては多くの難題が発生すると考えられます。
また、衛星軌道が下がるほど大気抵抗も大きくなり、軌道も下がりやすくなり、多くの燃料を使わなくてはなりません。
 近年では、更に衛星に搭載されているセンサーや機器の性能を上げることにより、より高い高度から長い寿命の衛星を打ち上げることが実現されています。
米国のGeoEye-1やWorldView-2の画像は、QuickBirdの更に2倍から3倍の良い視力を持っています。
 また、衛星画像を利用しようとする場合に、気をつけなければならない点は、一度に撮影できる範囲です。FOV(Field Of View)で示される撮影範囲は、衛星により大きく違います。
 例えばクイックバード衛星の場合、一度に16.5km四方という範囲を一度に撮影しています。東京ではそう広くない区であれば、その中に収まってしまうほどの広さです。しかし、もう少し広い郊外も含めて撮影したい、もしくは、都道府県全体となってくると、少なくとも数十キロのレベルの広さを撮影しなくてはなりません。
 そうした希望に沿うのが、ランドサット衛星のように、観測幅が広く、一度に広い範囲を撮影できる衛星です。100km以上の幅の撮影であれば、県単位の広さも簡単に収まってしまいます。
 更に、大きい地球規模の環境変動を出来るだけ細かく把握するため、短い周期で地球全体のデータを取得したいという場合もあります。ここでは、MODISセンサやNOAA衛星のAVHRRようなセンサが活用します。それらの衛星の特長は、地上の解像度が数百mから1km程度に落ちても、全世界のデータを短期間で集めやすいということです。
 最後に、衛星には、ここで紹介した人間の目で見る場合と同じような可視光だけの撮影でなく、他の波長を使うという特殊な視力があります。「良く見る衛星画像」で、この可視光の他様々な太陽の放射を使う方法を紹介し、マイクロ波を地球に放射してその反射を見る合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar) というセンサの画像も紹介します。
 SARは、雲を透過しやすいマイクロ波を放射してその反射を見るタイプのセンサであるため、天候が悪く雲が多い場合でも役立つことが大きな特徴です。
 現在の「光学衛星のトレンド」や、この分野に興味を持つ方のために、「お勧め教科書」も紹介します。