深宇宙有人機オリオンで採用される技術

最終更新 2018.08.07

米国は、今商業契約でスペースXのデモミッション1(DM1)やボーイング社の軌道飛行試験OFTなど、民間の有人飛行ミッションのための、無人のデモンストレーション飛行を計画しています。一方オリオン宇宙船を大型ロケットSLSにより打ち上げる政府系ミッションも、有人飛行計画の前に、無人のEM-1ミッションとして計画されています。打ち上げは、2018年末から延期され、現在は2020年6月頃と報じられています。

EM-1は月を周回する飛行を行うため、国際宇宙ステーションへ行くよりも1,000倍も遠い距離をオリオンは飛行することになります。オリオン宇宙船はNASAが開発したクルーモジュール(帰還カプセルを兼ねた与圧区)、ESAが開発したサービスモジュール(カプセルの下側の非与圧の区画、電力、推進、酸素の供給等を担う)を組みあわせた構造になっています。

EM-1ミッションでは、地球から遠く離れ、緊急時に飛行士達を安全に保つための試験が行われます。深宇宙ミッション用に改良した小型で信頼性を高めた二酸化炭素と湿度除去システムを搭載し、空気の質を保ちます。

オリオン宇宙船は、メインエンジンと、小型の33基のエンジンを持ち、推進剤は7,570リットル搭載します。もしメインエンジンが故障した場合は他のエンジンを組み合わせて使用することで緊急時のバックアップが可能です。

AVCOATを使う耐熱シールドは、今まで製造されたカプセル用耐熱シールドの中では最大のサイズで、溶融しながら最高で摂氏2,760度まで耐え、宇宙船内部を摂氏25度程度に保つことができます。大気圏に突入する前は摂氏-65度から288度の温度環境、すなわち370度の温度差に耐えられます。

オリオンは同一のコンピュータを4台搭載して互いに自己チェックさせるほか、完全に異なる設計の予備コンピュータ1台を搭載することで、放射線によるコンピュータトラブルからシステムを守ります。

太陽フレアが発生して放射線量が急増した場合は、クルーモジュールのメインデッキの下に宇宙飛行士用のシェルターを用意しており、そこに船内に搭載している材料を転用してシールドを作ることで一時的に退避する方法でしのぎます。

通信も、国際宇宙ステーションが利用しているデータ中継衛星(TDRS) システムから、深宇宙ネットワークシステム(DSN)へ切り替えられます。高速通信系による地球との通信ができない場合でも予備の通信系に切り替えが可能な設計です。地上から支援が受けられない場合の航法は、カメラを使って天体の位置を撮影し、三角測量で自らの位置を把握できるようにする光学航法を準備します。

source : NASA


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