米深宇宙探査機ボイジャー1号37年ぶりにエンジン作動

最終更新 2017.12.06

米国の深宇宙探査機ボイジャー1号(Voyager-1)は、1977年9月に打ち上げ、2005年に太陽系の外縁部ヘリオスフェアに最初に到達した宇宙船です。現在、最も速く最も遠くまで旅した宇宙船でもあります。地球との通信は、ごくわずかな力で姿勢を制御する姿勢制御スラスタを使って通信アンテナを常に地球に向けることで、継続されてきました。しかし、近年はその姿勢制御スラスタの噴射性能低下が認められており、バックアップの4つのTCMスラスタが、利用されることになりました。

ボイジャー1号が土星に接近していた1980年11月8日以来、宇宙船の経路を補正するためのTCMスラスタは温存され使われてきませんでした。ボイジャー1号は、地球から208億キロメートルも離れた位置にいて、何かあっても容易に手を打てるわけではありません。そのため、NASAジェット推進研究所のボイジャー・チームは、いくつもの分析を行ったうえで、細心の注意を払って安全にスラスタ作動を進めました。試験にあたり、年月を経て発電能力が落ちているボイジャー1号の限られた電力リソースから、まず各スラスタに取り付けられていたヒーターへと、電力が供給されました。その甲斐あって、2017年11月29日(水)にそのスラスタが正常に作動したことを確認しました。TCMスラスタが正常に機能したことにより、ボイジャー1号の寿命は更に2,3年は延びたということです。

TCMスラスタはエアロ・ジェット・ロケットダイン社(Aerojet Rocketdyne)で開発され、同種の姿勢制御スラスタ(MR-103と呼ばれています)がNASAの宇宙探査機のカッシーニ(Cassini)やドーン(Dawn)にも搭載されました。TCMスラスタ噴射の実施では、11月28日(火)に十数ミリ秒の噴射を行いその能力を試験しました。結果は、試験実施の19時間35分後に地球に到達し、NASAの深宇宙探査ネットワークの基地局であるゴールドストーン局で受信されました。29日に届いた結果は、TCMスラスタの完璧な作動を示していました。

なお、ボイジャー2号でも同じスラスタを搭載しており、試験を行う予定ですが、ボイジャー2号の姿勢制御スラスタは、まだボイジャー1号ほどは性能低下を示していません。ボイジャー1号が恒星間宇宙へ乗り出しているように、続くボイジャー2号も2,3年の内に恒星間宇宙へと進む予定になっています。

source : NASA


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